[02.09.08]
居酒屋礼讃

「居酒屋礼讃」より

<書籍紹介>

(この図書は、私自身が居酒屋巡りをするきっかけになった本です。ホームページのタイトル「居酒屋礼賛」も、実はこの図書からとっています。)


<目次>

  1. 居酒屋の楽しみ
    1. 居酒屋の楽しみ方
    2. 居酒屋分類学
    3. 居酒屋は季節のある酒場
    4. お袋の味を守る居酒屋
    5. 魚は下町、下町は居酒屋

  2. 居酒屋、酒と肴
    1. 日本酒の変身と居酒屋
    2. 日本酒と魚料理の相性
    3. 居酒屋サバイバル作戦
    4. 居酒屋の四季

  3. 日本の酒場・居酒屋の歴史
    1. 大昔の酒場
    2. 江戸時代の酒場
    3. 江戸川柳の居酒屋
    4. 落語の居酒屋
    5. 明治から昭和にかけての酒場・居酒屋

  4. 世界の居酒屋
    1. 中国の居酒屋
    2. 古代バビロニア・エジプトの居酒屋
    3. 古代ギリシャ・ローマの居酒屋
    4. ヨーロッパ中世の居酒屋
    5. イギリス近世の居酒屋
    6. アメリカの酒場
    7. 現在のイギリスのパブ

  5. 首都圏酒場見聞録
    1. 古典的居酒屋
      まるます家(北区赤羽) / 金田(目黒区自由が丘) / 笹新(日本橋人形町) / 山利喜(江東区森下) / 玉乃光酒蔵(中央区八重洲) / 樽一(新宿区歌舞伎町) / もきち(新宿区横寺町) / 升本(港区虎ノ門) / 江戸一(豊島区南大塚) / 鶴八(千代田区三崎町) / 岩手屋支店(文京区湯島) / 魚三(葛飾区新小岩) / 第二力酒蔵(中野区中野) / 樽平(中央区銀座) / 浅野屋(神田神保町) / 北大路(杉並区阿佐谷北) / 大はし(足立区千住) / みますや(神田司町) / 東菊(杉並区上荻窪)

    2. 銘酒居酒屋
      鈴傳酒舗(港区虎ノ門) / きたやま(豊島区南大塚) / あけぼ乃(豊島区池袋) / (世田谷区三宿) / 味里(豊島区東池袋) / 味吉(中野区中野) / かんだ串亭(神田小川町) / ほし野(台東区東上野) / 鮎の里山幸(江東区富岡) / ささ花(中央区銀座) / 与っ太(杉並区阿佐谷北)

    3. 迫力居酒屋
      魚三(江東区富岡) / たけの食堂(中央区築地) / 秋田屋(港区浜松町) / 千鳥(千代田区有楽町) / にしき(台東区上野) / 三岩(台東区浅草)

    4. 異色居酒屋
      灘コロンビア(中央区日本橋) / 支那そば屋こうや(新宿区三栄町) / 長屋(港区新橋) / 薩摩屋敷(JR品川駅構内) / 海胆亭(中央区銀座) / かなわ(中央区銀座)

    5. エスニック居酒屋
      関船(港区新橋) / ZAPATA(渋谷区神宮前) / スカンディア(横浜市中区) / SAMPAGUITA(文京区湯島) / 新宿(新宿区歌舞伎町) / ゲウチャイ(墨田区錦糸町)

    6. 郷土料理居酒屋
      酔心(港区西新橋) / あらまさ(台東区西浅草) / 雪椿(中野区中野)

    7. 小料理・酒亭
      山田屋(新宿区四谷) / 島乃屋(港区新橋) / 浪花(新宿区新宿)

  6. 番外!
    1. 銀座の居酒屋
    2. ロンドンのクラシック・パブ


<内容>

  1. 居酒屋の楽しみ
    1. 居酒屋の楽しみ方
      • 居酒屋を楽しむには、たいした資産や知識などいらない。酒量の多少にかかわらず、酒が好きであればいい。そして飲み代に見合っただけのポケット・マネーがあればいい。
      • 最近多い大衆チェーン居酒屋の場合は、商法として、なるべく大勢の客に多く速く飲み、かつ食べてもらうことを目的として、内装やイスの配置、メニューの選択、料理の盛りなども経営効率の上から計算されている。そのため、ひとりで飲みに入ってもあまり楽しめない場合が往々にしてある。
      • 伝統的な(つまり赤ちょうちん、縄のれん、あるいはそれに準じたスタイルの)居酒屋は、基本的にはひとりで飲む客を相手に成り立っている。だから、ひとりで入っても、疎外感を味わったり、割りを食ったりすることはない。
      • どちらかというと、居酒屋では、店としては互いに知らない客同士が話し合うのを歓迎しない傾向がある。話し好きの客は、長っ尻が多く、ほどほどということを知らない。つい喋り過ぎ、飲み過ぎ、相手をうんざりさせる。ウマがあっている間はいいが、やがてその度が過ぎて、ときにはそれが喧嘩の原因になったりする。

    2. 居酒屋分類学
      • 食堂は即、酒場: 江戸時代の「煮売り屋」「一膳めし屋」がそもそもそうだったが、煮物などをお菜に、食事もさせれば、酒も飲ませる、食堂を兼ねた居酒屋は今も多い。ふつう閉店が居酒屋より早いのが玉に傷だが、中には、中央区勝鬨の「のむら」のように、24時間営業の食堂もある。
      • 酒がつきもののおでん屋: おでんは江戸時代からあり、最初の居酒屋は豆腐のみそ田楽が売りものだったらしい。それが後に煮込みおでんに変わったが、いずれにせよ、初期の居酒屋には、おでんを主にしたものが多かった。
      • よく合うそばと酒: そば屋も、利用する人によっては、ほとんど居酒屋の役割を果たしている。居酒屋の場合、昼から営業しているのはむしろ例外的だが、そば屋なら昔から昼もやっていた。昼酒は食堂よりそば屋のほうが合うような気がする。食堂だとまわりが一生懸命食べて働いている人々ばかりのようで、昼からビールや酒を落ち着いて飲むのは気が引ける。
      • 焼き鳥、焼きトン、煮込み屋: 江戸時代には今ほどニワトリは食べなかった。庶民はニワトリよりカモを食べ、武士はツルを食べていたという本もある。牛豚のモツはなおさらで、居酒屋としては歴史は浅いタイプといえる。
      • ビアホールは気楽な洋風居酒屋: 都心のビアホールは昼からやっていて、肴は洋食的メニューが主だが、昼の居酒屋として大変便利だ。最近はビアホールも、酒はビールに限らず、日本酒、ウイスキーから、ワインまで出す店も少なくない。ほとんど総合居酒屋といってよい。
      • 郷土料理の店は望郷居酒屋: 東京にはさまざまな郷土料理の店がある。その中には割烹的性格の店もあるが、その多くは実質的にお手軽な居酒屋を兼ねている。望郷の度合いは距離に比例して強いのか、数で目立つ郷土料理の店といえば、北海道、東北、北陸などの北国と、沖縄、九州、四国などの南国だ。

    3. 居酒屋は季節のある酒場
      • もっとも時期が限定されるのは、主として近海ものの生魚類で、春のシラウオ、ホタルイカ、シロギス、ニシン、タチウオなど、夏のトビウオ、イサキ、シャコ、タカベ、ハモ、シイラ、カンパチなど、秋のシンコ(小型のコノシロ)、ハゼ、メヌケ、カワハギ、ホウボウなど、冬のヒラメ、フグ、アンコウ、ハタハタ、タラ、ズワイガニ、タラバガニ、モロコ、タイラ貝などだが、これも地域により、また食文化の違いにより、かなりのバラツキがある。
      • 野菜でも、春のタラの芽、フキノトウ、アサツキ、ヤマウド、菜の花、ニラ、フキ、ワラビ、タケノコ、ソラマメ、グリーンピース、アスパラガス、ワサビ、夏の新ジャガ、インゲンマメ、ミョウガ、ラッキョウ、エダマメ、オクラ、シロウリ、新ゴボウ、秋の葉トウガラシ、シソ、ショウガ、マツタケ、ギンナン、レンコン、サトイモ、赤芽イモ、ヤマイモ、冬のカブ、クライ、セリ、カラシ菜などに、居酒屋で肴として出会うのは本当に嬉しいものだ。
      • 高級割烹、料理店などは、元来、旬のものより「走り」、つまり出初を珍重する傾向があるらしいが、居酒屋の場合は同じ季節ものでも出荷のピークで、安くておいしいものが中心となる。カツオなどは騒がれない秋の戻りガツオのほうが脂がのっていてうまいし、第一安い。

    4. お袋の味を守る居酒屋
      • 居酒屋の主流は依然として、刺し身、焼き魚、煮魚、酢の物、煮物、和え物、揚げ物、漬物といった魚介と野菜を材料とする和食の流れを重視したメニュー構成をとっていて、その多くはまぎれもなく、かつての「お袋の味」なのだ。
      • 日本の亭主族は、せいぜい20代ぐらいまではステーキ、ハンバーグ、ラーメン路線でがんばっているが、ある年齢から忽然と先祖がえりして、煮魚やイモの煮ころがしなどにしか魅力を感じなくなる。突如としてお袋の味に目覚めるのだ。

    5. 魚は下町、下町は居酒屋
      • 魚のうまい店といえば、まず魚河岸のある築地に多い。築地はすし屋の多い町で、「玉寿司」「江戸銀」「寿司清」「寿司岩」など、チェーンのすし屋の多くは築地からスタートした。今も築地市場の場内、場外、そして周辺には、名の知れたすし屋が多い。
      • すし屋の魚がうまいのはむしろ当然だが、昔風にいえば「一膳めし屋」の食堂も、築地中央卸売市場の場向の「かとう」「高はし」などは、なかなかのものだ。刺し身や焼き魚、煮魚定食のたぐいも、魚のうまぎで定評がある。場内の食堂ほ昼近くには閉店してしまうが、場外の「たけの食堂」や、KYピルの「いし辰」は午前から午後九時ないし十時までやっている。真っ昼問も、ひと仕事終えた市場関係者や買い出し客が、腹ごしらえを兼ねて、一杯やっている。築地の食堂は、朝から飲める飲み屋でもあり、たんに魚のうまさだけでなく、その活気にも独特のものがあっていい。
      • 築地では、てんぶらの「つま亀」、うなぎ屋の「宮川本廛」、ふぐ屋の「天竹」、新しい店で和食の「海彦」なども、ネタがよくて「値段の割においしい」店として知られる。
      • 築地のある中央区では、築地から橋一つ越えた勝鬨、月島、居酒屋の集中している東京駅前八重洲、日本橋、古い盛リ場の人形町なども、安くてうまい魚の店が多い地区だ。豊洲海や晴海の埠頭に近い勝鬨にはいい食堂が集まり、「のむら」のように二十四時間営業の店もある。夜遅く、近くの埠頭に着いた船の連中も、ほっとした顔で一杯やっている。月島には、近ごろHanako族にも人気の「岸田屋」や「ヤマニ」といった、魚のうまい居酒屋もある。
      • 東京駅に近い日本橋の八重洲界隈は魚のうまい居酒屋のメッカで、「玉乃光酒蔵」「魚がし」「三州屋」「いけ増」「樽長」など、会社の退け時のサラリーマンご愛用の店がひしめくように軒を並べている。中でも「灘コロンビア」はビールがうまいので評判の古い小さな居酒屋だが、実態ほほぼ「小さなビアホール」でありながら、肴は刺し身から場げ物、煮物まで、和風の魚料理が主体というのが珍しい。
      • 安くてうまいてんぷら屋として評判の、茅場町の「みかわ」も、看板のてんぷち以外の刺し身の魚まで、いいものを使っている。小網町のうなぎ屋「喜代川」は明治のうなぎ屋番付にも最上位にランクされた店だが、今も、店のたたずまいからウナギの味まで、風格がある。
      • 人形町は最近までは古い下町の雰囲気がよく残っていたが、ここへ来て、日本橋や兜町の延長のオフィス・ビル街と化しつつある。しかし、古い店も多く残っていて、江戸前の伝統を守る丁寧な仕事のすし屋「喜寿司」、京粕漬けの老舗だが和食の店もやっている「魚久」といった名代の店のほか、居酒屋の「笹新」「大観音」「赤垣」なども魚がうまく、洋食屋の「小春軒」やフランス料理の「カサドール」「ビストロ・ロワゾー・ブラン」などの魚料理もなかなかいい。
      • 神田では、JR神田駅前が安い居酒屋、すし屋の激戦区だが、全般的に下町的な、安くていい店が多い。老舗のうなぎの「神田川」、てんぷらの「天政」、テレピドラマにもなったすし屋の「鶴八」などは安い店とはいえないが、ウナギの「きくかね」(須田町)、「寿々喜」(小川町)やアンコウ鍋の「いせ源」(須田町)などは、誰にも入り易い値段だ。
      • 神田の酒屋では、明治三十八年創業の「みますや」(司町)をはじめ、「浅野屋」(神保町)、「三州屋本店」(神田駅前)、郷土料理も兼ねた「越中」「かんだ酔心」(ともに神田駅前)などもいい。
      • 上野湯島界隈も老舗の多い所だが、湯島と広小路店とあるてんふらの「天庄」、ウナギの「伊豆栄」あたリは、店の構えのわりにリーズナブルな値段の店だ。
      • 上野駅に近いせいか、北の郷士料理屋を兼ねた居酒屋が多く、「岩手屋」、「北畔」(津軽料理だが、支店もある)、「樽平」(山形料理)、「越後酒蔵」、「古志路」(新潟料理)などと揃っているのもこの界隈の待色で、それぞれ魚もいい。
      • 安くて追カがある魚の居酒屋ではアメ横ガード下の「にしき」もある。現在は改築中の「シンスケ」、串焼き専門だが地酒の揃った「ほし野」も、魚ネタのいい居酒屋。名物親父のおでん屋「たこ久」も、刺し身その他、なかなかうるさい魚料理を出す。
      • 浅草にも、江戸前の手本のようなすし屋の「美家古鮨」や、いつも行列のてんぷら屋の「大黒屋」「中清」、安くてうまいとこれも行列の絶えないフグの「三浦屋」、うなぎ屋の「初小川」「前川」「やっこ」「小柳」など、古くて有名な店が目白押しだ。
      • フグは東京では、むしろ江戸時代のほうがよく食ベたようで、今では高嶺の花だが、さすがに浅草問辺には、「三浦屋」以外にも「魚直」「にびき」(ともに下谷)、「魚昇」(浅草)、「ひようたん」(墨田区緑)など、安いので知られた店が集まっている。
      • おでんの「大多福」「丸大ごうし」なども、専門外の魚ネ夕が意外に充実している。洋食屋の「大阪屋」や「大宮」などの魚メニューもいい。これももう古い店だが秋田料理の居酒屋「あらまさ」の魚もいい。「川松」は和食なら蒲焼きから刺し身、てんぷらと何でもござれの大衆割烹で、こういうのも浅草的だ。
      • 比較的新しい店では、電気館にできた魚料理の店「鯛や」や、麦とろ専門の老舗が作った「とろろと海鮮・むぎとろ」などもおもしろい。
      • 浅草橋の洋食屋「大吉」も、メニューの幅が広く、魚介類の料理もいろいろある。両国橋に近い柳橋の大老舗の「亀清楼」がマンション・ビルに化して、気楽に江戸料理を味わえる和食の店をやっているが、値段は意外に安い。両国橋を越えると、ウナギの「両国」、そして、国技館のお膝もとだけに、ちゃんこ鍋やフグが看板の店が多い。
      • 同じく川向こうの深川では、魚の店で老舗といえるのは高橋のドジョウの「伊せ喜」ぐらいだが、門前仲町の「魚三」は、東京一魚ネタが安くて揃っている居酒屋として知らねる.系列店が新小岩や森下町にもある。近くの和食・ウナギの「富水」も負けずに安い。
      • 深川森下町の、有名なケトバシの「みの家」の並ぴの、焼きトン・煮込みが看板の居酒屋「山利喜」もファンの多い店で、魚ネタもいい。深川芭蕉記念館近くには、アサリ丼といったら早い深川名物の深川飯の「みやこ」(常盤町)もある。店の前に蛤塚があリ、ハマグリ専門を称しているが、ゲテもの的な変わったネタも多い「やき蛤」(住吉町)も、深川らしい、ユニークな店だ。
      • 下町の魚料理の一つの特色として、川魚料埋の店をあげることもできる。
      • 川魚とは料理の場合淡水魚全体を意味し、ウナギ、コイ、ドジョウ、フナ、ナマズなどのほかに、渓流のアユ、マス、ヤマメ、イワナなど、そして、海魚だが川でよく漁獲されるシラウオやハゼ、ポラなども含まれる場合があリ、魚ではないが、スッポンも含まれる。
      • 漁業が近代化される以前は、海での水場げが今ほどではなく、食料としても、今より相村的に淡水魚の比重が高かっだはずだ。江戸人も、今の東京人よリはずっと多くの淡水魚を食べていたようだ。
      • 今では川魚料理の中でウナギだけが、養殖の普及もあって、全国的によく食べられているいっぽうで、ほかの川魚はあまり食ベられなくなリ、「川魚は気持ちが悪い」などと意味もなく敬遠する人も多い。
      • 川魚料理の店は、昔は流通が発達していなかったこともあリ、川筋や水郷に発達した。昔は神田川や深川などもウナギがよくとれて、名代のうなぎ屋、川魚料理屋は、隅田川沿いの下町や江戸川沿いに多かった。
      • 今残っている店も、ドジョウや川魚料理で知られる店は、深川高橋の「伊せ喜」、両国の「桔梗屋」、浅草の「飯田屋」「駒形どぜう」、そして川魚料理では、寅さんのお陰で東京の下町の仲間入リした観のある柴又の「川千屋」「川甚」など、ごく偏っている。下町のどじょう屋はまた、冬はなぜか申し合わせたように、ナマズの鍋もやるのがおもしろい。
      • 川魚料理に数えられているスッポンも、店によっては大変な値段を取られるが、日本橋室町の「亀とみ」や、柳橋の「亀清楼」などは、まだン千円で試すことができる。浅草にはもっと安い店もある。
      • 浅草にはまた、これも珍品の、ヤツメウナギ専門の店も、仁丹塔筋向かいの「八つ目鰻」など数軒あり、門前仲町の深川小動尊の縁日にも必ず屋台の八つ目鰻屋が出ている。
      • 門前仲町の「鮎の里山幸」は、東京の下町には珍しい、安いが天然鮎料理専門の店だ。

