迎撃戦闘機「雷電」 B29搭乗員を震撼させた海軍局地戦闘機始末

著者:碇義朗。光人社NF文庫。

97年刊行、00年文庫化。
「雷電」(十四試局戦、連合軍コードネーム:「ジャック」)という名前の戦闘機があることくらいは 知っていたけれど、それがどういう特徴だったのかこの本を読むまでよく知らなかったしあまり関心も無かった(汗)。 三菱の技術陣の苦労も虚しく芳しい活躍がなかったせいで 局地戦闘機といえば「紫電改」ばかりが有名だけど、海軍がもうちょっとまともな取り組み方をしていれば B29迎撃で名を馳せたかもしれない可能性が十分にあった名戦闘機みたい。
開発に手間がかかるわりに一向に進捗しないことから、同じく不評の「銀河」とセットで 「雷電」国を亡ぼす、国敗れて「銀河」あり。などという不本意な評判をもらったらしいが、 実はすぐれた上昇力と二十ミリ機銃四梃の重武装を持った「インターセプター」だったようだ。 ところがこの種の迎撃戦闘機の経験に乏しい日本海軍の審査担当者たちは、 視界が悪いとか空戦性能が零戦より劣るとかいって三菱の設計陣を困らせた。 さらに悪いことに、これらに加えてプロペラの振動問題が「雷電」の不評を増幅したという。
これと対照的だったのが飛行艇の川西航空機がつくった局戦「紫電改」で、 商売上手にも川西は水上戦闘機の「強風」をベースにした陸上戦闘機案を海軍にまんまと認めさせ、 この結果生まれた「紫電」は多くの欠陥を持ちながら、本命の「雷電」のトラブルの隙をぬって 一千機もつくられ、次の「紫電改」を生み出すもとになった。
不運といえば「烈風」も不幸な戦闘機だった。 海軍から強引に押し付けられた中島製発動機「誉」の不調に脚を引っぱられ実戦に間に合わなかった。 実はあとの量産の段階になって「紫電改」にも「烈風」試作一号機と同じような傾向が現れていたが、 この頃になると出力低下はあらゆるエンジンに及び、飛行機の性能は落ちるのが 当り前になっていたからあまり問題にならなかったらしいが、 海軍の審査に使われる大事な試作機時代に性能の低下したエンジンにあたったのは、 「烈風」にはツキがなかったというほかない。 しかし同じ千八百馬力の「誉」エンジンをつんだ「紫電改」と 「烈風」試作機のうち、「烈風」だけに性能低下がみられたのは 実は中島の陰謀だったのではなかろうか(~_~;。

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