炎の海 報道カメラマン空母と共に

著者:牧島貞一。光人社NF文庫。

81年刊行。01年文庫化。
報道カメラマンという職業、非常に危険を伴うものである。 あのロバート・キャパを知っている人なら、 それがどのように危険かおわかりだろう。 ちなみに著者の所属していた「日映」という会社に 報道カメラマンは130人いたが、 終戦までに59人が死亡したというから凄まじい死亡率である。 常に兵士とともに最前線に送られて、文字通り死地をくぐり抜けて来た 報道カメラマンの実に生々しい戦場レポートである。
それにしてもこの人って凄いですね。 最初は上海で市街戦に遭遇し、軍艦「出雲」で艦砲射撃を体感し、 南京では戦車に乗り込んでいて直撃弾をくらい、 同乗の兵士は皆死んでしまった。 重慶爆撃にも同乗したし、 英空母ハーミスを屠るとき空母「赤城」に乗っていた。 そのまま「ミッドウェー」に連れて行かれ、 帰ってくるときは軽巡「長良」だった。 南雲長官や草鹿参謀長、淵田飛行隊長らを現場で直接見て、実際に話などしており、 その人柄について感じたままに描かれているところはとても興味深いですね。 また軍艦での生活についても、下手に後から専門用語など調べて使わないで、 実際に見たものを聞いたとおりに描いているから、 一見言葉足らずではあるけれど、逆に伝える力が増しているから面白い。

作品一覧へ

著者一覧へ