  2. 居酒屋、酒と肴
    1. 日本酒の変身と居酒屋
      • 日本酒を決定的に悪くしたのは戦争(第二次世界大戦)だった。食糧の欠乏で酒の減産は昭和22年まで続き、22年のドン底には、戦争中の昭和12年の9%にまで生産がダウンした。酒不足に対応するため、ほんらい醪(もろみ)からとれる酒の2倍の量のアルコール、ブドウ糖、水飴、グルタミン酸ソーダ、水などを添加し、3倍の酒を造る、いわゆる「三増酒」の生産も、昭和24年から盛んになった。昭和24年にはすでに酒の統制は解除されたが、酒の極度の不足はなお続き、造りさえすれば売れる状態だったので、大蔵省も酒の業界も、酒の品質を高めるよりもっぱら量産に力をいれたのだった。
      • こういう程度の悪い酒では、戦後急速に伸びたビールをはじめとする洋酒類に対抗できるはずもなく、消費量のじり貧傾向が続いた。昭和40年代の後半ぐらいから、酒造業界にも危機感がつのり、心ある酒造業者の間に、良質な酒の製造を心がける酒蔵がぼつぼつ出てきたようだ。純米酒や本醸造、吟醸酒の生産にはずみがついたのは昭和50年代に入ってからで、これでやっと日本酒業界にも本当の戦後が訪れた。しかし、昭和10年代の戦争で始まった酒類の統制以来の日本酒の混乱は、完全に収束するのに40年以上もの歳月が費やされたのだった。

    2. 日本酒と魚料理の相性
      • 平成4年の4月から日本酒の等級がなくなった。この等級の格付けはきわめていい加減で、国税庁に申請すればだいたいパスした。ようするに、等級にしたがって税金を多く払えばお墨付きはもらえたのである。ちなみに、級別の税金は2級が194円、1級が503円、特級は1,027円と、2級と特級では5倍以上もの差があったのだった。
      • 日本酒の分類
        • 「純米酒」: 米、米麹、水以外の添加物を認めない。精米歩合は70%以下。
        • 「本醸造酒」: 醪(もろみ)の段階で、醸造用アルコールの添加が一定限度まで認められている。コメ1トンにつき120リットル以下、できあがった酒の全アルコール分の4分の1以下。
        • 「吟醸酒」: 精米歩合60%以下で、ふつうの発酵温度よりも低温でゆっくり発酵させる。酵母も吟醸酒用の特別な品種を使う。アルコール添加は、アルコール分換算で全体の12分の1程度。アルコール添加なしのものが「純米吟醸酒」。
        • 「大吟醸酒」: 精米歩合50%以下。アルコール添加は吟醸酒よりさらに押さえる。アルコール添加をしない「純米大吟醸酒」では、特に杜氏の高度の技量が必要とされる。
        • その他: 現在も量的には生産コストの安い「アル添酒」「三増酒」のシェアが大きい。また、醪(もろみ)をこした後、加水せず製品化した「原酒」、火入れ(低温加熱殺菌)をしない「生酒」(少し違う「生詰め」「生貯蔵酒」もある)、単一工場で造った純米酒だけの、一切ブレンドしてない「生一本(きいっぽん)」、樽で貯蔵し「木香(きが)」をつける「樽酒」(薦(こも)かぶり)、低温で長期熟成した「古酒」、しぼりたてでまったく熟成させない「新酒」(新走りともいう)、醪(もろみ)のままでしぼらない「濁酒」(どぶろく)、しぼりたての原酒を瞬間凍結した「凍結酒」などもある。
      • これらの、じつにさまざまな酒がどういう料理に向くかとなると、ことは簡単ではない。人によって言うことはまったくばらばらだ。ただ、大ざっぱな考え方として、生臭みの強い青魚(回遊魚)の刺し身の場合、臭みを消したければぬる燗の酒のほうがよく、それなら値段的にも安い本醸造がぴったりではないかという気がする。
      • 味のデリケートな白身の刺し身、そしてホタテ、ホッキガイ、カキ、イカ、生ダコなどの生ものには、ふところが許せば吟醸や大吟醸のやや辛口がいいかもしれない。
      • 刺し身も川魚となると、本醸造の生酒で行ってみたい気もする。川魚の微妙な癖を味わうには、辛からず、甘からずの、いわゆる「旨口」がいいかもしれない。
      • 白身魚の塩焼きは、刺し身と同じく吟醸、大吟醸路線でいいが、海魚でも味噌漬け、西京漬け、そして川魚の塩焼き、魚田(焼いてサンショウ味噌を塗る)などは、本醸造か純米のぬる燗でいいのではないか。
      • 味が濃い蒲焼き、サザエのつぼ焼きなどは、辛口の純米、生酒などを合わせてみたい。
      • てんぷら、空揚げ類、炒め物など、油っこい料理は、吟醸、大吟醸で口をさっぱりさせたい。がん漬け(九州のシオマネキの塩漬け)、塩辛、アユうるかなど、特に塩辛く癖のある肴のたぐいも同じだ。
      • 肉料理は、脂の多いものなら、重い純米のほうが負けない。馬刺しやクジラも同じことがいえそうだ。古酒もおもしろいかもしれない。
      • 古漬けたくあん、べったら漬け、アクの強い山野草のたぐいは、本醸造でいいのではないかと思う。絶対日本酒が似合うそばも、本醸造のぬる燗が一番まともという感じがする。

    3. 居酒屋サバイバル作戦
      • ぼくにとって、居酒屋のよさの中で、安いということはやはり最大のメリットだ。その点、頼りになるのは昔ながらの居酒屋や食堂だ。しっかり地元の固定客をつかんでいる居酒屋は、だいたい、そこそこの値段で、比較的生きもよく、味もまずまずの肴がそろっている。安くてうまい居酒屋は、人の少しでも集まるところにはだいたいあるといっていい。
      • いい居酒屋の条件としては、安くておいしく、くつろいで飲めるといった基本的な条件だけで十分とはいえない。なるべく便利な場所にあり、ある程度収容能力があって、たとえ満員でもちょっと待てばすぐ入れるか、あるいは、どうしてもダメな場合、それに代わる店が近くにあることが望ましい。ことに単独ではなく、人と飲むような場合にそれは必要だ。だから、まず、いい居酒屋が1軒ではなく、2軒以上ある界隈を知っておくことが必要だ。
      • 東京で居酒屋の密集地帯というと、まず東京駅八重洲界隈がある。銀座も大小のいい居酒屋が案外そろっている。新橋・虎ノ門界隈もいい。赤坂もある。下町の人形町、神田、上野、浅草は二重マルか三重マルだ。北千住や門前仲町もいい。ジャリの町と思われている六本木や渋谷も捨てたものではない。新宿も、ちょっと広すぎてまとまりは悪いが、かなりある。中野、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪は各駅停車みたいだが、みなまあまあだ。最近は、下北沢や三軒茶屋も悪くない。
      • しかし、わざわざ電車に乗って出かけるだけの値打ちがある居酒屋となると、東京広しといえど、そう多くはない。たとえば自由が丘の「金田」や、北千住の「大はし」、赤羽の「まるます」、神田司町の「みますや」、神保町の「浅野屋」、上野の「岩手屋」、浅草の「三岩」や「松風」「神谷バー」、人形町の「笹新」、東京駅八重洲口の「玉乃光」「灘コロンビア」、銀座の「樽平」「三州屋」、虎ノ門の「升本」「鈴傳」、中野の「第二力酒蔵」、阿佐ヶ谷の「北大路」、荻窪の「東菊」、門前仲町の「魚三」、大塚の「江戸一」あたりは、貫禄といい、雰囲気といい、また内容といい、居酒屋の好きな人なら、わざわざ飲みに電車賃を払って行っても損のない名店といえる。
      • これらの店はみな、共通してかなりの歴史のある店だ。源平や足利時代ぐらいから続いている店もあるイギリスのパブにはとてもかなわないが、北千住の「大はし」は創業が明治10年、神田司町の「みますや」は明治38年だ。もしも割烹料理店などでそんな歴史のある店だったら、われわれのような素寒貧のイチゲン野郎には、おいそれと覗くこともできないが、居酒屋の場合は、どんな大老舗だって、いつでも、紹介状もなしに、ぷらりと入って行ける。ただ、焼き鳥や焼きトンに関しては、オールラウンドの居酒屋より、それぞれの専門で知られた店のほうが、モノはいい場合が圧倒的に多い。
      • 最後に、魚ネタ中心の居酒屋で、値段が安い点で、これが東京では極めつけといえる店を3軒あげるなら、門前仲町と新小岩の「魚三」と、アメ横の上野よりのガード下の居酒屋「大和」を推薦しておこう。この3軒より安い店があったら、すぐ飛んでいくから教えて欲しい。

