著者:長部日出雄。文藝春秋。作品一覧へ
86年刊行。
これはなんだ、っつうと、フィリピン現地人の立場からみた大東亜戦争、の小説です。 フィリピンの一部族の青年を主人公に、というか全体は3部構成で、 第1部は前奏で、第2部以降が本論になっており、その部分の主人公ということ、 で、戦前から戦後までを、というか、 米国支配から日本支配に変わり、またそれが元に戻る、過程を 現地人の立場で表現している物語。
日本軍にしても米軍にしても過酷な戦闘を強いられた戦場ですけれど、 そしてお互いに主義主張を掲げてそれを行ってきたわけですけれど、 そこに居た現地人からすれば理屈はどうでもいいわけで、 肝心なのは自分の生活にどのように関わってくるか、であるわけで。 そのような心理が見事に表れていて面白かった、よ。