長州を破った男

著者:南原幹雄、新人物往来社。

99年刊行。
本書は「長州を破った男」、「薩摩藩乗っ取り」、「伊達藩征服」、三篇を収録しており、 いずれもなんと商人が主役を努めているという、ちょっと風変わりな小説です。
「長州・・・」は、あの鴻池が別家と毛利家の対決。それにしても、 山中鹿之助の末裔が鴻池の始祖なんて説、初めて耳にしました。 本当だったら皮肉な話ですね。
「薩摩・・・」、こちらは無名の商人と島津家の確執。 それよりも、出た、調所笑左衛門(笑)。 それほどまでに有名な人だったのか、それとも著者のお気に入りなのか、 この時代の人物に詳しくない私としては判断が難しいところです(^_^;。
「伊達・・・」、本書中一番の長編、割合にして1:1:3くらいかな。 本書のテーマは、おそらく商人と武士の対決、それも商人のほうが強い、 というか商人でも覚悟さえ持てば武士を凌駕できる、そういうところにあるような。
徳川時代を振り返れば250年の太平の世でござったけれど、 幕府の政策で諸大名たちは徹底的に骨抜きにされたわけで。 そのような、いわば去勢された武士たちが、生き馬の目を抜く商人たち相手に、 敵うはずがなかろうて。
これって、さき(前)の大戦の後、米国の政策で日本の政府は骨抜きにされたのと同様なわけで。 歴史は繰り返すというけれど、だったらお先真っ暗でないかい(--;。
また面白いのが、当時の制度、というか暗黙のルール違反、「大名貸し」。 これって、今の不良債権と相通ずるものがあると思う。本当に思う。いや、マジで。
でもさ、もともと金貸しって、相手が踏み倒す危険性を勘定に入れたうえで、 利率とか設定して、それでも安心できないからわざわざ担保とか取って、 そうやって長年運営してきたはずなのにさ。 なんで今頃、金貸しの目論見が外れたからといって、 国税を投入しなけりゃならないのか全然判らない。 少なくとも当時の金貸し、というか豪商たちはその辺の去就は潔かったぞ。

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