    4. 居酒屋の四季
      • 年酒(ねんしゅ)(正月): 森羅万象が神である日本では、新たに訪れる年も神であり、その新しい年に一献捧げなくてはならない。浅草のような、正月は休まない酒場、たとえば下町的憎たれ口の応酬が楽しい浅草ひさご通りの「甘粕スタンド」などで神様と一杯やるのが正月らしい。
      • 雪見酒(2月): 手近の少し高いビルにでものぼって雪景色を堪能したあと、新宿あたりの韓国居酒屋へでも行って、胃の焼けるような辛い蟹鍋かアンコウ鍋でも突っつき、マッカリでも飲んで、異国の雪景色でも想像すればいい。雪のない南の国の人は、雪を見ると興奮するから、上野、浅草、錦糸町あたりのフィリピン居酒屋か、タイ風居酒屋も、雪の日は華やいで楽しい。
      • 新走り(3月): 寒仕込みの新酒の出揃う時期。蔵元と直結している居酒屋などで、できたての、香り高い新走りを楽しみたい。たとえば八丁堀や新橋の「真澄」、新橋の「樽一」などで。
      • 花見酒(4月): 花の下で適当に下地を作ったあと、最寄りの、心きいたる居酒屋で、絢爛と花開いた酔いの仕上げをすればいい。
      • 端午の酒(5月): 昔ならなにはおいても初ガツオで一杯という時期なのだが、昨今は春も浅いころから初ガツオが出回るので、シラケることおびただしい。そこで向きを変えて、中華居酒屋へ行き、端午の節句の粽(ちまき)で紹興酒でも傾けたい。最初からちまきでは十分飲めないから、腐乳(中国風豆腐チーズ)、クラゲの冷菜、イカ団子などの佳肴でじっくり飲み、ちまきは仕上げかお土産としよう。
      • みそぎ酒(6月): 6月の末は1年の半ばで、みそぎの時期だから、茅の輪をくぐったりしてお祓いをする。深川では富岡八幡に立派な茅の輪が立つ。「魚三」の4時の開店の前に茅の輪をくぐり、イサキやコチ、シマアジ、カンパチ、スズキなどの夏魚の刺し身で明るいうちに一杯やれば、めでたく半年のみそぎは済み、年の後半に立ち向かう元気もわいてこよう。
      • 暑気払い(7月): 冷房のなかった昔は、酒飲みは焼酎などを飲んで、気合いで暑さに負けまいとした。そこで、暑い盛りには、焼酎・泡盛が売りものの、九州や沖縄の郷土料理居酒屋で、キビナゴ、カラシ蓮根、豚や豚足の煮込みなどを肴に、焼酎をストレートかロックで飲んで、古人の元気にあやかりたい。
      • 盆の酒(8月): 東京が閑散とする8月の盆前後は、まさに「しずかに飲むべかりけり」の時期なのだ。この時期は居酒屋も休みが多いが、本当の江戸っ子の盆は7月だから、そういう親父や女将の店はやっている。
      • 月見酒(9月): 虫も鳴きだし、月は澄み、酒が一段と味わいを増す時期でもある。東京の汚れた夜空でも月は何とか見れる。月をお供に連れてはじごするのは悪くない。
      • 菊の酒(10月): 昔は旧暦9月9日の重陽(ちょうよう)の節句を「菊の節句」とも称し、宮中で菊の宴が開かれたほか、一般でも菊の花びらを浮かべた菊の酒を飲んだりしたらしい。
      • 紅葉酒(11月): 紅葉は、昔の日本人には、酒を楽しむ理由の一つだったようだ。ちょうどこの頃から、燗をした酒が恋しくなる。むかしながらのほどよい燗をしてくれる居酒屋は、近頃いよいよ希で、貴重な存在となりつつあるが、ゆく秋を惜しむためにも、忘れたくないものだ。
      • 年忘れ(12月): いまや12月は、日本人がもっとも大っぴらに、毎晩酒を飲める数少ないチャンスとなった。この時期の居酒屋は、忘年会がらみの団体客が多く、その態度の悪さに閉口することも多い。騒がしいのが嫌いなら、キャパの小さな居酒屋をマークしておくか、団体のあまり来ないそば屋、あるいはうんと駅から遠い居酒屋などを選ぶといい。

  3. 日本の酒場・居酒屋の歴史
    1. 大昔の酒場
      • 日本人は昔から「いいかっこし」で、酒を飲むことなどは、あまり自慢にならないことと考えていたらしく、資料的に確かな居酒屋の古い記録は、決して多いとはいえない。
      • 奈良時代には「酒肆(しゅし)」という居酒屋があった。平安時代にも食堂や酒場のようなものがあったらしいが、状況証拠だけで、具体的な記録はない。鎌倉時代には「好色屋」という酒場のことが時々出てくる。

    2. 江戸時代の酒場
      • 純然たる酒場の記録では、江戸の神田鎌倉河岸の「豊島屋」という酒屋が、元文年間(1736〜40)に店を改築し、豆腐も作り、店頭でその豆腐を焼いて田楽として売り出したことが記録に残っている。自家製の特大の田楽は馬方田楽として有名になり、酒も安く売ったので大評判だった。日雇いや乞食から武士までが押しかけたというから、ずいぶん民主的な酒場だったようだ。
      • 度々の地震や、江戸の名物だった火事で皆が困ったおリに、辻売りとも呼ばれる屋台店がどんどんでき、それらが定着して飲食店化していった。煮売りの品目は、魚や野菜の煮しめが多かった。ことに煮豆が多かった。煮売り屋は幕末にいたっても多く、煮豆以外には、コンニャク、クワイ、レンコン、ゴボウ、焼き豆腐、刻みするめなどが多かった。
      • 結論的にいうと、居酒屋も、歌舞伎や俳句、落語、釣り、和食などと同じく、江戸で完成したひとつの文化であり、居酒屋の肴は、豊かに充実した江戸前の海産物や近郊農村の作物に江戸人の好みや技術が加わって完成した大衆的食文化の集大成だった。今テレビ番組などで「本物」とか「こだわる」とかいっているグルメの正体も、だいたいは昔から居酒屋にあった「旬」や「取り立て」「作りたて」のふつうの食べ物でしかないのだ。

    3. 江戸川柳の居酒屋
      • 居酒屋でねんごろぶりは立ってのみ
        「ねんごろ」は、常連ぶる様子のこと。
      • 居酒屋のねんごろぶりはつまみぐい
      • 下戸の首二ツかかへて世話になり
      • から徳利起こしておくは罪つくり
      • 二日酔のんだ所を考へる
      • 大部屋の客は酒屋へつれていき
        しがない大部屋住まいの下級武士などは、友が来ても落ち着いて話もできず、「とりあえず居酒屋へ」ということになったようだ。

    4. 落語の居酒屋
      • 落語には居酒屋、煮売り屋、飯屋兼業の飲み屋などが出てくる噺も少なくない。当時の長屋はせまく、おそまつで、プライバシーもヘチマもなかったから、めし屋、居酒屋は、今の喫茶店のように、人と会ったり、話をするのにも使われた。
      • 落語の居酒屋といえば、まず思い出すのは、題名もずばり「居酒屋」。職人の酔っぱらいが縄のれんの居酒屋で、融通のきかない店番の小僧をからかうやりとりで笑わせる。この話は文化年間、19世紀のはじめにはもうあったらしい。名演といわれた先代・三遊亭金馬の「居酒屋」は、大正の居酒屋の雰囲気をよく伝えていると、随筆家・秋山安三郎が、その著「下町今昔」で書いている。
      • ほかにも「もう半分」「長者番付」「素人鰻」「二人旅(ににんたび)」「三味線栗毛」「ちきり伊勢屋」「首提灯」などで居酒屋の風情が語られている。

    5. 明治から昭和にかけての酒場・居酒屋
      • 明治の文明開化は日本の飲食文化にも大きな変化をもたらした。明治初年に流行した牛鍋は、古代以来、たてまえとしては忌みきらわれてきた肉食を一般化しただけでなく、洋酒の普及にも一役買った。しかし、牛鍋屋のビールやシャンパンの値段は日本酒の十倍以上もしたらしい。牛鍋屋の当初の主な客は官吏、学生など、当時のエリートが中心で、庶民が行くようになったのは、かなり後になってからだった。
      • 西洋料理も明治3年の築地精養軒ホテル、4、5年ごろの神田の三河屋、木挽町精養軒、9年の上野精養軒、10年には風月堂と相次いで開店した。これらの店ではビールのコップ売りもした。明治15年開店の「格安洋食」を売りものにした日本橋滋養亭あたりから普及にはずみがつき、30年代には屋台の洋食屋も出現した。
      • ビアホールは、明治8年に横浜に開店したスプリング・バレー・ビアガーデンが本邦初のビアホールだった。東京では新橋の恵比寿ビアホールが最初で、明治32年開業。暑気のビアホールのつまみは、大根の漬物やフキ、小エビの佃煮など純和風だった。
      • 明治初年開店の銀座尾張町の函館屋は、細長いスタンド形式で、棚に洋酒瓶をかざり、各種の洋酒やビールを1杯売りしたというから、日本人相手の本邦初のバーといえそうだ。
      • 現存する酒場としては、明治13年創業という浅草の神谷バーが一番古い。このとき、ブランデーなどをベースに、ワイン、薬草、甘味料などを調合した有名な「電気ブラン」を立ち飲みで客に飲ませ始めた。
      • 明治も末頃になると、洋食やコーヒー、洋酒を供し、エプロン姿の女給が給仕する「カフェ」という酒場のスタイルが決定的になっていった。カフェは大正期に入ってますます発展し、大震災以後は料理店と酒場と喫茶店を兼ねたようなカフェから、酒やコーヒーより女給の魅力で客を呼ぶカフェ、概してそれより規模が小さく、カウンターが主で洋酒を飲ませるバー、ダンサーを相手に踊るのが主体のダンスホール、クラシックやジャズなどの洋楽のレコードを聞かせ、コーヒーや洋酒を飲ませるコーヒー店等へと分化が進んだ。
      • 昭和は、サラリーマンに代表される中流生活者を大量に生み出した。大二次世界大戦の空襲による東京の徹底的な破壊は、酒のシーンの大衆化、洋風化を一段と加速した。風俗営業が、大阪資本によって絶えず新しいスタイルを発展させる傾向(主としてエロチシズムのエスカレーション)も、昭和初期の大阪資本のカフェの東京進出から目立ち始めた。

  4. 世界の居酒屋
    1. 中国の居酒屋
      • 中国の居酒屋は、紀元前の戦国時代(前403〜前221)からあったとする本がある。孔子(前551?〜前479)の教えの中には「酒は飲んでもいいが、乱れてはいけない。酒を店で買って飲んではいけない」といった戒めがあるところからすると、すでに居酒屋もあったように思える。
      • 唐代(618〜907)には、西域から葡萄酒も伝わり、酒の文化もエキゾチックに豊かになった。この時代の酒飲みのスーパースターが李白だ。友人・杜甫が「李白は一斗、詩百編」と歌ったほどよく飲み、書いたのだろう。ただし、当時の一斗は現在の一升程度とかなり少なかったらしい。
      • 元の時代になると、ペルシャ・アラビアの先進技術だった蒸留酒が中国に伝わった。焼酒とも呼ばれる蒸留酒は、現代中国では白酒(パイジュウ)と呼ばれ、茅台(マオタイ)をはじめとする中国8大名酒は、その6種が白酒で、全生産量の80%を占める。

    2. 古代バビロニア・エジプトの居酒屋
      • 古代文明で、最初にいろいろと酒の記録を残したのは、チグリス、ユーフラテス両河のほとりにバビロニア文明を打ち立てたシュメール人だ。ギリシャの伝説に、酒の神ディオニソスは、メソポタミアの住民があまりにもビールを飲み、でたらめな暮らしをしているのにあきれて逃げ出したと伝えている。
      • ワインもビールもはじめは薬でもあった。紀元前3千年代の終わりごろに薬の処方を書いた粘土板の中に、膏薬はワインで練り、飲み薬はビールで飲むといったことが書いてある。
      • メソポタミアではワインよりビールのほうがよく飲まれたようで、紀元前3千年代に生産された穀物の約40%がビールになり、労働者で1日約1リットル、下級の役人は2リットル、宮廷の女官や上級の役人は3リットル、大臣級や高僧には5リットルの配給があったことが記録に残っている。かなり日常的に飲まれていたわけだ。

    3. 古代ギリシャ・ローマの居酒屋
      • ローマでは食堂のタヴェルナが発達し、街道には日本の酒場の酒ばやしに似た、棒の先に木の葉を丸めて吊った看板を出した酒場も酒場も各地にできた。
      • 日本の酒ばやしは、ローマからシルクロードを経て中国経由で伝わったものだという。
      • そういう酒場風俗は、ローマに占領され属領となった今のフランス、スペイン、イギリスの各地にも広がった。

    4. ヨーロッパ中世の居酒屋
      • 教会や修道院はその土地を農民に貸し与え、できた農産物の一部を農民に加工させてビールも確保した。ビールは栄養価の高い飲み物であり、「肉体のパン」だった。「キリストの血」であるワインとともに、キリスト教ではビールを飲むことは信仰の妨げになると考えなかった。
      • 当然、僧院のビール醸造係の地位は重要で、特別な尊敬を受け、出世コースのひとつだった。そのかわり、仕込みに失敗すれば非難された。
      • 12世紀あたりから商業が盛んになり、都市が発達してくると、イギリスにも営業を目的としたビール醸造業者も現れた。中世後半は修道院ビールと業者のビールの並立時代だった。
      • 中世のイギリスでビールがいかに重要だったかは、13世紀後半の、パンやビールは原料の穀物や麦芽の値段とスライドすることに決めたヘンリー3世の「ブレッド・アンド・エール法」や、14世紀後半の当局によって任命されたビール鑑定人の登場でもわかる。

    5. イギリス近世の居酒屋
      • イギリス近代の居酒屋の歴史は、イギリス近代文学の場合と同じで、だいたい14世紀のチョーサーの「カンタベリー物語」からはじまる。カンタベリーへの巡礼路の途中には、酒場や、居酒屋も兼ねた宿屋などが多かった。
      • 1890年代、鉄道を中心とする交通の発達や、人口の大都市集中で、パブも規模が飛躍的に大きくなった。この時代のパブは、店の中央にぐるりとカウンターに囲まれて従業員が働くエリアがあり、客はその周囲で飲む「アイランド(島)型」が主流となった。その目的はより多くの客に能率的にサーヴできるためだった。(「ヴィクトリアン・パブ」のピーク)

    6. アメリカの酒場
      • 1609年にニューヨーク湾を探検したイギリス人の航海者ヘンリー・ハドソンは、島にいたインディアンに酒を飲ませた。インディアンは酔ってその島を「マナハチタニエンク(みんなが酔っ払ったところ)」と呼んだ。それが縮まって、後にマンハッタンとなった。
      • 初期アメリカ植民地では、ビールに並んでサイダー(リンゴ酒)がよく造られ、飲まれた。
      • ニュー・オリンズのオールド・アブサント・ハウスを、地元の人間は新大陸最古の酒場と称している。今でもこの店の名物のアブサント・フラッペは有名だ。
      • 同じく古い酒場のシティー・エクスチェンジは、1838年より、客に無料でランチを提供して評判となった。この酒場では1杯でも酒を飲めば、客は誰でも薫製のカキ、豚肉のバーベキュー、そしてニュー・オリンズの名物料理「ガンボ」(オクラや魚介類のシチュー)などを無料の肴として楽しむことができた。ガンボはカントリー&ウェスタンの名曲「ジャンバラヤ」にも出てくる。

