東条英機 大日本帝国に殉じた男
著者:松田十刻。PHP文庫。
94年から95年にかけて産経新聞岩手版に連載された「岩手宰相物語・東条英機」
を02年、大幅に加筆・修正し文庫化。
東條英機ほど世に誤解された人物も珍しいのではないか。
戦時中の憲兵隊を使っての恐怖政治はいただけないが、
少なくとも極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判のいうような「平和に対する罪」など
どこにもないのである。あの戦争は起こるべくして起こったものだ。
当時は誰が首相になっていたとしても戦争突入の事態は避けられない状況だったのである。
平和に対して悪いのは日本を追い詰めた米国であり、
人道に対して悪いのは原爆を投下した米国である。
百歩譲ってどうしても日本の誰かに罪ありとするのなら軍政でなく軍令サイドだろう。
開戦当時の総参謀長杉山と軍令部総長永野くらいが妥当だと私は思う(~_~;。
だが彼は確かに嫌われ者ではあったみたいで、天皇の述懐によると、
「彼程朕の意見を直ちに実行したものはない。上奏を了した参謀総長まで、
直ちにこれを変更し、梅津にした様な次第である。
要するに、彼は、近衛の聞き上手で実行しないのに反して、
聞き下手で直ぐ議論をやるから人から嫌われるのであろう」
だって(笑)。
あと、最近になってわかったことだが、東京裁判のキーナン主席検事ですら、
東條について「被告のなかで真実を語った唯一の人物」と評価していたという。
結局、日本を敗戦に追い込んだ、ということもあるので別に好かれる必要もないけれど、
必要以上に嫌われ過ぎな気がするんですが・・・。
作品一覧へ
著者一覧へ