著者:半藤一利。文春文庫。作品一覧へ
88年刊行、92年文庫化。
題名のとおり、指揮官と参謀というコンビをとりあげ、 それらがかかわった一連の事件等を考察している。 以下、そのテーマ一覧。「板垣征四郎と石原莞爾」
「永田鉄山と小畑敏四郎」
ただでさえ海と陸でいがみ合っているのに加え、 陸軍部内では統制派対皇道派の抗争があり、 海軍部内だと条約派と艦隊派の対立なんてものがあっては これでは勝てっこないぞ(-.-;。「河辺正三と牟田口廉也」
荒木・真崎・小畑ら皇道派と統制派の永田鉄山との抗争に かかわったために東條が一時地方の旅団長に左遷された? この辺りの記述は先日読んだ「東條英機」の内容と ちょっと違うんだけど・・・。
インパール作戦は川辺・牟田口らの政治的な理由で始められ、 両者の無責任からなかなか中止できなかったんだと。 牟田口だけが悪いんじゃ無かったんだ。「服部卓四郎と辻政信」
「戦争というものは勝ち目があるからやる、 ないから止めるというものではない。 今や石油が絶対だ。油をとり不敗の態勢を布くためには、 勝敗を度外視してでも開戦にふみきらねばならぬ。 いや、勝利を信じて開戦を決断するのみだ」 ひょっとして辻政信って馬鹿か?「岡敬純と石川信吾」「永野修身と杉本元」
開戦の原因について、一般には海軍善玉、陸軍悪玉が通説であるが、 実のところは海軍が強行派で陸軍は慎重派に近いように思える。 便所の扉(笑)・杉山元参謀総長と自称天才の主戦派・永野修身軍令部総長 のコンビが両軍統制部では起こるべくして起こった戦争だったのね。「山本五十六と黒島亀人」「南雲忠一と草鹿龍之介」
「東條英機と嶋田繁太郎」
東條のオトコ妾、とまで呼ばれた嶋田ですが、東條と同様に、天皇からのおぼえはめでたかったようで。「小沢治三郎と栗田健男」
南雲の場合もそうだけど、この栗田の人事は海軍人事制度の欠陥によるものかと(-_-;。「山下奉文と武藤章」「牛島満と長勇」
「米内光政と井上成美」
「天皇と大元帥」
これはコンビではありませんね。 陛下の戦争に対する姿勢について、天皇としての「戦争反対」の立場と 大元帥としての「戦争指導」の立場があった、ということをテーマとしているわけで。
天皇は神風特攻隊の奏上を受けたとき 「そのようにまでせねばならなかったのか。しかし、よくやった」 といったそうです。 「そのようにまでせねばならなかったのか」のうちには、仁慈に満ちた天皇の姿があり、 その同じ人が、大元帥として「しかし、よくやった」と賞詞を述べなければならない。 その苦しいところを描いているものかと。