    7. 現在のイギリスのパブ
      • パブはイギリスで最も一般的な酒場のスタイルであるばかりでなく、非常にイギリス的なフェノメナ(現象)ないしはインスティチューション(施設)だと、イギリス人も外国人もいう。
      • 以前は「パブリック・ハウス」という本来の名も示すように、集会所や簡易裁判所の役割も果たしていた。どこの村にも欠かせないのは教会とパブだった。現代でも、イギリスでは誰でも大人なら、勤め先の近くと家の近くに1軒ずつ、行きつけのパブを持つといわれる。立ち飲みが主体なので、定員もない。込んでいれば、客はジョッキを手にドアの外にもあふれ出る。
      • 1971年に、個性を欠いた量産向きのケッグ(金樽)・ビア(炭酸ガスを注入して量産するビール)の氾濫にあきたらない人々が、伝統的な手づくりのビールを守り、取り戻そうと「キャンペーン・フォー・リアル・エール」(略称CAMRA)をスタートさせた。CAMRAは毎年、全国でリアル・エールを提供している良心的なパブをリストアップし、ガイドする「グッド・ビア・ガイド」を出している。最近はリアル・エールを置く店が増えたので、以前より簡単にありつくことができる。
      • パブではセルフ・サービス、キャッシュ・オン・デリバリーが原則。よほどひまな田舎のパブでもないかぎり、テーブルに注文をとりに来たりしない。客はパブではまずカウンターへ直行。「ア・パイント・オブ・ビター・プリーズ」という具合に注文してグラスを受け取り、支払い(ふつうチップ不要)、それから、空いてる席を探すなり、立って飲むなりする。
      • 主として近所の住民だけが利用し、客はすべてお互いに顔見知り同士というようなパブはロンドンのような都会の片隅にも多い。地方に行けば、観光地でもないかぎり、ほとんどのパブがそういう酒場だ。そういうパブは大ざっぱに「ローカル」と呼ばれるが、ローカルはイギリスのパブの中でも際立った特色を持つ。
      • イギリスのパブは、よそ者も差別しないのが非常にいいところであるが、ローカルとなると話はかなり違ってくる。毎日ほぼ同じ時間にやってきて、同じ場所に座り、同じ仲間と同じような話をしながら同じ酒を飲む人ばかりの中に、東洋人がひとり紛れ込むのだから、はじめはあまり居心地がよくない。しかし、ローカルも3日も通い、おやじ(正式にはパブリカンとえらそうな呼び名を持つ)に話しかけ、その店の料理について聞くなどしているうちに、向こうもすぐになれて、なしくずしにこちらもローカル扱いするようになる。基本的には、吉田健一のひそみに倣い「自分の飲み料が確保されていることは明らかなのであるから、あとは自分の都合だけが店にいる時間を決める」(『ロンドンのパブ』)式の精神でいく。
      • 結論的にいえば、パブは本当にいいものだ。

  5. 首都圏酒場見聞録
    1. 古典的居酒屋
      • まるます家(まるますや)
        • 電話: 03-3902-5614
        • 住所: 北区赤羽1-17-7
        • 営業: 09:00-21:30、火休
        • JR赤羽駅東口斜め前の一番街をちょっと入った左側。看板に「鯉と蒲焼のまるます家」とある。朝の9時からやっていて、夜勤明けらしい人がウナギで栄養をつけながら軽く一杯やったりしていることもある。
        • 肴でおすすめは当然、まず看板のコイかウナギ。コイの洗い(350円)のほかにコイの刺身、コイこく(300円)やコイのうま煮もいい。ウナギでは、ふつうウナギ屋ではあまりやらないかぶと焼き(頭)やバラ身ポン酢和えが酒の肴にいい。きも吸いだけももらえる。
        • マグロ、カツオ、イカなど、海魚もひと通りあり、ときどき「はい。生きのいいタイの刺身が出ますよ」と、帳場のお内儀さんが叫ぶと、間髪を入れず客から注文の声がかかる。酒は金升(250円)。
        • 日曜、祝日もやっているのも嬉しい。暮れは大晦日まで営業というのにも脱帽。

      • 金田(かねだ)
        • 電話: 03-3717-7352
        • 住所: 目黒区自由が丘1-11-4
        • 営業: 17:00-22:00(土 -21:30)、日と連休の祝休
        • 居酒屋にも名店があるとすれば、この店はさしずめ、名店中の名店といってよい。おっとりと品のいい店。肴の作りがていねいなことは、特筆に値する。
        • 肴は魚介類中心だが、野菜もフキ、ミョウガ、トウガンなどの旬のものをそろえている。
        • 2階もあり、かなりの人数が入るが、早い時間はほとんど満員。遅くなると余裕はあるが、その代わりに、毎日日替わりの、読みやすく書き出してあるメニューから、売れセンの肴がどんどん消えていく。
        • 場所は東急東横線自由が丘正面出口を出て、すぐ右手のガードをくぐり、最初の角を左折して左側。

      • 笹新(ささしん)
        • 電話: 03-3668-2456
        • 住所: 中央区日本橋人形町2-20-2
        • 営業: 17:00-22:30、日祝・第3土休
        • 客席30足らずのこぢんまりした店だが、居酒屋の多い典型的な東京の下町人形町でも、人気断トツ。ただ、いつもいっぱいでなかなかすんなり入れない。開店後、間もなく満杯となり、しばらくはその状態が続く。開店ジャストか、逆にやや遅めが確率がよく、あとは待つしかない。客のかなりを占める地元の江戸っ子は、飲んでもさっと引き揚げるから、回転は比較的速い。少し待てば入れる。流し込みの相席。
        • 値段的にはもっと安い居酒屋もあるが、魚の鮮度のよさ、品ぞろえのよさ、そして店の人たちの、近所の人のようなあっさりした愛想など、総合点で、東京の居酒屋のベストテン上位にランクされる資格のある店だ。カウンターの前に大皿に盛って並んだ煮物もある。江戸風で味つけはやや濃いが、ていねいに煮つけてある。
        • 場所は地下鉄人形町ないし水天宮から3〜5分。水天宮通りから甘酒横丁を明治座方向に入り、二つめの角、右側。

      • 山利喜(やまりき)
        • 電話: 03-3633-1638
        • 住所: 江東区森下2-18-8
        • 営業: 17:00-22:00、日祝休
        • 都営地下鉄新宿線森下駅を降りてすぐ。森下交差点近く。有名なケトバシ(馬肉料理)の「みの家」の並びの居酒屋「山利喜」は、この界隈では古い店だ。以前、近くの高橋(タカバシと読む)にドヤが多かったころはもっと迫力のある店だった。
        • 看板にも「焼きトン」と大きくうたっているほどで、本来はモツ焼きと煮込みに焼酎の店だ。焼きトン(90円)や煮込み(350円)、レバー刺し(450円)も相変わらずいい。しかし、下町だけに、いつも20種類前後ある魚のネタも、昔からなかなかのものだ。
        • 居酒屋にしては割合とよくメニューの変わる店だが、刺し身は中落ち350円から活きじめヒラメ1000円くらいまで。タコ刺し、ナマコ酢、生カキ、タラ白子ぽん酢などもある。焼き物にウナギ肝、エビ鬼殻焼き、カキ殻焼き、同チーズ焼きなどもある。煮物はつみれ汁150円から、カキ土手鍋850円の間。魚の活きはいうことなし。
        • 清酒はなぜか「鬼殺し」が中心というのもこの店らしい。会津から越後、越中、飛騨、出雲と「鬼殺し」の揃い踏みだ。それが320円均一。ほかにも、人気の地酒「菊水」や「久保田」、「月の桂」の大徳利(450円)や樽酒、純米吟醸酒などもあって、ちょっとした銘酒居酒屋といったところ。
        • もともとは焼酎の店(とぼくは勝手に思い込んでいる)だから、酎ハイやウーロンハイを注文しても中身が濃い。

      • 玉乃光酒蔵(たまのひかりさかぐら)
        • 電話: 03-3274-6888
        • 住所: 中央区八重洲2-1 八重洲地下街南1号
        • 営業: 11:30-14:00(ランチ)、16:00-22:00、土は -20:00、無休
        • まず酒だが、ここはあの「美味しんぼ」も絶賛した、純米酒の原点のような京都伏見の「玉乃光」蔵元直営の店だ。
        • 酒は当然、蔵元直送、純米の玉乃光一本槍だが、純米大吟醸備前雄町620円、純米吟醸山田錦520円、普通の純米吟醸(冷・燗とも)340円。純米焼酎350円や、珍しい「肝臓を活性化し、ガンを予防する」というミルク酒クイムス150円もある。ビールは480円。
        • 魚のレベルは居酒屋としては最高で料理もていねい。魚以外の酒の肴もかなりそろっている。

      • 樽一(たるいち)
        • 電話: 03-3208-9772
        • 住所: 新宿区歌舞伎町1-17-12 浅川ビル5F
        • 営業: 17:00-23:00、日祝休
        • この店には宮城の名酒「浦霞」の全銘柄が蔵元直送でそろっている。浦霞だけで10種類あり、中には「みぞれ酒」などという珍品もある。他にも地酒のめぼしいところは勢揃いである。
        • さらにこの店は、魚中心の肴もなかなか半端じゃない。
        • 極めつきは、今時珍しいクジラ(解剖図付き)で30種もメニューがあり、タケリ(ペニス)もホーデンも女性自身も600〜700円。特に鍋がいい。
        • 場所は靖国通りから、コマ劇場に突き当たる広い通りに入ってすぐ左、1階が喫茶店マイアミのビルの5階。

      • もきち
        • 電話: 03-3267-5307
        • 住所: 新宿区横寺町35
        • 営業: 17:00-24:00(土 -23:00)、日祝休
        • この店がユニークなのは、店の名をブランドにしたオリジナルの酒をもっていること。酒はほかにも燗酒用地酒2合800円のほか、純米は刈穂や田酒、天狗舞、春鹿、清泉とそろえ、本醸造は久保田、吟醸は出羽桜。純米中心で、これ見よがしに高い酒を売ろうという姿勢がないのが心憎い。
        • オーナーは米沢出身らしく、イモご汁、行者ニンニク、焼き納豆、ヤマメ、イワナ、鹿肉たたき、カエル空揚げ等といった、それらしいメニューもあるが、それが主というほどではない。むしろメニューの中心は、刺身、焼き物、干物、揚げ物、煮物など、フツーの肴だ。使っている醤油、味醂、みそ、油、コショウ、砂糖までブランドをそれぞれ表示し、材料にいかに気を使っているかがわかる。酒に劣らず、料理もタダモノではないのは当然だ。
        • 神楽坂駅神楽坂よりの食品店木村屋を右折、100メートル先、左側。ビルの1階に「田舎料理」の看板と提灯を出している。

      • 升本(ますもと)
        • 電話: 03-3501-9820
        • 住所: 港区虎ノ門1-8-16
        • 営業: 17:00-22:00、土日祝休
        • 昔も今も酒屋であるから、酒も肴もどっちもいうことなした。
        • 構えも堂々として、一種の風格のある店なので、知らない人は「高そうだな」などと思いかねないが、さにあらず、大変な掘り出しもの。
        • 今時、都心で清酒が230円、焼酎なら150円から飲める。そればかりか、ワインの赤、白、オールドが横一線250円というのもおもしろい。
        • ここの看板の酒は「霞ヶ関」「虎ノ門」といった、あまり聞かない名の酒だ。これはオリジナル・ブレンドで、値段の割りにうまい酒を造っている。
        • ここはなぜか、昔からタコが売りで、名物タコおでん600円のボリュームには、初めての人はみな驚く。タコぶつ700円やジャンボタコ1700円もある。
        • 2階もあり、かなりゆったりしているので、相席でも気にならず、そのせいか一人で飲む常連も多い。場所柄、客はほとんどホワイトカラー族。
        • 升本は銀座8丁目店、新橋田村町店もあるが、虎ノ門店が一段とゆったりしている。

      • 江戸一(えどいち)
        • 電話: 03-3945-3032
        • 住所: 豊島区南大塚2-45-4
        • 営業: 17:00-22:00、日祝休
        • 地酒ブームの前から、全国の優秀な地酒が揃っている店として、日本酒党の間に知れわたっている店。もとは酒屋だったというが、名前の通り江戸風のさりげない飲み屋。幅50センチもある厚いヒノキの1枚板のコの字型カウンターの外に客は座り、店の人たちは中にいるが、そこは板敷きとなっている。内装も昔の居酒屋らしい、木を十分に使った造りで、気分も落ち着く。奥にテーブルもあるが、座るならこのカウンターに限る。中の人は、年齢はさまざまだが女性ばかり4人で、みなあたり柔らかく、客も、かなりできあがっている人はいても、声を張り上げるような人はいない。
        • 魚のあら煮や、あらの吸物が評判がいいことにも、この店のよさが表れている。書き出された酒の肴は魚介類中心で、多からず少なからずの30種ほど。
        • 場所は大塚駅の環状線内側。線路とほぼ直交している春日通りに面し、駅正面の三菱銀行のほぼまん前。

      • 鶴八(つるはち)
        • 住所: 千代田区三崎町2-9-10
        • 営業: 17:00-22:30
        • この店を「東京一の酒亭」といい切るファンも多いという。場所はJR水道橋駅東口近い三崎稲荷神社の斜め前。東京歯科大の裏手。ビルの中の店ではあるが、欅(けやき)の一枚板のカウンターから店内の造作まで、木の香りが漂い、居酒屋というよりは割烹に近いたたずまいだ。
        • 店に入れば、カウンターに据えた賀茂鶴、剣菱、菊正、白鷹、白雪の二斗樽がいやでも目に入る。魚も養殖や冷凍物は使わないとのこと。したがって、飲み屋としては値段も少々はる。メニューなし、値段不明の店で、あまりぎりぎりの飲み代では行けない。
        • 行くたびに、いくらとられるのか少し心配になるが、ふつうの旬の魚の刺身盛り合わせや、定番の料理、茶塩で食べる天ぷらなどを肴に、軽くやる程度なら、意外と安い店だ。

      • 岩手屋支店(いわてやしてん)
        • 電話: 03-3831-9317
        • 住所: 文京区湯島3-37-9
        • 営業: 16:00-22:00、日祝休
        • 看板に「奥様公認酒場」とある。質実剛健で、地味で、それでいてなぜか不思議に心安らぎ、東京にいるのを忘れさせてくれるような店。
        • メニューはやたら網羅的というのではなく、むしろ厳選といった感じ。刺身、煮物、焼き物、和え物などのほか、トンブリ、マタタビ、イナゴ、松藻などのみちのくの珍味もある。
        • 近くに昭和24年創業の本店もあるが、ぼくはこの少しひっこんだ支店が好きだ。場所は地下鉄湯島駅から1〜2分。

      • 魚三(うおさん)
        • 電話: 03-3655-7295
        • 住所: 葛飾区新小岩2-10-7
        • 営業: 16:00-22:00、日祝休
        • 居酒屋が好きな人なら、門前仲町の「魚三」の名はとっくに耳にしたことがあろう。こちらは新小岩の「魚三」。JR新小岩駅を海側に出て、駅前左手の広い通り、船堀街道の2、3分先左側。門前仲町の「魚三」よりゆったりと落ち着いて飲める。
        • メニューの設定は、幾分バラエティーの点で控えめな感じだが、門仲とよく似ている。

