先任将校 軍鑑名取短艇隊帰投せり
著者:松永市郎。光人社。
昭和59年刊行。
舞台は昭和19年8月、フィリピン沖、東方300マイルのこと。
軍鑑「名取」は敵潜水艦の攻撃により撃沈される。
生き残りたちは195名。
定員僅か45名のカッター3隻に乗り合わせ、
遥か彼方西方のフィリピンへ向けて漕ぎ進むことを決意する。
決意したのは現地の最高責任者、
つまり生き残りの最高位、彼は先任将校と呼ばれる。
階級において大尉、年齢では僅か27歳。
それが200名近い人間の生殺与奪を決定する判断を
限られた時間で判断する訳である。
もちろん異論もあるだろうし、
時間が経つにつれ、反抗するものもあるだろう。
それらを見事に抑えて十三日間カッターを漕ぎ続かせた
その統率力は驚嘆するものがあるし、
協力者である著者らの素晴らしい貢献にも感服する。
後から思えば、全てがギリギリの線だったのかもしれないが、
一歩間違えば全員救われなかったかもしれないときに
この人が指揮官であったおかげで、
不可能と思えるこの偉業を成し遂げることができたのだ。
これは実際にあった事件であり、著者は次席指揮官である。
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