鉄砲商人

著者:南條範夫。 時代小説文庫(富士見書房)。

91年、文庫本にて刊行。
商人を主人公にした時代小説の短篇集。 「抛銀商人」、「鉄砲商人」、「人買商人」、「材木商人」、 「堕胎商人」、「御用商人」、「士族商人」、「呉服商人」の八篇を収録。
このうち、「人買・・・」は承和の時代、「鉄砲・・・」は戦国時代、と この二篇だけが時代を異にしている以外は、いずれも江戸中期から末期、 さらに幕末から明治の初めまでを時代背景としております。 「呉服・・・」の主人公は三井財閥の元祖、三井八郎兵衛高利で、 商人の鑑みたいな書かれ方されてます。
「鉄砲・・・」の堺の町は商人の側の視点で書かれており、 これまで考えもしなかったようなことが見えてきて面白い。 鉄砲の製造側の事情、というか組織の制約なんて、 武将の立場からは普通は考えないものだから。 というか、本当ならば鉄砲の配備に影響することだから、 考えて、そしてそれが不都合ならば改めさせないといけないのだが、 武士と商人では住む世界が違うので現実的には難しいところなんだろう。 ほかの「・・・商人」も、それぞれが違った切り口で時代背景、というか当時の社会問題を 上手に利用しており、なかなかに興味深いものでした。

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