      • 第二力酒蔵(だいにちからしゅぞう)
        • 電話: 03-3385-6471
        • 住所: 中野区中野5-32-15
        • 営業: 14:00-23:00、日休
        • この店は値段的には大衆的居酒屋よりいくらか高い程度だが、料理は質量ともに立派なもので、居酒屋が軒並みの中野駅周辺でも、掘り出しものといえる。
        • この店をのぞくようになって約10年になるが、質のレベルは10年前よりアップ。しかし、盛りのよさと値段の安さは変わらないのが見事だ。
        • ここでまず圧倒されるのはメニューの豊富さで、定番に加えて日替わりのネタもいろいろあるが、今回のぞいた日は刺し身だけでざっと25種あった。
        • 刺し身は盛り合わせ(1500円)、貝刺し身盛り合わせ(1800円)、マグロ(980円)などといったところだが、とにかく盛りがよく、活きがいいので、この値段では安い。
        • 近くに第一とか第三力もあるが、経営は別のよし。

      • 樽平(たるへい)
        • 電話: 03-3571-4310
        • 住所: 中央区銀座8-7-9
        • 営業: 17:00-23:00、土 16:30-22:30、日祝・第3土(11、12月をのぞく)休
        • 銀座の酒飲みの間では有名すぎるほど有名な老舗。銀座以外にも、新宿、池袋、神田などにもあるが、銀座の店が一番物静かで風格がある。
        • 酒は山形の地酒樽平の酒蔵直送。
        • 定番的な魚介ネタの他に、この店には、山形独特の肴が季節によっていろいろある。
        • 場所は、銀座通りの外れ、博品館裏の金春(こんぱる)通りを新橋寄りから入り、最初の細い路地、金原小路を左折してすぐ左側。

      • 浅野屋(あさのや)
        • 電話: 03-3291-0236
        • 住所: 千代田区神田神保町1-15
        • 営業: 16:00-24:00、日祝休
        • 神田神保町界隈の居酒屋というと、ガンコ親父と焼酎で売った「兵六」が名高いが、このすずらん通り中ほどの「浅野屋」は、まことにまっとうな、しっかりした居酒屋だ。1階はちょっと変わった、ひとりがやっと通れる間隔で向き合ったヒノキのカウンターの椅子席で、2、3階は座敷。
        • 壁いっぱいに黒い札の品書きが並んでいるが、料理の数はざっと70〜80といったところ。魚のモノはいいが、特に生ものが主力というわけではない。和食・魚系と洋食・肉系がバランスよくそろっていて、全体として無駄のないメニュー。
        • メニューに対応して、客層も幅広い。ネクタイ族が主だが、場所柄、商社や出版社系が主のようで、ガサツな声を張り上げる連中はいない。グループもいれば独酌もいる。学生から窓際まで、あらゆる年齢層の客が混じっていて、少しも違和感がない。

      • 北大路(きたおおじ)
        • 電話: 03-3338-8666
        • 住所: 杉並区阿佐谷北2-13-16
        • 営業: 17:30-22:30、土日祝休
        • 路地の入り口からのぞいても、見えるか見えないかの密やかな看板。一見しもたや風で飲み屋という雰囲気には遠い。
        • 中に入れば、畳の席のほか、椅子席も畳張りで、しゃんと背を伸ばした女将は、注文を受ける机の前に、長火鉢をわきに、端然と正座。当然着物姿で、活けたしゃくやくのつぼみが似合う。杉皮の天井。ゆったりした席のとり方。この店ではすべてが、静かに酒と肴、そして会話を楽しむようにできている。
        • 昭和25年に開店、現在の建物は昭和30年代のものときくが、古きよき昭和が静かに息づいているような店だ。
        • 日本酒は地酒ブームが騒がれる以前から、吟醸、原酒なども含めていろいろ揃えていた。冷酒もあるが、昔ながらに燗して落ち着いて飲める酒が多いのがいい。
        • 肴は種類の数からいうとやや控え目で、壁のメニューに値段がなくて、いささか値段の点で不安だが、お通し、ぬた、サワラの焼き魚、肉じゃが、味噌こんにゃくの5品に酒3本で5千円弱と、一見高そうな気配のわりにはごく良心的な値段だ。
        • 場所はJR阿佐ヶ谷駅北口のパサージュ阿佐ヶ谷を通り抜け、「げんこつラーメン」を左折してすぐの八百屋の角を左へ入った路地の右側。

      • 大はし(おおはし)
        • 電話: 03-3881-6050
        • 住所: 足立区千住3-46
        • 営業: 16:30-22:30、日休
        • 創業明治10年という大変な歴史の酒場。場所は北千住駅西口より、駅前商店街を日光街道方向へ進み、緑屋の角をサンロード商店街へ右折し、ちょっと行った左側。
        • たたきの土間。「名物に旨いもの有り北千住、牛の煮込みで渡る大はし」とはり紙があり、名物と自負する230円也の煮込みもいいが、千住の魚河岸に近い地の利からか、肴は魚介類が中心といってもいい。メニューは変化に富み、チェーンの大衆居酒屋より、むしろ割安。ネタの鮮度も悪くない。
        • 家族経営的なサービスもおおらかでいい。多くの客が格安の焼酎のボトルをとっている(キープ1カ月)。1991年暮れで日本酒230円、ビール大430円、焼酎1杯150円、ボトル1500円。

      • みますや
        • 電話: 03-3294-5433
        • 住所: 千代田区神田司町2-15
        • 営業: 16:30-23:30、日祝休
        • 地下鉄丸ノ内線淡路町や都営新宿線の小川町に近く、淡路町交差点の大手町寄り、2本目の細い通りを右に入りすぐ左折した右側。創業明治38年。当主が3代目という歴史に加えて、繊細も免れたという古い店構えは堂々とした風格。ひろびろとしたたたきの土間、高い天井は、戦前の日本の暮らしの余裕を偲ばせる。
        • この店は本物のレトロな雰囲気ばかりでなく、安さでも界隈で有名。だから常連客が多く、130人も入る店がいつも満員だが、フリの客でもけっして粗末にしないところもまた本物の証拠。
        • 魚河岸で仕入れる季節感あふれる新鮮な魚も人気の一因だが、牛煮込み、馬刺しもよく、宮崎の本格焼酎との相性も抜群。メニューの幅は広く、千円でも酔える店。煮物もいろいろあり、さくら刺し(馬刺し)もやっている。

      • 東菊(あずまぎく)
        • 電話: 03-3391-1839
        • 住所: 杉並区上荻窪1-5
        • 営業: 16:00-23:30(土日 14:00- )、木休
        • この店で第一にシビれるのは、酒の安さだ。実際のところ、肴のほうは、酒場の永遠のスタンダード・ナンバーのオン・パレードという感じで、どれも手堅いが、酒は盛りがよく安い。
        • 場所はJR荻窪駅北口をおり、線路沿いの道を新宿方向へ戻り、突き当たりを左折してすぐ左側。線路の下をくぐる南北連絡地下道入り口近く。中には畳の部屋もあるが、飲むならやはり入ってすぐのカウンターで飲むのが一番この店らしい。
        • 土・日は午後2時からというのもうれしい店だ。

    2. 銘酒居酒屋
      • 鈴傳酒舗
        • 電話: 03-3580-1944
        • 住所: 港区虎ノ門1-2-15
        • 営業: 17:00-22:30、土日祝休
        • なんといってもうれしいのは地酒のラインアップだ。ざっと40種類ほどの清酒は、桜正宗本醸造250円から始まって、300円で一の蔵無監査、沢の井大辛口、木戸泉吟魂とうるさいところが並ぶ。それでいて、銘酒居酒屋に多い、1杯1000円以上もする大吟醸など、高い酒は見かけないのがさらにリッパ。
        • 肴はそれほど種類が多くはないが、刺身、煮魚、焼き魚、酢の物から肉豆腐、おでんまで一通りそろい、目刺し、冷奴250円からと、これまた安い。
        • 場所柄、手堅い背広族中心で、あまり女性客はいない。「大虎にならぬ手前の虎ノ門」と壁に張り紙がしてあるが、酒よし、気分よし、ついついトラになる恐れは十分の店だ。

      • きたやま
        • 電話: 03-3946-5366
        • 住所: 豊島区南大塚2-44-3
        • 営業: 17:00-23:00、日祝休
        • 酒はメニューに約20銘柄、メニューに載らない酒も約20銘柄と厳選。本醸造はグラス1杯450円、純米は500円よりと、値段的にも納得。吟醸、大吟醸、特殊な生酒、古酒などは小ぶりのワイングラス売りで、値段も550円からと低く抑えている。
        • 魚も比較的厳選だが、マグロぶつトロ1500円、カツオたたき1000円、アナゴ天ぷら850円、ナスとカボチャ煮650円など。定番の肴に、とろろ、合鴨、地鶏のものが各数点と特色もあり。
        • 客は男女の割合約7対3、背広対ジャンパー比率もほぼ同じだ。しかし雰囲気は上品。女将かどうか、おばさんがまた、ニッポンのお袋という感じで、なんともいい。
        • 場所はJR大塚駅南側、三菱銀行斜め前を入ってすぐ左。居酒屋として戦後直後から半世紀近くやっている名店「江戸一」の2、3軒先。

      • あけぼ乃(あけぼの)
        • 電話: 03-3982-8711
        • 住所: 豊島区池袋2-4-6 徳永第3ビル1F
        • 営業: 17:00-24:00、日祝休
        • 「美味なる地酒にうまい肴」のキャッチフレーズは念仏ではなく、ざっと百種という地酒に加え、定評ある白身魚を中心とする魚介はますますいい。刺身は、この日は活きタコぶつやホタテ800円、イワシ叩き、しめサバ900円、甘エビ、アジ叩き1,000円、ヒラマサ1,500円、シマアジ1,600円、マグロ、ヒラメ各2,000円、刺身三点盛り2,300円、刺身盛り合わせ3,500円といったラインアップ。
        • 「お任せ料理一人6,000円から」は貧乏人にはレベルアップだが、一品で飲めば一人4,000円でほろ酔いにはなれる。

      • (はる)
        • 電話: 03-3795-3952
        • 住所: 世田谷区三宿1-3-22
        • 営業: 18:00-24:00(バーは -02:00)、無休
        • 場所が世田谷の三宿という、少しへんぴなところだが、居酒屋「春」は、全国のいい地酒をそろえているほか、肴も魚介類を中心に、ハイレベルのものをそろえている。
        • 地酒約30種類のほか、焼酎や紹興酒、ウィスキーなどもある。また、地下のカウンター・バー「秋」と中でつながっているので、本格的な洋酒やカクテルも飲める。
        • 大衆居酒屋よりやや高い感じだが、魚は「おや」と思うほどいいものを使っている。
        • カウンター・バー・スタイルで、打ちっ放しコンクリート壁にむき出し配管、板張りのナウいインテリアだが、酒や魚はよく吟味されている。
        • 場所は東急新玉川線池尻大橋と三軒茶屋の中間、三宿の交差点の代沢寄り100メートルほど。どちらの駅からも約15分。

      • 味里(みさと)
        • 電話: 03-3981-0280
        • 住所: 豊島区東池袋1-36-6 三昌ビル1F
        • 営業: 17:00-23:30、日祝休
        • この店は、串揚げやてんぷら、刺身、鍋など、料理いろいろの店だが、メニューからは串揚げがやや主役の感じだ。
        • 店の作りは、前身は何だか首をかしげるような取りとめのない店だ。しかし、中へ入ってみるとまず、酒の品ぞろえが豪華絢爛。そして、それがどちらかというとごく無造作に置かれ、扱われているのに驚く。
        • しかし、酒を粗末にしているわけではなく、年中温度を一定に保てる地下の酒貯蔵庫まで完備している不思議な店だ。
        • 料理のメニューも黒板に無造作に手書き。しかしこれもいい魚を使い、料理も居酒屋離れした丁寧さで、損はない。
        • 場所はいささか不便だが、地元の人に豊島公会堂と気けば、その真裏ですぐわかる。

      • 味吉
        • 電話: 03-3388-5471
        • 住所: 中野区中野5-59-1
        • 営業: 18:00-01:30、正月以外無休
        • とにかく非常に意欲的な店だ。まず圧巻なのは、地酒のストックがざっと300銘柄というすさまじさ。第2には、元日以外無休、深夜2時までという頑張り。第3は、客層が若いからか、肴のボリュームがすごい。
        • 肴は魚介中心。肉のねたは鶏空揚げと鶏カツぐらい。
        • 場所はJR中野駅北口、中野サンモールを右に入った武蔵野ホテルの斜め前。

      • かんだ串亭
        • 電話: 03-3295-9054
        • 住所: 神田小川町3-2
        • 営業: 17:00-22:30(土は -21:00)、無休
        • 看板に「新潟地酒の店」とあり、あの幻の三梅といわれた「越乃寒梅」「峰乃白梅」「雪中梅」も大きくたってあり、1合各800円で飲める。地酒は「冷酒正一合15度売り」で、燗は1種類しかない。
        • 店の名は「串亭」だが、串焼きは特に種類豊富ではなく、刺身も一通りあり、焼き魚、酢の物などもある。客が概して若いせいか、売れセンは肉ジャガ450円や肉豆腐480円、骨つきフランク450円あたりらしい。
        • 神田駿河台下交差点から靖国通り小川町寄り最初の信号を左折して左側、次の角。越の酒ファンには◎。

      • ほし野(ほしの)
        • 電話: 03-3834-3460
        • 住所: 台東区東上野3-22-2
        • 営業: 17:00-23:00、日祝休
        • この店は全国の名だたる地酒約50種を常時そろえ、地酒党の間ではかなり知れわたった店で、地酒目当ての客も来る。
        • 場所はJR上野駅正面陸橋エスカレーターを降り、千葉銀行脇を100m足らず入った左側。地下鉄は2番出口が近い。
        • 純米が一合徳利で550円からと、値段もまずまず。吟醸クラスでもそう高くない。
        • 1本120円、5本セット600円の串焼きも看板だが、季節その他で変わる日替わりメニューも豊富。強いて難をいえば、腹ごたえのある肴があまりないことで、若い客にはもの足りないかもしれないが、いい酒を本当に味わうには肴はほどほどにということかもしれない。
        • ただし、仕上げるつもりなら、てんぷら定食(1,200円)、うな重(1,500円)はじめ、刺身定食や稲庭うどんなどもある。

