火村サイド 江神サイドその他

××火村サイド××
46番目の密室 (講談社文庫) [bk1] [Amazon]
46番目の密室 bk1 雪の降る北軽井沢の星火荘での密室殺人に推理作家の有栖川有栖とその友人、犯罪学者・火村英生が挑む。二つの密室と、「白い」物によるいたずらが謎を深める。

ミステリがだめな人でも気軽に読める一冊だと思う。すっきりしてて読みやすいんじゃなかろうか。人間関係ぐりゅぐりゅ〜(笑)

火村とアリスが仲良く推理。そんなんだから一部の読者に騒がれちゃうんだよな……。火村は性格が微妙に屈折してて何か過去がありそう。つまりはうけるキャラだ。
どうでもいいことだが、この本ではじめて「色物」という単語を知った。
ロシア紅茶の謎 (講談社文庫) [bk1] [Amazon]
ロシア紅茶の謎 bk1 国名シリーズ第一弾。全部で六つの短編が収録されている。

パズル感覚の謎解きが多いかな? いや、きちんと人間ドラマみたいのもあるんだが。でもやっぱりパズルゲームみたい。
個人的に気に入ってるのは「屋根裏の散歩者」とあとがきの「好評絶版中」の一言(←これは文庫本だけかな?)どちらも人を食ったようなヤツだな。

「赤い稲妻」と「ロシア紅茶の謎」はラスト、終わり方が好きだ。格好良いぞ。とっつきやすい作品でしょう。
スウェーデン館の謎 (講談社文庫) [bk1] [Amazon]
スウェーデン館の謎 bk1 国名シリーズ第二弾。アリスが取材で訪れた裏磐梯で遭遇した殺人事件の話。長編です。

いわゆる「雪の密室」である。トリック、話の流れともにそれほどパッとするものではないかな? ま、でもなんかこんがらかって複雑……というようなわけではないし、読みやすいでしょう。犯人もわかりやすいし。ぼそっ……

にしても、火村。「さあ、おじさんに話してごらん」って……なんか怪しい(笑) 「優しいおじさん」風の台詞も、火村が言ってるとなると何か怪しいもののように思える……不思議だ……。
二時間ドラマにでもできそうだ……。何気に私の出身県が舞台。
ブラジル蝶の謎 (講談社文庫) [bk1] [Amazon]
ブラジル蝶の謎 bk1 国名シリーズ第三弾。んでもって短編集。6作品収録されています。
蝶で始まり、蝶で終わる一冊。表題作は「天井を埋める蝶」が印象に残る。思わず想像した。何だか、それぞれの話の登場人物があまり印象に残らなかったような。さすがに蘭ちゃんは強烈だったが(笑)

そんな作品の中で「これは良かったかな」と思ったのは最後の「蝶々が羽ばたく」ですか。ミステリとしてではなく、物語として良い、と思った。これだけちょっと違う感じの話ですよね。

しかし……三十歳こえた男が二人で蟹を食いに行くか、普通? そんなんだから君達は(以下略/笑) ところで、「人喰いの滝」の例の台詞がノベルス化にあたって削られたのって何でだろう?
英国庭園の謎 (講談社文庫) [bk1] [Amazon]
英国庭園の謎 bk1 国名シリーズ第4弾。資産家の人知れぬ楽しみが悲劇を招く表題作他、全6篇の短編を収録。

どの作品も相変わらず有栖川作品らしいパズルチックな作りの作品で読みやすい。短編ミステリとなると緻密さや理屈っぽさだけでなくテンポの良さやスマートさが大事になってくると思うのだが、この一冊はそこらへんはまぁまぁすっきりしてるかなと思うのであった。それ程目を引くといったものはないのだけれど。

「完璧な遺書」は第三者の目(っつうか犯人の)から語られているから、火村についていつもよりキャラ萌えっぽい(見た目とかのコメントが入ってくるからね。アリスのツッコミもないし)。しかしこの作品においてはそんなことより火村の外見を「身持ちを崩したインテリのギャンブラー」と言っているところだろうか(笑)

