斎藤道三 戦国史記
著者:中山義秀。光文社時代小説文庫。
88年刊行、ただし作品は昭和三十二年の執筆(著者は69年没)。『松永弾正』も併録。
斎藤道三と松永弾正は、北条早雲とともに戦国時代の「三梟雄」
(北条早雲の代わりに宇喜多直家とするものもある)として有名な武将ですが、
本書はそのうちの二人を描いております。
どちらも従来の俗説をもとにしており、
『道三』は三十半ば、商人から武士に鞍替えするところから、
『弾正』は五十六歳、義輝を討ち取るところから始まってます。
ところで、信用できる度合いの高い史料「六角承禎条目」が発見された結果、
道三の国盗りの過程(司馬遼太郎「国盗り物語」等)は、
実際には道三とその父の二代にわたるものであったことが明らかになっちゃいまして(汗)。
この作品はそもそも史料「六角…」が発見される前の執筆だし、
俗説による内容だからといって問題があるわけでないけれど、
「氏素性定かでなく、徒手空拳によって一国一城の主になった」という
戦国時代「三梟雄」が通用しなくなっちゃったのは残念なことだ。
しかし、豊臣秀次の例なども考えると、やはり俗説が見直されることは、
残念ではあるけれど、必要なことでもありますね。
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