危機の外相 東郷茂徳

著者:阿部牧郎。新潮文庫。

93年刊行、95年文庫化。
東郷と聞いて誰もが思い浮かべるのは まず日本海海戦の英雄・東郷平八郎元帥だろうし(笑)、 出身地が鹿児島ということから 西郷の間違いじゃないかと思うだろう(思わんか(^^ゞ)。 ではどういう人かというと、日米開戦時の外相であり、 かつ終戦時の外相だった人物なのですが、 恥ずかしながらこの本を読むまで名前以外のことは詳しく知らんかったですが(汗)、 広田弘毅と同様、開戦を回避しようと尽力し、 かつまた和平への道を模索した数少ない日本人であり、 広田と違い極刑は免れたとはいえA級戦犯とされたのは言い掛かり以外の何物でもないだろう。
海軍は陸軍に比べて合理的だとよく言われたけれど、 対米戦の見通しについてだけはそれができなかった。 井上成美が山本五十六を批判するのに あの有名な台詞、「一年や一年半は存分に暴れてご覧に入れる」をして無責任だ。 どうして「戦えば必ず負ける」と言わなかったのか、というのがあるが、 あのときは日本全体がおかしくなっていたのかもしれない。 というより対独戦に参戦したい米国の、いや、米国を参戦させたい 英国の謀略にまんまと乗せられたのだろう。 百年にもみたぬ浅薄な近代化で、一等国と自惚れた黄色い小男どもに 見のほどを思い知らせてやろう、との白人たちの執念だったのかもしれない・・・。

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