「ジャバウォッキー」がこの本の中では一番お気に入りかな? もう少し長くして、しっかり細かく話を詰めてサスペンスっぽくしても面白いのではないかなと……。
ペルシャ猫の謎 (講談社文庫) [bk1] [Amazon]
ペルシャ猫の謎 bk1 国名シリーズ。
犯人サイドの視点から語られる『わらう月』や、閑話休題的な『雨と猫と助教授』など。

ノベルスが出た当時、なかなか評判が芳しくなかったのを憶えています。何でだろうなぁと思って読んでみると……うーん、申し訳ないが確かに不評なのがちょっとわかるかも。

収録されている作品は、結構雑誌などで読んだものが多かった。雑誌で読んでいたときはそれほど不満は抱かなかったように思うのだが、一冊にまとめてみると微妙な感触になってしまったような感じ。『雨と猫と〜』なんかは、もう完璧にキャラ萌えなファンサービスだし(笑)
トリックなどについて、問題提起としてとるかそうじゃないか……。うーん。
マレー鉄道の謎 (講談社文庫) [bk1] [Amazon]
マレー鉄道の謎 bk1 大学時代の友人に招かれて、マレー半島を訪れた火村とアリス。
友人・大瀧の経営するホテルに泊まり、ゆっくりと旅を楽しむ予定の二人だったが、現地で知り合った日本人の家を訪れたところ、トレーラーハウスの中で死体が発見されるという事態に遭遇してしまう。
テープで目張りをされたトレーラーハウスの中で発見されたため自殺かと思われたが、徐々に不審な点が明らかになっていく。

国名シリーズ第6弾。
旅先で遭遇した事件にいつものようにかかわった火村とアリスだったが、ある事情からマレーシアを発つまでになんとしても事件の真相を解き明かさなくてはならなくなる。

微妙に物足りなかったかな……。トレーラーと言う密室が、長編で読むには少々魅力が足りない気がしちゃったんですよ。メイントリックで「冴え」が見られなかった。むしろ、一番最後で明らかになった事実のほうが話の要素としては良かったのではないだろうか。
古く正しい本格の形式を持った話ではあると思う。
しかし一番い言いたいのは、「大してマレー鉄道関係ないじゃん」であるわけです(笑)
スイス時計の謎 (講談社文庫) [bk1] [Amazon]
スイス時計の謎 bk1 二年に一度開かれていた“同窓会(リユニオン)”の当日、メンバーの一人が殺され、嵌めていた腕時計が消えていた。何故時計は持ち出されたのか。(表題作)
密室となった書斎で死体となって発見された高利貸し。一見自殺のようだが、利き手と逆の手に硝煙反応があるなどの点から他殺が疑われるが、密室の謎が壁となる(『シャイロックの密室』)
アトリエで殺害された女性彫刻家の首は、石膏像のものとすげ替えられていた。犯人は誰か? 首は何故すげ替えられたのか(『女彫刻家の首』)

国名シリーズ第7弾。短編集で四本収録。
表題作の理詰めな感じは、最近となっては意外な解決法でびっくり。でも好みであった。
モロッコ水晶の謎 (講談社文庫) [bk1] [Amazon]
モロッコ水晶の謎 bk1 アリスの招かれたパーティー会場で、乾杯の直後に起きた毒殺の真相は(表題作)
休業中の俳優の誘拐殺人事件が発生。しかし、姿の見えない犯人。その犯人の正体は(『助教授の身代金』)
クリスティの『ABC殺人事件』をまるでなぞるかのような連続殺人犯を追う(『ABCキラー』)
気心の知れた友人と会うアリス。そこではじまった推理の真相は(『推理合戦』)

とりあえず言おう!
モロッコ水晶関係ないやん!!
というかモロッコである必要性すらないし水晶も必要ないような……どういうことだ。

『推理合戦』が一番好きかなぁ。中篇は、いずれもなんかインパクトが弱い感じがします。
海のある奈良に死す (角川文庫) [bk1] [Amazon]
海のある奈良に死す bk1 だいぶ前にハードカバーで読んだ。だから少々記憶があやふや。ということで文庫版片手にこれ書いてます。

