海軍技術研究所 エレクトロニクス王国の先駆者たち
著者:中川靖造。講談社文庫。
87年刊行、90年文庫化
戦前、日本海軍は軍艦の数では米国、英国に及ばなかったが、重装備の個性豊かな軍艦と、
猛訓練で鍛え抜かれた精鋭を擁し、世界三大海軍国の名に恥じない陣容を誇っていた。
その象徴である各種艦艇を造っていたのが、造船、各種機械、搭載兵器の開発を担当する
「海軍技術士官」と呼ばれる一群のエリートたちであり、
それらのおかげで造船業はもとより電波、通信、磁気、音響などの電子関連兵器技術が
戦後のエレクトロニクス産業発展に大きく貢献してきたのだが、
敗戦後の徹底的な(妄信的ともいえる)戦争否定姿勢によりそれらは
半ば意図的に(不当なまでに)忘れ去られてきたと思う。
昭和の日本軍は「人事で負けた」とよく(一部で?)言われるけれど(笑)、
少なくとも技術者たちは負けていなかった。
それを用いる用兵側の理解が遠く及ばなかっただけなのだ。
先に紹介した本の「A140」建造をめぐる話もそうだけど、
日本が今の経済大国になれた背景には、当時の技術者たちの苦労話を抜きに語れないということを
「プロX」によるだけでなくもっと様々なソースからもっともっと多くの人が知るべきだと思う。
それにしても当時の用兵者たちが技術に無理解だった逸話として、
レーダーのアンテナを前檣の頂上に取り付けることに
「花魁の簪みたいなものをメインマストにつけるなどもってのほか、第一敵の目的になりやすい」
と、猛反発されたらしい。
他にもこちらから電波を出して探索するなど「闇夜の提灯」と等しい、などというものもあったとか。
これじゃ勝てなかったのも無理ないわ(苦笑)。
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