      • 鮎の里 山幸(あゆのさと やまこう)
        • 電話: 03-3642-1906
        • 住所: 江東区富岡1-4-5
        • 営業: 17:00-23:00、日祝休
        • 門前仲町の不動尊に近いかつての辰巳の花街の中にある「田舎料理・鮎の里山幸」は、居酒屋と割烹の中間のような店だが、鮎を手軽に安く食べさせる。
        • 「鮎が安い」などといえば、すぐ「養殖のずんぐり鮎だろう」などといわれるに決まっている。しかし、ここは信濃川の支流、魚野川の地鮎(天然鮎)を使っている。
        • 鮎が看板だから、鮎は1年中出すが「やはり刺し身は落ち鮎になる前、9月半ばまででしょうね」という。
        • 鮎のメニューは、刺し身、塩焼き、甘露煮、てんぷら、つみれ鍋などが各800円、吸い物680円、塩辛のウルカが500円と決して高くない。コースも5000円程度。
        • 海魚も一通りはある。
        • ここでもう一つ特筆ものは地酒の品揃えで、定評のある酒を網羅して約60種。

      • ささ花
        • 電話: 03-3561-3761
        • 住所: 中央区銀座3-4-18
        • 営業: 17:00-23:00、日祝休
        • 銀座にも、地酒をそろえたいい居酒屋がないわけではない。この「ささ花」などは、中でもちょっとしゃれた店として推奨できる。決して広くない店だが、カウンターのほかに、奥にも席がある。カウンターの客は、ぼく以外は全部カップル。
        • 肴も、長崎の市場から直送の新鮮な魚介が主。値段は煮魚、焼き魚で2,000円。ほかの肴は冷奴500円、メフン600円、酒盗、揚げだし豆腐700円など。おまかせは5,000円。

      • 与っ太(よった)
        • 電話: 03-3336-7650
        • 住所: 杉並区阿佐谷北2-15-4
        • 営業: 18:00-24:00、日祝休
        • ご主人はサラリーマンだったが、出張などで、地方にはいい酒がいろいろあることを知ると、根が酒好きだけに、人にもそれを知ってもらいたくなり、脱サラして酒場をはじめた。
        • 店には全国の何千という蔵元の酒から選んだ地酒を60銘柄ほどそろえている。そのほか、毎月何かのテーマにより銘柄をしぼり、約20酒、別に選んで「今月の酒」として紹介しているが、その中には、本当の幻の酒、掘り出しものも多い。
        • つまみは全国の名産から、ごくふつうの冷奴、焼き鳥、たたみイワシといった定番メニューまで、あまり品数は多くないが、よく吟味されている。客も、本当に酒が好きそうな比較的若い人が多い。
        • JR阿佐ケ谷駅からパサージュ阿佐ケ谷を北に抜け、げんこつラーメンを左折してすぐ右。

    3. 迫力居酒屋
      • 魚三(うおさん)
        • 電話: 03-3641-8071
        • 住所: 江東区富岡1-6-5
        • 営業: 16:00-22:00、日祝休
        • 東京中でも、おそらく魚がメインの居酒屋でこれほど込む店はほかにはないだろう。ネタがよく、安く、量が多く、しかもメニューは幅が広い。
        • 安いほうはあら煮50円、ぶり汁100円から、高いほうでも中トロ、生ウニ、焼きエビなど600円台止まり。メニューはしめて百数十種。
        • 酒は日本酒二級1合150円、升酒320円、ビール大400円、焼酎なし。

      • たけの食堂
        • 電話: 03-3541-8698
        • 住所: 中央区築地6-21-2
        • 営業: 11:00-21:00、日祝休
        • 魚の種類は大概の割烹料理店よりも豊富で、さすがは魚河岸と思わせる。特に刺身がバラエティに富んでいる。煮物、焼き物、揚げ物、酢の物など魚介ネタの肴のほか、丼物や洋食的なものもそろい、「食堂」としてのメニューも充実している。
        • 魚の値段は基本的に「時価」だが、客の多くが築地市場で働く人や常連の買い出し客で、彼らが「安い、旨い」と思わず寄ってしまうのだから、素人にはぶったまげるばかりのお徳用ぞろいだ。
        • 場所は市場場外の狭い路地にあり、ちょっと見つけにくいが、銀座から勝鬨橋方向へ向かって右側、晴海通りの築地市場場外の商店街が終わり、立体駐車場になるすぐ手前、2本目の路地に入ってすぐ右。夕方はサラリーマンやOLなどの客も多く、かなり込む。昼間も続けてやっているので、昼の半端な時間が比較的空いていていい。

      • 秋田屋(あきたや)
        • 電話: 03-3432-0020
        • 住所: 港区浜松町2-1-2
        • 営業: 16:00-21:00(土 15:30-20:30)、第1・3土と日祝休
        • 昭和のはじめに開店したやたら威勢のいいモツ焼きの店。とにかくいつもよく込んでいる。客は煙もうもうの道端にまであふれ、ビールケースの上に盆をのせた簡易テーブルを囲んで立ち飲み、立ち食い。それがうらぶれた中年ばかりでなく、花のギャル・グループもいる。
        • 創業以来モツ焼き一本が自慢で、ネタがいいからよく売れ、よく売れるからいいネタが仕入れられる。モツは例のレバー、ハツ、テッポウ、コブクロ……といったおなじみネタ。どれも串2本が一人前で300円。ナンコツを叩いた肉団子2串400円は超人気。
        • ほかにクサヤ、モズク、ワカメ、氷頭(ひず)といった魚介ネタや、お新香、湯豆腐(各300円程度)もあるが、特に種類豊富ではなく、酒飲み好みのセンをカタくおさえて厳選というところ。
        • 酒もビール大瓶550円、小瓶450円、生ビール大700円、小450円、酒(秋田の高清水)550円、ウィスキー・ダブル400円。メニューに焼酎はない。ウーロン茶250円。

      • 千鳥(ちどり)
        • 電話: 03-3213-4307
        • 住所: 千代田区有楽町2-10-1 交通会館B1
        • 営業: 17:30-22:30(ランチ 11:30-13:30)、土日祝休
        • 漁師料理の店。以前漁船でコック長をしていたマスターが作る、東京ではあまり例のない、まさに漁船の上で食べさせられそうな豪快なメニューが売りもの。例外的なものを除いて、肴は全部850円均一というのも、漁師らしくシンプルな値段設定でいい。
        • まずマグロの料理がずらりと並ぶが、マグロとはいってもトロとか中落ちとかいうのでなく、玉子煮、目玉煮、皮湯引き、カマ焼き、ホホバターといった、およそほかでは見ない、変わったメニューが並ぶ。
        • マグロと並ぶ、この店のネタのもう一つの柱がマンボーで、刺身のほか、キモ和え、腸焼きなどがある。次いではイカが多く、イワシやサンマも刺身その他がある。さらにホタテ貝、小柱、ツブ刺身、ホヤ、焼きハマグリ、氷頭なます、クジラ刺身、ハモちり、メローの焼き魚など、雑多な魚がある。
        • マスターは宮古の船にのっていたとかで、三陸特有のフノリやマツモといった海草のみそ汁がまた肴に絶品。汁だけは400円均一。
        • 店は約50席。早い時間はいつも込んでいる。ビール大、清酒1.6合各600円。ウーロンハイ、レモンサワー400円。

      • にしき
        • 電話: 03-3832-5710
        • 住所: 台東区上野6-11-6 アメ横通り内
        • 営業: 12:00-23:00(土日祝 -24:00)、無休
        • 鮮魚居酒屋。同じ上野界隈でもおでんの「たこ久」、正一合の店が看板の「シンスケ」、東北の味がウリの「北畔」「岩田屋」といった、堂々たる風格の老舗もある。その一方で、この「にしき」のように、何だかわからないがやけに迫力があって、つい引き込まれてしまう店もある。
        • この店はアメ横の、上野駅寄りの出口近くのガード下にあって、いつも以上に込んでいる。店内は30人ほど入るが、つねに客はあふれていて、外のテーブルを囲んで立ち飲みの連中もいる。
        • マグロぶつ200円、マグロ刺身350円といった、マグロの安さを看板にしているが、この店の良さは決してそれだけではない。安いメニューながら、魚にしっかり季節が感じられ、白魚刺身450円やホタルイカ500円など、旬のメニューがあることに加えて、注文してから出てくるまで、案外時間がかかるが、煮たり焼いたり、手を加えた魚が、決しておざなりでなく、ちゃんとした仕事をしてあることだ。
        • 古い人間には闇市を思わせるような活気とスタイルの店だが、貝や焼き魚がずらりとそろっていたりして、楽しい店でもある。注文を受ける女性もまさにニナマレと、いろいろ不思議な店。

      • 三岩(さんいわ)
        • 電話: 03-3844-8632
        • 住所: 台東区浅草1丁目すしや通り
        • 営業: 12:00-21:00、水休
        • 昭和2年開業。寿司屋でもあるが、てんぷらもあれば、トンカツなど洋食的メニューもある居酒屋。とにかくメニューの幅の広さは驚異的。
        • 1階はテーブル席。2階は畳の流し込みの広間で家族連れが多い。昼から夜まで通し営業で、昼間から酒が飲めるのも浅草らしい。地元の客が多い。
        • おすすめメニューは、やはり下町的なドジョウ鍋 530円、柳川 650円、天丼 700円、てんぷら盛り合わせ 450円、にぎり鮨 600円など。
        • 酒は日本酒 180円、ビール大 430円、そして電気ブラン 180円も浅草らしい。

    4. 異色居酒屋
      • 灘コロンビア
        • 電話: 03-3275-3087
        • 住所: 中央区日本橋3-3-14
        • 営業: 17:00-21:30(土 14:00-20:00)、日祝休
        • この店は知る人ぞ知る名店。ビアホールファンの間では、ここの主人は生ビールの注ぎ方の名人として有名だ。「生ビールなどは、メーカーが決まっているのだから、味も大差ないだろう」などと思ったら大まちがい。ぜんぜん違う。日本のビールはどこも冷やしすぎで、あれでは味もへちまもない。ここのビールは冬は約8度、夏は7度と一定にしている。初めての客はあまり冷たくないビールに「おや」と思うが、飲むほどに「いくらでも飲める」と納得する。「うちのビールでしたら、よそで2杯のお客さまが6杯は飲まれます」とえびすさんのような主人もニコニコ。
        • ビールはアサヒの生(500円)だが、黒生(水・木のみ、550円)が断然人気がある。あっても黒は早く売りきれる。酒は灘の白鷹(正一合500円)と、同じく白鷹の極上(吟醸、750円)だけ。
        • 酒は単純明解だが、この「ホール」とはいいながら、おそらく60人ぐらいしか入らない、決して広からぬ、ウナギの寝床のような店には、なんともいえぬ、古きよき時代の和やかな空気があり、人を落ち着かせてくれる。
        • 肴も決して種類は多くなく、日によって違うが、せいぜい20数種類しかない。しかし、ビールを飲む客がほとんどの割りには、洋食的メニューはコロッケ、メンチカツ、ソーセージぐらいで、あとはすべて魚介類のネタというのもおもしろい。
        • 刺し身がもっともそろっていて、マグロのぶつ(500円)から、イカ刺し、タコ刺し、マグロやコチ、サンマ、ハマチ、スズキ、ホタテ貝、そして一番高いメジマグロでも800円だ。
        • 焼き物は新サンマ塩焼き(700円)、キンキ(800円)にくさやぐらい。煮物はマグロ角煮(500円)だけ。揚げ物はイワシ、メゴチのから揚げ(各450円)、同じくオコゼ(700円)、カサゴ(1000円)など。魚一口フライ(450円)もあるが、日によって違う。みんなていねいに揚げてあり、魚は頭までそっくり食べられる。
        • ほかにヒジキや煮こごり、イイダコうま煮、タコ酢、アン肝(350〜700円)など。とにかく種類は厳選。しかし、いかにもこの店らしく、特にモノは間違いない。
        • 敗戦後間もなくからという年輪。造りはビアホールらしくはないが、古いビアホール独特のにおい。とにかく一度お試しを。

      • 支那そば屋こうや
        • 電話: 03-3351-1756
        • 住所: 新宿区三栄町8
        • 営業: 11:30-22:30、日祝休
        • 「ラーメン屋だが、上海蟹も魚もうまい。飲むにもいい」とやたら流行っている店。7時頃に行くと20人以上の行列ができていたが、間口に似合わずふところの広い店で、看板のラーメンだけの客も多いせいか、案外回転は速い。まず酒を注文すると、つまみに肉団子が出てくるところも居酒屋的だ。
        • メインの支那そば 600円、ワンタン 700円、ビーフン 1000円などの麺類の他、ブタの舌、心臓、耳、足、ガツの煮物、ソーセージ、ピータン、味つけ玉子など、台湾風のつまみもいろいろある。
        • しかし、この店の支那そばと並ぶ売りものは、明らかにメニューの裏側にある、中華海鮮風の一群の料理だ。季節ものの上海蟹をはじめ、ワタリガニ玉子炒め、アイナメ高菜ソース、生イカ老酒漬、マナガツオ空揚げ香味野菜ソース、小エビの塩ゆでナムプラソースといったメニュー。値段はなく「安心時価」とあるが、一品約2〜4千円(3〜4人分)ぐらいらしい。メニューにも「スタッフにご相談を」とあるが、ここの料理はかなり盛りがいいので、値段だけでなく、量の面からも相談したほうがいい。軽く飲んで目一杯食べて、ひとり4千円見当といったところだろう。
        • 女性客、カップルの客が目立つ店内だが、居酒屋的にも十分楽しめる店で、夜は特に飲んでいる客がほとんどだ。JR四ツ谷駅から新宿に向かう新宿通りに平行する右側1本裏の通り、住友銀行の斜め裏あたり。

      • 長屋
        • 電話: 03-3580-5503
        • 住所: 港区新橋2-15-12
        • 営業: 17:00-23:00、土日祝休
        • 新橋のイワシ料理専門店。いつも込んでいてすんなり入れない。イワシのメニューは約50種と幅が広い。
        • 胃袋のたまり漬け、肝臓の酢漬けなどの珍味もある。「プランクトン」は、イワシの餌であるプランクトンを胃袋から取り出したものだが、これがうまいのだから恐れ入る。
        • メニューに値段がないのが玉に傷だが、一品400〜1200円のよし。コースは3500、4500、6000円。ビール中瓶450円、酒400円だから、決して高くはない。
        • もうひとつ不思議なのは、お運びの娘さんたちが、銀座のスカウトが歯ぎしりしそうなほど、おしとやかで愛想がいい美人ぞろいのこと。