東京の出版社でアリスが久しぶりに会った同業者の赤星楽は、その後福井で死体となって発見された。「海のある奈良」「人魚」の言葉を頼りに火村とアリスは調査を開始する。裏にあるのは母子の悲しいすれ違い。身を投げた彼、そして残された彼女の思いはどんなものだったのだろうか。

ところでトリックだが、あれってあんなにうまく細工できるの? というかうまく作用するのかなあ? 知識が足らんので良くわからんが。
んなことより(ヲイ)火村! 火村の過去が気になるんだ! 毎回毎回まったくもうっ。
暗い宿 (角川文庫) [bk1] [Amazon]
暗い宿 bk1 小旅行に出かけたものの、返りに体調を崩したアリスは、最近廃業したばかりだという民宿に頼み込んで一晩泊めてもらう。しかし、後日新聞で取り壊された民宿の下から白骨化した遺体が発見されたと知り、泊まった夜の奇妙な音や人影を思い出したアリスは……(表題作)
犯人当てゲームのモニターとして南の島のリゾートホテルを訪れたアリスと火村。そこで訳ありげな夫婦と知り合うが(『ホテル・ラフレシア』)
仕事が一段落し、息抜きに温泉旅館に泊まりに来たアリス。しかしその旅館で殺人事件が発生する。旅館には顔に包帯を巻きサングラスをした奇妙な男が泊まっており、事件後姿をくらましていたが(『異形の客』)

全4本収録。
様々な「宿」を舞台とした短編集。
一本として暗くならない話がない。救いのある殺人事件なんてあるわけないが、それにしても何かおさまりの悪いものがある話ばかり。
破滅、正気と狂気の狭間、逃避、そしてそれを追い詰める者の中の闇。タイトルに『暗い宿』を持ってきたのも納得の作品傾向。
個人的には『異形の客』での火村の「自首するんじゃないよ」がなぁ。何か、根の深いものを思わせるよ、これは。時々火村が犯人に向かって見せるこういう面が、アリスを心配させる要素なんだろうなぁ。

火村視点で話が進み、ファンサービス的な『201号室の災厄』だが、ラストまで読んで前半に戻ると、確かに最初からその結論で火村が動いているのがわかって、それはそれで面白かったかも。
白い兎が逃げる (光文社文庫) [bk1] [Amazon]
白い兎が逃げる bk1 ストーカーに悩まされる舞台女優。彼女は劇団の脚本からとストーカーを撒く作戦を立て決行するが、ストーカーは明くる日小学校のウサギ小屋の裏で死体となって発見される。捜査が進むにつれ明らかになるのは、あまりに希薄な彼の人間関係。そして殺害の動機を持つ者がいないという事実だった。(表題作)
指名手配されているテロリストを目撃した森下刑事は、援軍を得ようと電話するが、逆にテロリストに捉えられてしまう。地下室に捉えられた森下の目の前で起きた忌まわしい事件の真相は……(『地下室の処刑』)
他、2本、合計4編の短編を収録。

表題作は鉄道を使ったトリック。トリックの概要はかなり早くに予想がつきました。今回好みだったのは、『地下室の処刑』。動機がかなり好みの一本でした。そこに辿り着くまでがもう少し論理的だともっと嬉しかったかなぁ。
『比類のない神々しいような瞬間』は、賞味期限アリかな、というトリックでした。犯人視点は好き。
絶叫城殺人事件 (新潮文庫) [bk1] [Amazon]
絶叫城殺人事件 bk1 「NIGHT PROWLER」と記された小さな紙片を口に押し込まれ、殺害された若い女達。ホラーゲームをなぞるかのような犯罪に世間は沸くが、四件目の犯行は他の三件と少し様子が違っていた。しかし、紙片と凶器は紛れもなく本物で(表題作)
学生時代の友人に招かれ、彼が相続した屋敷「黒鳥亭」に来た火村とアリス。二年前にそこで起きた殺人事件で自殺したと思われていた犯人の男が、死後1週間程度の変死体で井戸の中から発見されたのだという。(『黒鳥亭殺人事件』)
他、『壺中庵殺人事件』、『月宮殿殺人事件』、『雪華楼殺人事件』、『紅雨荘殺人事件』など、全6編を収録の短編集。

