竜馬伝説を追え

著者:中村彰彦。学陽書房人物文庫。

94年刊行、00年文庫化
欧米の推理小説に「ロッキングチェア・ディテクティブ」というジャンルがある。 これは探偵役の主人公が、文字通りロッキングチェアに腰掛けてパイプを片手に、 あるいはベッドに身を横たえながら事件の真相と犯人とを究明してしまうという形式である。 幕末史の最大の謎のひとつである坂本竜馬暗殺事件の真相について、 本書は主人公に(歴史の)諸資料、先行著作の分析によって実体を追わせており、 作者はこれを「ブック・ディテクティブ」と呼んでいる。 史料はともかく、他人の著書の論理をそっくりそのまま引用して、さらには批判までしているのに、 これほど堂々とした態度なのはいっそ見上げたものである(笑)。 ただまあ、ものは考えようで、 数ある竜馬暗殺に関する諸説をこうやって単純に一緒くたに並べて、 小説の主人公の言葉で順番に論拠していくという試みはこれはこれで面白い手法だと思うが、 殺害理由や指令者の観点で論じられている部分は比較が細かいだけに難解でもあり、 暗殺に関してあまり深く考えない人にはちょっと苦痛かもしれない(笑)。
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