秀吉の野望

著者:阿井景子。光文社時代小説文庫。

96年刊行、00年文庫化。
これは珍しい、信孝(ご存知、信長の三男)の側に寄った小説です(笑)。 主人公は信孝の生母「こう」という女性でして、 だからとうぜん自分の息子のことを悪く言うはずがない、どころか、 温厚で心優しい、器量優れた武将として書かれています。 ここはパラレル・ワールドか(w。
で、「本能寺」により信長・信忠亡き後、本当だったら器量に優れた信孝が継ぐべき ところを、狡猾な猿が掠め取ってしまう、ということがタイトルを表しているようです。 まあ、小説だから人物のデフォルメは付き物なんで(笑)、 それよりも、信孝が養子に出された神戸氏とその周囲の豪族たちについて 力関係など細かな事情が読めたんで、そのことが有意義でした。
信長の子たちの中、二男は茶筅丸(信雄)で、三七丸(信孝)が三男であることは 史書・俗説ともに疑いのないことですが、 その出生順序についてはいろいろと異論があるようです。 この物語では、信孝のほうが20日ほど早かったが、 生母の身分の違い(茶筅の母は、嫡男・奇妙丸(信忠)を生んだ生駒氏)から 三男に落とされた、としています。
ほか、史談―――運命の女たち、として、『ねね』、『淀殿』、『まつ』の3編を収録。

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