すべて長編のようなタイトルでありながら短編。タイトルの重々しさに比べ、内容はコンパクトで不思議なバランスである。 館モノと思うと肩透かしを食らうかもしれない。なんせ表題作なんて館存在してないし(笑)
話としては、表題作と『黒鳥亭〜』が良い。
『黒鳥亭〜』では、ちびっ子と火村やアリスのやり取りが可愛い。火村、女は嫌いだが子供は好きか……。
表題作は、火村と犯罪者の対峙、それを見守るアリスの心情などがポイント抑えていて、作家アリスモノとしてクオリティ満足な感じ。犯罪者に対し火村が見抜くものを、アリスが語るところとかも良かった。なんという理解者。ホント、良い友達だよな……危ういくらいに。
火村と犯罪者の相対(あいたい)にハラハラしつつも、その一方でアリスがお隣さんとまだ程よく仲良くしていることもわかり、楽しめた一冊。
妃は船を沈める (光文社) [bk1] [Amazon]
妃は船を沈める bk1 深夜、海に転落した自動車の中からは水死した男の遺体が見つかる。一見自殺のようだったが、遺体からは眠剤が検出される。更に、一億円の生命保険がかけられていたため、他殺の線が浮上する。被害者が多額の借金をしていた女・三松妃沙子も捜査線上に上がるが、彼女は若い男達を侍らせる裕福な女性だった。有力な容疑者三人がそれぞれの理由で犯行が難しい状況を打開するのは、『猿の左手』?

別々に書かれた中篇をつなげて一つの作品としたもの。正直、タイトルにある「妃」が作中で語られるほどの影響力を持つ人間に見えないので、どうしても違和感があった。老けて、過剰に演技的な印象があって。

第一部は『猿の手』の解釈も含め、面白かった。その分、第二部が後付け感が強くて微妙だったかも。ただ、新キャラ・コマチ刑事の初登場という意味では後々重要になるかも。きっと今後も出ますよね。
火村について鋭い洞察も見せ、基本、火村に絡むのかな、と思った次第(笑)
アリスはお隣の女教師だろーし(笑)
火村英生に捧げる犯罪 (文藝春秋) [bk1] [Amazon]
火村英生に捧げる犯罪 bk1 廃工場から不振人物。工場を覗くと、中には縊死した男の死体があった。死に方に奇妙なところがあり、自殺か他殺かは不明。男の身元を辿っていくと、とある過去の強盗殺人事件が浮かび明上がり……(『長い影』)
大阪府警に届いた怪文書。火村に対して挑戦するかのように犯行をほのめかすものだが、入学試験の時期で手が離せない火村。一方、アリスの元には盗作の訴えをする電話がかかってきて……(表題作)
Webカメラで打ち合わせをする放送作家コンビ。その隣家で作家とトラブルを起こしていた男が遺体で発見された。容疑者である作家は、リアルタイムの打ち合わせによってアリバイがあったが……(『雷雨の庭で』)
ショートショートも含む全8編収録の短編集。

わりとバラエティに富んでいる印象なのは、やはりケータイサイトのショートがあるからだろうか。かなり短いので、いつもの短編とは違った形式になっていてこれはこれで興味深い。
作家アリスは短編のほうが好きなので、概ね楽しめた。

表題作は、タイトルの割りに酷くあっさりしていてタイトル負けな感じがあったのだが、『長い影』『雷雨の庭で』はいつものクオリティで安心して読めた。しかし、大阪府警のアリス評はヒドい(笑)