      • 薩摩屋敷
        • 電話: 03-3446-1186
        • 住所: JR品川駅構内陸橋上
        • 営業: (居酒屋タイム)11:00-19:30(日 -19:00)、無休
        • ここ「薩摩屋敷」は場所が駅の構内、ホームの真上なので、便利さという点ではバツグン。ちょっと入り口が狭く、立ち食いそばと共通なのでまごつくが、迷わず直進すると「薩摩屋敷」。丸に十の字の島津の紋が目印だ。
        • なかなか本格的な居酒屋で、カウンター、テーブル、座敷とある。6時前後のピークは、しばらく満員状態が続くが、場所柄、回転が速いのですぐに空く。
        • 朝は朝メシ、昼はランチもやり、居酒屋タイムは午後2時過ぎから。
        • メニューのひとつの売りは、看板通りの鹿児島料理で、さつま揚げ、キビナゴ、豚角煮など500〜700円だが、トータル10品足らず。ほかは刺身、焼き鳥、おでん、煮込みなどの定番居酒屋メニュー。
        • 酒も薩摩イモ焼酎は当然だが、麦、ソバ、ゴマ酎もあり、酒、ビールとひと通りある。

      • 海胆亭(うにてい)
        • 電話: 03-5250-0458
        • 住所: 中央区銀座2-2-19 美豊ビルB1F
        • 営業: 11:30-14:00、17:00-21:20、日祝休
        • 1991年に開店した店。売りものの中心にウニを据えている。食事コースは3,500円(小鉢、生ウニ、焼き魚、揚げ物、味噌汁、香の物、ご飯)より。ウニ会席コースは一汁五菜で6,000円より。
        • タコの子白煮、クロダイ昆布じめ、イカ塩辛、ナマコ酢などの一品料理が700円。刺身はカツオ、白身魚が各2,000円、生ウニ1,500円など。酒・ビールは600円。
        • 場所は銀座数寄屋橋交差点から外堀通り右側を東京駅方向へ向かい、有楽橋交差点「ウェンディーズ」のすぐ手前、地下。

      • かなわ
        • 電話: 03-3572-2325
        • 住所: 中央区銀座5-2-1 東芝ビルB2F
        • 営業: 11:30-14:00、17:00-21:30(21:00LO)、日休
        • カキの本場広島で、養殖から加工、販売、カキ船、カキ料理店など、手広くカキ関連の事業を展開している会社の経営するカキ料理専門店だが、銀座にしてはまことに良心的な店だ。看板のカキ料理の一品メニューが充実しているので、食事に限らず、飲むにも適当な予算でおさめやすい。
        • ちょっと珍しいカキ塩辛400円、酢ガキ600円、カキフライ900円、ベーコン巻き1,000円、カキ浜焼き1,200円、みそ焼き1,500円などは酒の肴にぴったり。飲みながら食べながら派にはカキ鍋、土手鍋2,800円もいい。酒はビール中瓶530円、清酒は500円、ワインもある。
        • 場所は数寄屋橋阪急とつながっている東芝ビルの地下2階。

    5. エスニック居酒屋
      • 関船
        • 電話: 03-3595-1965
        • 住所: 港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビルB1
        • 営業: 11:30-15:00、17:00-22:00(土 -21:00)、日祝休
        • この店はベトナムばかりでなく、同じインドシナのラオスやタイの料理から、南方風の中華料理まで、まとめてそろえたユニークなエスニック・レストランだ。それぞれの国の料理のうち、特色あるものを、それぞれ現地のスタイルで作っていて、メニューにはそれぞれの料理の国籍が記されている。客も夜は東南アジア系が多いようだ。
        • 魚の胃袋スープ、ラオス風さつま揚げ、生蟹卵カレー炒め、魚ココナッツスープ、メコンの魚料理、魚唐揚げあんかけなどを食べながら、大河メコンがうねるインドシナ半島のジャングルや自然を想像するのは楽しい。
        • 酒も、中国、タイのビール、タイの米から造るウイスキー「メコン」、紹興酒などいろいろある。

      • ZAPATA
        • 電話: 03-3499-5888
        • 住所: 渋谷区神宮前6-18-10 エビナビルB1
        • 営業: 11:30-14:00、18:00-23:00
        • トウガラシの故郷であるメキシコの、火のようにスパイシーな料理も、国境を越えると、ヤッピー好みに都会化され、近年、アメリカで大流行のテックス・メックス料理、あるいはニュー・メキシコ料理となる。この店はそのテックス・メックスをメインに、プラスαしたカジュアル・レストラン&バー。
        • 場所は地下鉄明治神宮駅前の明治通り側出口を出て、明治通りを渋谷寄りに5分ほど行った最初の歩道橋のすぐ先、左側。
        • カウボーイの本場だけに、肉料理は「ファヒータ・アサーダ(メキシコ風網焼きステーキ)」などボリュームたっぷり。シーフード料理もいろいろある。タコスやエンチラダスとビールなら、スナック感覚で安くあがる。ランチもやっている。
        • バーもメキシコビール、ワイン、テキーラ、カクテルと充実していておもしろい。店の名は、メキシコ風ならザパタでなく「サパタ」と読む。

      • スカンディア
        • 電話: 045-261-2262
        • 住所: 横浜市中区海岸通り1-1 横浜貿易協会ビル
        • 営業: 11:00-24:00(日は17:00)、無休
        • 冬が長く厳しい北欧では、生活の知恵として、さまざまな保存食が発達した。人々は、常に体力を保つため、食事は質量ともたっぷりと、時間をかけて楽しむ。そういう北欧人のライフスタイルは、その代表的な料理スモーガスボード、日本でいうバイキング料理にもうかがわれる。ただしそれは食べ放題料理という意味ではない。さまざまな方法で加工した海の幸、山の幸をパンの上に盛って食べる、いわばパンを台にした鮨のような料理がスモーガスボードだ。
        • 魚ひとつとっても、生に近いマリネから塩漬け、酢漬け、オイル漬け、干物、薫製などと変化に富み、興味はつきない。そういう素朴とも言える料理には、北欧の透明清冽な蒸留酒アクアビットがよく合う。
        • 横浜港大桟橋近くの、北欧レストラン兼バーの「スカンディア」は、開店して約4分の1世紀を経た、重厚な風格のあるレストランで、2階は本格的なフルコースの食事にぴったりだが、1階のスカンディア・ガーデンは、スモーガスボード専門で、メニューには55種のオープンサンドイッチがそろっている。1品は600〜1000円。

      • SAMPAGUITA(サンパギータ)
        • 電話: 03-3837-5450
        • 住所: 文京区湯島3-43-9 第一深瀬ビル2F
        • 営業: 16:00-06:00(月11:00-06:00)、無休
        • フィリピンは日本に一番近い東南アジアの国。料理もタイやインドネシアのように強烈ではなく、魚をよく食べ、味つけは魚から作る醤油の「パティス」や、塩辛の「バゴーン」、スダチに似た柑橘類の「カラマンシー」の酸味などが主で、基本的に日本に近い。
        • 上野は湯島天神下料飲街、ホテル・パインヒル近くのサンパギータは、コックもウエーターもママもフィリピン人で、客も大半が若いフィリピンの男女という、東京のマニラみたいな店。明るく清潔な店内と、人なつっこいスタッフで、楽しい店だ。
        • 日本人の舌にぴったりの料理としては、ブタ肉入り酸味スープ「シニガン」、フィリピン風春巻き「ルンピア」、エビ入り焼き飯「フライド・ライス」などがある。
        • 店は深夜過ぎにむしろ盛り上がる感じで、朝までやっている。
        • 酒はフィリピン・ビール「サンミゲル」やバドワイザー、国産ビール、ウイスキー(ハーパーなど)。

      • 新宿
        • 電話: 03-5273-3887
        • 住所: 新宿区歌舞伎町2-20-6 第2本間ビル1F
        • 営業: 24時間営業、無休
        • 「新宿」は「韓国家庭料理」が看板で、焼肉一辺倒でない多様なメニューが特色。ここでは、メニューがまずハングルででかでかとやたらにはりつけてあるので圧倒される。多少韓国料理の知識がないと注文もまごつくが、聞けばやや片言ながらていねいに答えてくれる。中のおばさんは日本語もうまい。
        • 冬ならおすすめはまずチゲ(鍋)で、タラチゲ、カニチゲ、イシモチチゲなど1000〜2000円。アンコウの煮物のアンコチムもいい。
        • カニの唐辛子味噌漬ケジャン定食(1500円)も試してみたい。
        • 酒の肴には、12種類あるキムチ(500円より)、特にスケソウダラの内臓を漬け込んだチャンジャや、カキやアサリの塩辛(ともに600円)がよく、酒がすすむ。
        • 酒はビール(500円)や韓国焼酎の真露(小ビン1200円)、法酒(2000円)などがある。
        • この店は魚料理のほか、肉や野菜もあるから、従来の韓国料理のようなカルビ、タン、豚足、ナムル(野菜)などの定番メニューも比較的安くそろっている。近ごろ人気の参鶏湯(サンゲタン)もある。白飯(ペクパン)や混ぜ飯(ビビムバ)、各種定食、冷麺、温麺、ビビム麺といった各種麺類など、腹ごしらえにぴったりのメニューにもこと欠かない。
        • 場所は新宿区役所通り風林会館裏通りの少し大久保より。

      • ゲウチャイ
        • 電話: 03-3626-6256
        • 住所: 墨田区錦糸町4-9-4
        • 営業: 12:00-23:30、月祝休
        • 客のほとんどが出稼ぎに来ているタイの男女か、クラブなどで働くタイ女性に連れられてくる日本男性で、味つけも都心の店のようなアレンジは皆無。掛け値なしの本場の辛さにアヘアヘできる。タイ人の大半は仏教徒だが、日本人と同じで、飲食に関するタブーはほとんどなく、肉でも魚でも何でも食べる。
        • メニューは魚貝類が多く、値段はリーズナブルだ。まずタイ料理の看板の、辛くて酸っぱいエビ・スープ「トムヤムクン」。このスープはフツーの日本人にはかなり辛いから、ご飯か焼き飯のカウ・パット(1200円)、あるいはエビ入り炒めうどん(1000円)あたり一緒にとるのもいい。
        • 酒は、タイ、日本ビール各500円。タイのメコン・ウイスキーのボトル5000円など。
        • 場所はJR錦糸町駅前、ロッテ会館正面左の通りを入って3ブロック目、右側。

    6. 郷土料理居酒屋
      • 酔心(すいしん)
        • 電話: 03-3501-1451
        • 住所: 港区西新橋1-10-1
        • 営業: 11:40-22:00、日休
        • 「酔心」という店はかなり多く、いく系統かあるようだが、昭和40年以来というこの新橋の東京本店が、料理、サービス、値段も含めての総合点でおすすめ。場所はJR新橋駅より外堀通りを虎ノ門へ向かい、日比谷通りとの交差点を過ぎて陸橋の先、左側。
        • 広島の酒「酔心」と、釜飯、カキが売りもの。カキのない夏場も、瀬戸内の魚がいろいろあって、目移りがするほどだ。釜飯はカキのほかに、五目ウニ釜飯もいい。
        • 冬はカキのほかフグもあり、煮こごり、刺身、ちり、唐揚げとひと通りそろっている。またイワシの料理も、刺身、てんぷら、オイル漬けなどあって、ヘルシーな肴としてぴったりだ。

      • あらまさ
        • 電話: 03-3844-4008
        • 住所: 台東区西浅草2-12-8
        • 営業: 17:00-01:00、月休
        • 戦後も早いころからの店で、もう浅草では古い飲み屋だ。最近ビルに変わり、すっかり様変わりした。場所だけは同じで、ROXの向かいを入ってすぐ左側。大衆居酒屋よりは値段はちょっと上のクラスだが、その分、魚の鮮度もいい。
        • 秋田の看板料理といえば、「きりたんぽ鍋」と、ハタハタの塩漬けで作る一種の醤油「しょっつる」で魚や豆腐、野菜などを煮た鍋。イカそうめんやホヤもよくある。魚や鍋以外に、やはり秋田名物の山菜や、素朴な大根の漬物「いぶりがっこ」、陸のキャビアともいわれるほうき草の実のトンブリ。タニシ、イナゴ、サワガニといった秋田直送の肴がいろいろある。稲庭うどんもある。和牛刺身もなかなかい。
        • 看板の酒は、いわずと知れた樽詰め「新政」。ちょっと癖のある甘口だが、根っからの日本酒党向きで、やや味つけの濃い秋田の料理にも合っている。

      • 雪椿(ゆきつばき)
        • 電話: 03-3386-9453
        • 住所: 中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ2F
        • 営業: 11:00-21:00、水休
        • すでに創業20年、越後の味を守り通している。日本海の海の幸と越後の郷土料理の店だ。越後の海の魚というと、まずあのとろけるような南蛮エビ(アマエビ)の刺し身を思い出すが、サケもよくとれ、雪深い冬には欠かせないいろいろな酒の肴にもなる。
        • 場所はJR中野駅北口アーケードをまっすぐ行けば自然と入りこんでしまう中野ブロードウェイの2階。
        • 里芋や山菜がたっぷり入った、いかにも新潟らしい「のっぺい汁」は、酒の肴にも案外あう。ほかに、つけ菜、煮しめ、ふろふき大根、越後雑煮(冬のみ)など、素朴な越後田舎料理がいろいろある。
        • 酒も酒どころ越後だけに、辛口雪椿や越乃寒梅、〆張鶴など、冷やでよく、また人肌のお澗も捨てがたい銘酒ぞろいだ。

    7. 小料理・酒亭

      居酒屋の中でも、カウンターだけで、座れるのは10人そこそこというような、「小料理」とか「酒亭」と呼ばれるような店となると、紹介者でもない限り非常に入りづらく、無理に入っても落ち着いて飲みにくいことが多い。銀座の「卯波(うなみ)」、新橋の「中川」、荒木町の「たまる」、神田神保町の「ゆら」などは多分にそういう店だ。そういう店は最初が肝心で、なるべく、しかるべき人に連れていってもらい、ちゃんと紹介してもらうことだ。

      • 山田屋
        • 電話: 03-3352-8907
        • 住所: 新宿区四谷4-28-20
        • 営業: 17:30-22:30、月休
        • 店は小料理屋というには小上がりや2階の座敷もあってやや広いが、割烹料理というにはやや小ぢんまりした広さだ。冬はフグ刺し、フグちり、フグ唐揚げなど、フグを看板にしているようだが、夏は魚を主とする季節料理の店となる。「活魚料理」と紹介している本も見たが、ここの特色はむしろ、煮たり、焼いたり、揚げたり、蒸したりして、丁寧に手をかけ、上品な味つけをしたメニューのほうにある。
        • カウンターの中の調理場の3人は家族と聞いたが、おばさん1人がはきはきと応対し、親子らしい男2人は黙々とひたすら作る。
        • 場所は四谷4丁目交差点近くの、区立新宿図書館向かいの路地を入った右側。四谷といってもこの辺は以前大木戸といったあたりで、地下鉄も四谷三丁目駅より新宿御苑駅が近い。

