著者:三野正洋。光人社NF文庫。作品一覧へ
97年刊行、01年文庫化。
子供の玩具箱をひっくり返したような面白さ。
これは著者があとがきで述べているドイツ軍兵器評であるが、言いえて妙である。 WWUでは最終的には連合軍に敗れてしまったものの大戦中に登場した兵器を見ると ジェット戦闘爆撃機メッサーシュミットMe262、戦略ミサイルV2など、 さすが技術大国の名に恥じないものが多い。 では第三帝国は、なぜ敗れたのか、という観点からドイツの兵器について分析してみた本。第一部「海軍の艦艇」では、ビスマルクとシャルンホルスト、その他の小型艦艇と Uボートを取り上げている。
第二部「航空兵器」では、主力戦闘機としてフォッケウルフFw190を取り上げ、 中型爆撃機、大型爆撃機、輸送機、ジェット軍用機、といった分類でせまる。
第三部「陸上戦闘兵器」では、機関銃、歩兵携行型対戦車火器、火砲、野戦砲、対空火器から。
第四部「戦闘車両」では、主力戦車としてティーゲル(Y号戦車)ではなく、W号戦車と パンテル(X号戦車)を取り上げているのが面白い。他に重戦車、突撃砲、装輪装甲車など。
第五部「その他の兵器」として、V1、V2とレーダーが登場。 ちなみに著者はあとがきで、このレーダーが勝敗を決定付けた、とまとめている。これを読むとドイツ軍の兵器は各所では優れた部分が見受けられるものの 総合点ではアメリカ、イギリスに及ばない、といったところか。 つまり一つ一つの兵器が優れていても、量産に向かない、とか、 登場時期があまりにも遅い、とかで、結局のところ、戦争の勝敗に貢献していないのである。 それに対して、それぞれの兵器は特筆すべきところがないけれど、 圧倒的な数量をもって、それをカバーしたのがアメリカである。 兵器の完成度を重視するあまり、戦争全体を見失ったドイツ、 逆に、戦争全体を考えて、そこそこの完成度で満足したアメリカ。 結局のところ勝敗を分けたのはこんなとこなんだろうか。 少なくとも「必勝の信念」とかいった類のものでないことだけは確かですね(苦笑)。