高杉晋作
著者:池宮彰一郎。上・下巻。講談社文庫。
94年刊行、97年文庫化。
明治維新は、わずか百数十年の過去の出来事であるにもかかわらず、
ある部分は闇に葬られ、またある部分は歪められて伝えられたことは否定できない。
正確な論評を妨げられた部分や、故意に改竄された事実もある。
昭和期、歴史文学が盛んになると、数々の小説が維新革命を活写したが、
維新の志士を英雄として扱うと、人物像が正しく伝わらない憾みが残ることは否めない。
殊に作者の立脚点が那辺にあるかによって、人物評価が多少傾くのは致し方のない事実である。
薩摩、特に西郷隆盛を維新最大の英雄とした小説があった。
土佐、坂本竜馬を維新回天の最高指導者とした小説もある。
それらは、薩摩、あるいは土佐の観点から維新史を展望していたわけだが、
ふしぎなことに、長州から維新史を眺めた小説は錙銖なのだ、
と著者はあとがきに記している。
今さらなんだけど、この人ってわずか28歳でこの世を去っているんですね。
その彼の短い人生の23歳から5年間をこの小説は描いているわけだが、
あらためて彼のことが気に入りったね。
ま、彼を主人公に描いている小説なので悪く書かれているはずもないが(~_~;。
ちなみに桂小五郎(木戸孝允)や山県狂介(有朋)は全然ぱっとしないが、
反対に村田蔵六(大村益次郎)はなかなか良かったりします。
この辺も著者の好みによるものなのかな。
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