英独航空戦 バトル・オブ・ブリテンの全貌
著者:飯山幸伸。光人社NF文庫。
03年文庫書き下ろし。
「バトル・オヴ・ブリテン」って有名だけど、日本人には
あまり馴染みがないんですよね。
メッサーシュミットやスピットファイアを知らない人は
さすがにそうはおらんだろうけれど(えっ、それすら一般人は知らないもの?(^^;)、
ドーヴァー海峡を巡ってのこの壮絶な闘いについては
詳しい人のほうが珍しいんじゃないかと。
その経緯を分析を加えながら日記形式に綴ったものが本書です。
正直、だらだらしていて読み辛いですが(~_~;、
なんとか辛抱して読み切れれば、あの空の闘いについて
ちょっとだけ詳しくなれます。
ああ、それと、英独双方の戦闘機、爆撃機の図解や写真が
いっぱい載ってることも嬉しいです♪。
それにしてもこうやって後から分析してみると、
いろいろなことが見えてきて面白いものです。
日米戦争を振り返って「あの時もしも・・・」を論じる人が居ますが、
あれは少しばかりの誤謬を正したくらいでは結末に影響を
及ぼすことは不可能な戦いでしたが、
この英独戦争はホントにギリギリのところで、
当に間一髪のところで英国が辛勝したのだということがよくわかります。
・英国のレーダーシステムをもっと重要視していたら・・・、
・英国の工場の情報をもう少し正確に把握できていたら・・・、
・もしメッサーシュミットの航続距離をもっと早く延ばしていたら・・・、
・四発の戦略爆撃機の開発に成功していたら・・・、
・もし八月二十四日にロンドンを誤爆していなかったら・・・、
・もしヒトラーの気まぐれが無かったら・・・、
これらの誤謬のひとつでも覆れば
「SS−GB」(レン・デイトン)の世界が実現していたに違いない(~_~;、
というくらい崖っぷちまで行ってたんですね。
どういうことかというと、後世有名になるこの戦いって、
独軍にとっては単なる前哨戦のはずだったんですね。
本当の狙いはこの後行われるはずのゼーレーヴェ(あしか)作戦で、
そのために制空権が必要だから、ということで、
英軍の航空機関連施設を必死に攻撃していたんです。
ところが独空軍が英国本土に爆撃に行くと(レーダーで発見されて)
必ず迎撃機が上がっていて苦戦するけど、
だからといって特にレーダーに狙いを絞らない。
スピットファイアの工場との情報を得て爆撃するんだけど、
(情報が間違っていて)関係ない工場だったりするわ。
爆撃機に随伴させる護衛戦闘機のメッサーシュミットは滞空時間が短くて
まっとうな護衛が勤まらない(後に増槽付きのタイプが開発されるがあまりにも遅すぎた)。
その爆撃機が脆くてよく撃墜されるわ
(独空軍には終戦までまともな戦略爆撃機というもが配備されなかった)。
独空軍がそんな体たらく(笑)でも
英空軍は日に日に追い込まれていったんですね(何せ当初の戦力比3対1で劣勢だったため)。
ところが運命の日は訪れた。
ヒトラーでさえも最初はロンドン爆撃は禁止していたんだけど、
八月二十四日に航法のミスでロンドンに爆弾を落としてしまい、
その報復でベルリンが爆撃されると
(当時の空気はまだ無差別爆撃を許しておらず、
軍事施設以外への爆撃、特に都市への爆撃は行わなかった)、
それでヒトラーがぶち切れして九月七日から
ロンドン爆撃に方針変更させちゃった(>_<)。
航続距離に問題のあるメッサーシュミットにこれは無茶な話で、
ただでさえ被害の多かった爆撃機にますます被害が増えていった。
一方、崩壊寸前の危機にあった英空軍はこのおかげで余裕が生じて、
それをきっかけになんとか持ち直す。
そして九月一五日(英国では記念日扱いされていて
バトル・オブ・ブリテン・ディと言うんだそうな(^_^;。
独国にしてみりゃさっさと忘れたい事なのに、
英国にとっては国を挙げてのお祭り騒ぎに匹敵する出来事。
まあ、勝った側の権利ですな(-o-)y=~~~)、
総戦力を挙げての乾坤一擲の大勝負をかけて勝利を得たのだった。
独軍にしてみれば、本来の目的であった「あしか作戦」が
ドーヴァー海峡が荒れる季節を迎えたため年内は延期となり、
制空権を賭けた戦いは自然消滅となる。
そしてこれまたヒトラーの気まぐれで独ソ戦が始まっちゃって、後は・・・(-_-;。
これがもし、上記のような好条件が揃わずに早々と英空軍が崩壊していたら当然、
あしか作戦、つまり英本土上陸作戦が実施されたはずで、
歴史ではソ連に向かった機甲師団が英本土を蹂躙したことでしょう。
そして英本土は占領され、政府要人はカナダへ脱出して亡命政権を樹立、
わはは、もう完全に妄想の世界ですな(~_~;。
それにしても英国が助かったのはもちろん国民が立派に戦ったからなんですが、
ヒトラーにも随分と助けられているような(笑、他にもダンケルクの停止命令とか)。
アドルフおじさんに感謝しないと、ってそもそもヒトラーが居なけりゃ
こんな戦争は起こらなかったか(w。
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