      • 島乃屋
        • 電話: 03-3580-7307
        • 住所: 港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビルB1
        • 営業: 11:30-14:00、17:00-22:00(土は -20:00)、日祝休
        • JR新橋駅のSLがある側の駅前ビル、ニュー新橋ビル地下にあるこの店は、場所柄、夜はもっぱら帰宅の前に一杯やるサラリーマンご愛用といった感じの小ぢんまりした魚料理の店。看板に「肴」料理となっているのは、食事より飲む客が主体ということだろう。ひとりで飲みに来る客が多い。
        • 魚の店もいろいろ行き方があるが、ここの場合は、比較的限定されたメニューながら、その範囲で、毎日目一杯活きのいい魚を提供しようというポリシーのようだ。おそらく日替わりで、値ごろ食べごろの、酒飲みが好きそうな魚を市場で選んでくるのだろうと思われるネタは、そう種類豊富とはいえないが見るからに活きのいいところをそろえている。看板の値段より、中の日替わりメニューのほうが安いのも良心的だ。
        • ポッチャリした女将は、口のきき方もざっくばらんだが、それが家庭的な感じを与え、酒飲みをくつろがせる。ご主人の仕事ぶりがていねいな上に、この店では、煮魚や焼き魚も、刺身ネタの魚をそのまま使うから、当然おいしい。
        • 場所はニュー新橋ビル地下。SL広場に面した正面入口左脇の階段を下りてすぐ。ランチタイムは定食もやっているが、焼き魚定食650円、煮魚定食700円は掘り出しもの。ちょっとした接待にも十分使える店だ。

      • 浪花(なにわ)
        • 電話: 03-3354-7394
        • 住所: 新宿区新宿3-17-21 新三ビル1F
        • 営業: 17:00-23:00、日祝休
        • 新宿で飲んでいる魚にうるさい連中の間では、かなり以前から定評のある店。
        • デパートの三越の前の通りを入ってすぐの、新宿でもど真ん中と行っていい場所なのに、こんなに落ち着いて垢抜けした小料理で飲める店があることに、初めての人なら驚くだろう。一枚板のカウンターに、20年という店の歴史が感じられる。
        • もくもくと仕事をする板前。和服の着こなしが粋で、どこか関西風の雰囲気の女将、そしてお手伝いだけの、カウンターとテーブル2卓で15人どまりといった小ぢんまりとした店だが、じっくり飲める条件はすべて整っている。
        • まず座ると、日替わり五品盛りの突き出し(1700円)が出てくるので、あせって注文を考える必要もない。定番は温泉卵で、後は日替わりで楽しめる突き出しも、タイの皮の湯びき、白身魚の酢の物、バイ貝などと魚ネタが主体。
        • 生ものはアジ刺し(600円)、マグロぶつ、北海ミズダコ、生ウニ(ともに680円)あたりから、イサキ(980円)、ヒラメ(1150円)、コチ(1300円)、車エビおどり(300円)など。ぬた、月見(600円、550円)もていねいにできている。
        • 焼き物はアジ塩焼き(500円)、くさや(550円)、イカ(580円)から、キンメ(650円)、ハマグリ塩焼き、ギンダラ照焼き(各680円)、タチウオ(700円)、アナゴ白焼き(980円)、イサキ、アマダイ、カマス一夜干し(各1100円)など、酒飲みの泣きどころをおさえている。
        • 煮物はキンメやイカ里芋に、子持ちカレイ煮(650〜780円)。揚げ物も、小アジ、沢ガニなど。
        • カニミソ(450円)、カニ身サラダ(980円)もある。茶碗蒸しも人気。
        • 料理の幅がびっくりするほど広いわけではないが、店の広さからすればかなりのもので、しかも、ジュンサイなども含めて、イサキ、コチ、アナゴなど、旬のものをよくそろえている点がまたこたえられない。
        • 飯ものも、雑炊(750円)、茶そば(680円)、おにぎり(230円)などがある。
        • 酒はビール中580円、焼酎「天泉」600円(300ml)、冷酒「神鷹」880円。焼酎の「百年の孤独」や、昔風にいえば貧乏徳利の酒のボトルキープもある。
        • 場所は地下鉄新宿三丁目駅下車、三越真向かい、カメラのサクラヤわき小道を入ってすぐ左。

  6. 番外!
    1. 銀座の居酒屋
      • 銀座の居酒屋の穴場は京橋寄りの1丁目、2丁目だ。それぞれ1軒ずつある「三州屋」や「升本」がまずしっかしした店で安い。東側の「とり安」もいい焼き鳥屋だが、こんでいることが多い。1丁目には山形料理の「おばこ」、そして「藩」、2丁目には「養老の瀧」や「椀屋」もある。「藩」は高速下の銀座インズ2にもある。2丁目の「花車」は地酒がそろっている。東側メルサ裏の食堂「ぎんに」や、1丁日のビアホール「ニューアサヒ銀座ピアハウス」も穴だ。外堀通リの「有薫酒蔵」はメニューに値段がなくて少し高い。昭和通リを渡れば、造リが古いので人気の「酒蔵秩父錦」もある。
      • 3丁目では、銘酒がそろっている「酒の穴」、おでんの「お多幸」、郷土料理居酒屋「山形の酒蔵」がある。並木通りの「大洋」は激安。松屋裏の「はち巻岡田」は少し高い。
      • 4丁目は「仙台酒場」がいい。牛モツが看板の洋風居酒屋「ささもと」もいい。おでん屋の「一平」もいい。ほかには松屋裏に「養老の瀧」、三原橋に「庄内浜」がある程度だ。むしろ三原橋の昭和通りをくぐる地下映画街の飲み屋兼食堂「三原」がおもしろい。確か、祝日は休みだが日曜もやっているはずだ。
      • 5丁目でほ、おでんの「お多幸本店」、焼き鳥の「鳥ぎん」、東芝ピル地下の魚河岸料理「福助本店」、昭和通りを渡って「花車東銀座店」。ここはビアホールも「ライオン五丁目店」、「ミュンへン」があリ、カウンターパーでも、「クライスラー」、「ルパン」や「グレース」など、古くてリーズナブルな店が揃っている。
      • 6丁目は焼き鳥の「鳥繁」の西、本店、東店が揃っている。そば屋兼食堂の「泰明庵」も風情がいい。居酒屋は「相馬龍」や「松竹梅之酒蔵」もある。チェーン居酒屋は「北の家族」、「鮒忠」その他、いろいろある。ビアホールの「ピルゼン」、カウンターバーでは、東側三原通リの「TARU」。数寄屋通りの「蘭」も安心できる店だ。
      • 7丁目は安いすし屋のメッカだが、飲むならまず、そば屋の「よし田」、家庭料理「三度笠」あたり。そして日本最高のビアホール「サッポロライオン」だ。コリドー街と、中央通リ東側、そして確かもう1軒と、銀座に3軒ある「ひとくち」は、やや関西風おふくろの味の飲み屋で、大衆居酒屋よリ気待ち高めの値段だが、料理も本格的でいい。おでんの「富久むら」もいい。居酒屋は「松竹梅之酒蔵本店」、「銭形」、郷土料理は鹿児島料理の「銀座甑島」、越中料理の「和味」など。
      • 8丁目はバーのメッカだが、居酒屋ではまず、風格・値段ともいうことなしの「樽平」にとどめを刺す。おでんの、もう一つの「お多幸本店」もいい。郷土料理の「ねのひ寮」や「窓の梅」、京風おでんの「柊」はやや高級か。最後の仕上げには「汁八」もいい。「宮うち」は文学的飲み屋。洋風居酒屋では「銀座酔虎伝」や「KOKEKOKKO」、チェーンの居酒屋も「天狗」その他、何軒かある。カウンターバーでは、老舗の「ブリック銀座店」が最も安いが、金春通リの「STELLA」、「TOTO」、ソニー通りの「BUSY−BEE」、並木通りの「PEER CLUB」あたりも値段的に安心できるバーだ。
      • 昔は川だった跡の高速道路下商店街「ギンザ・ナイン」の地下は、銀座の酒飲みには通称「9丁目」で知られるが、ここの「銀座九丁目」や、定食の「ウシオ」「ワラジ」なども、よく飲み屋として利用されている。
      • ホテルのバーは、決まったサービス料や税金以外には、わけの分からないチャージがっかないし、誰と飲んでもカッコのつく酒場であり、安心だ。銀座には、東急、東武、銀座第一、日航などホテルも多いほか、資生堂の「バー・ロオジェ」、三笠会館地下の「5517」もそれに近い性格の酒場として利用できる。

    2. ロンドンのクラシック・パブ
      • ギニー Guinea
        • 30 Bruton Place, W1
        • 創業1423年。オックスフォード・サーカスやピカデリー・サーカスから歩いて10分足らずのところにある。
        • イギリス料理のレストランでもあり、料理はパブの水準を超えている。アンガス・ビーフのステーキやコルチェスターのオイスターが売りもの。

      • ジョージ・アンド・ヴァルチャー
        • シティーにあるこの店は、昔はパブだったらしいが、今はレストランになっている。ビーフステーキで有名。
        • ロンドン最古(一説には1175年創業という)の酒場とした本を読んだ記憶がある。
        • 小説家チャールズ・ディッケンズと関わりが深く、そのゆかりで毎週木曜日に「ピックウィック・プディング」という特別メニューがあり、ステーキ&キドニー・パイを食べさせる。

      • プロスペクト・オブ・ウィットビー Prospect of Whitby
        • 57 Wapping Wall, E1
        • 1543年創業で、ロンドン最古のレストラン・パブといわれる。ロンドン塔より下流のテームズ川沿いにある。
        • 賭博狂のサンドイッチ公爵が、ここで賭博しながら世界初のサンドイッチを作らせたという話もある。

      • イ・オールド・マイター Ye Olde Mitre
        • Ely Place, EC1
        • 世界の宝石貿易の一大中心ハットン・ガーデンの南にある。
        • もともとはイン(宿屋)で1547年完成。

      • イ・オールド・コック・タヴァーン Ye Olde Cock Tavern
        • 22 Fleet St., EC4
        • シティー(中心区)にある新聞街フリート通りにある1549年創業のパブ。
        • 鶏の看板で知られるが、雄鶏(コック)はクック(コック)に通じ、昔は料理ができる酒場のしるしだった。

      • メイフラワー Mayflower
        • 117 Rotherhithe St., SE16
        • イン(宿屋)だったときに、メイフラワー号が近くの桟橋から出発した。翌年に戻ったときに、インの名もメイフラワーに変わった。当時の桟橋も残っている。
        • メニューの料理の名も、メイフラワー号にちなんでつけられたものが多い。
        • 17世紀風の特徴をよく残した店。

      • ウィッグ・アンド・ペン Wig & Pen
        • ロンドンの丸の内シティーの一角、王立裁判所の前にある。創立1625年。
        • ロンドンのパブの建物で、ここが最も古いという説がある。

      • イ・オールド・チェシア・チーズ Ye Olde Cheshere Cheese
        • 145 Fleet St., EC4
        • 世界でもっとも有名なパブともいわれる。
        • この店は、ステーキ・ハウスの前身である17世紀のチョップ・ハウスの生き残りでもあり、今もステーキやスコットランド風ロースト・ビーフでも定評がある。キドニー・パイやゲイム・パイもある。

      • ザ・フラスク The Flask
        • 77 Highgate, West Hill, N6
        • ハイゲイト・ヴィレッジに近く、カントリー・パブの雰囲気がある。

      • イ・オールド・ウィンドミル・イン Ye Olde Windmill Inn
        • Clapham Common Southside, SW4
        • 現在もその名のとおり宿屋を兼ね、13室がある。

      • ジョージ・イン George Inn
        • 77 Borough High St., SE1
        • ロンドン橋を渡ってすぐのテームズ南岸にある。

      • ジ・オールド・ドクター・バトラーズ・ヘッド The Old Doctor Butler's Head
        • Mason's Avenue, Coleman St., EC2
        • 伝統的英国料理のレストランとしても知られる。

      • アンカー Anchor
        • 1 Bankside, Southwark, SE1
        • コールド・ビュッフェやシェパーズ・パイ、ステーキ&キドニー・パイなども好評。観光客も多い。

      • フープ・アンド・グレープス Hoop & Grapes
        • Aldergate High St.
        • 17世紀の煉瓦造りの家屋にある古いパブ。しかしこのパブの創業は13世紀に遡るという説もある。

      • ナグズ・ヘッド Nag's Head
        • 53 Kinnerton St., SW1
        • コヴェント・ガーデンの真ん中にあり、国際的にも有名なパブ。

      • ダヴ Dove
        • 19 Upper Mall, Hammersmith, W6
        • ロンドンでも有名なパブのひとつ。文学パブとしても知られ、ヘミングウェイもロンドン滞在中常連だった。
        • テームズ側にかかるハンマースミス橋と対岸の景色が売りもの。

      • ソールズベリー The Salisbury
        • 90 St. Martine's Lane, WC2
        • 豪華なインテリアの典型的なヴィクトリアン・パブ。
        • 場所は国立美術館にも近い劇場街にある。

      • レッド・ライオン Red Lion
        • Duke of York St., SW1
        • 典型的なヴィクトリアン・パブのひとつ。
        • 金曜ごとのフィッシュ・アンド・チップスでも有名。

      • ブラック・フライアー Black Friar
        • 174, Queen Victoria St., EC4
        • 1903年創業と、ロンドンのパブとして古くはないが、代表的なアール・ヌーボー建築で、彫刻家ヘンリー・プールの彫刻でも知られる。
        • 観光客にも、近くのホワイトカラーたちにも人気のあるパブ。

      • シャーロック・ホームズ Sherlock Holmes
        • 10 Northumberland St., WC2
        • 1957年暮れの開業と、まだロンドンのパブとしてはごく新しいが、世界中からシャーロック・ホームズ・ファンが集まるパブ。シャーロック・ホームズ・ミュージアムといってもよく、数多くの関係資料が集められている。
        • 看板がシャーロック・ホームズの顔なので間違えようもない。場所はネルソン提督の銅像の載った巨大な石柱がそびえる、ロンドンの代表的広場トラファルガーから100メートルそこそこ。パブは伝統的なリアル・エールをそろえ、案外地元の客も多い。


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