火村が語り手となる二人称小説は異色。なんだか異様にこそばゆかった……なんか、「くそう、アリスめ!!」みたいな(笑)
こういうショートショートも、小ネタ集みたいでいいですね。
乱鴉の島 (新潮文庫) [bk1] [Amazon]
乱鴉の島 休暇で離島の民宿を訪れることになった火村とアリス。しかし、ちょっとした手違いで違う島に送られてしまう。
無数の鴉が生息する島には、高名な老詩人・海老原と、彼を崇拝する男女が集まっていた。歓迎されていない空気の中、帰る手段がなく別送に世話になる二人。何らかの目的で集まっているらしい人々は、それでも穏やかに過ごすが、そこへ招かれざる客が現れ……。

作家アリスの孤島モノ。だが地味。
アリバイの確認などからロジカルに詰めていくのだけれど、謎さのわりに事件が小ぶりというか……。犯人の動機もやや唐突かなぁ。せめて、鴉とかをもっと存在感もたせておどろおどろしい雰囲気を出しても良かったんじゃないか。いっそ、クローンがすでに生まれている状態になっていても良かったのではと思うくらい。

というワケで、雰囲気は好きだけれど少々薄味な感じがした。長すぎる、か。
××江神サイド××
月光ゲーム 〜Yの悲劇’88                    創元推理文庫  [bk1]→
夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会。そこで偶然一緒になったほかのグループの学生たちと楽しいキャンプをするが、矢吹山が噴火、事態は一変する。陸の孤島とかしたキャンプ場に閉じ込められた中、殺人事件が起こる。
う、初々しすぎるぞ、学生アリス。青春小説の主人公のようだ……いや、その要素もあるが。特にうけを狙ったような描写もなく、すっきり書かれているなと思う。江神も容姿の描写などではなく、自然とグループのリーダー格になっちゃうような落ち着いた雰囲気とかで印象に残る。閉ざされた舞台、ダイイングメッセージ、読者への挑戦状……おお、いかにもですな。
この話での学生としての生活や、精神面での描写はいいと思う。ただ、ついつい忘れがちだけど、あまり作中で時間はたってないんだよね。あの短い数日間のうちに三人殺すほどまで思いつめられるものなのだろうか。まあ、そういう場合があるのかもしれないが、それにしても何か少し無理があるような気が……。それともあれか、十年前のご時世の大学生にはそれほどまでの情熱があったとでもいうのか… …。
学生アリスのほうだと、周りに関西弁の人がいるせいか、アリスの関西弁にわざとらしさがないかな?
××その他××
幻想運河                          講談社ノベルス  [bk1]→
シナリオライターを目指す山尾恭司は世界を旅して廻る中、アムステルダムに居ついていた。しかし、アムスで出会った友人たちのうちの一人がバラバラ死体で発見され、その事件の渦中に巻き込まれる。ドラッグの幻覚と現実との間を行き来しながら書かれた小説はくしくもバラバラにされた男の物語だった。アムステルダムと大阪を舞台にしたそれぞれのバラバラ殺人事件は、最後にひとつの流れとなる。
おおぅ……何かこれはいつもの有栖川有栖ではありませんな……。物語は最初と最後において語られる大阪のバラバラ殺人事件と、ドラッグによる幻覚と現実の間を行ったり来たりする青年・恭司の視点から語られる、アムステルダムのバラバラ殺人事件からなる。しかし、名探偵が謎を解く、と言うわけではない。物語は最初から最後まで、今までの有栖川作品には見られなかったような幻想美に包まれている、と言った感じだ。下手すると安っぽくなってしまう(笑)、いつものパズルチックな要素も、これでは上手く調理されている感じがする。
ラストまで読んではじめて冒頭のシーンの謎が解ける。なんともせつなく幻想的なラスト(最初)であると思う。良いですねェ、これは。確かに裏ベストワンかも。
ちなみにこの話、昔ハードカヴァーの作品紹介を読んだ時、ヤク中の作家が「自分が犯人なのかも」と苦悩しながら事件の謎を追う話かと思っていた(笑)。
ジュリエットの悲鳴                     角川文庫  [bk1]→
1990〜1998年にかけて書かれた、ノンキャラクターものの短編12本が収録されている短編集。犯人の視点から書かれたものや、SFミステリなど、結構バラエティに富ん短編集ではないだろうか。

……………………さて。

爆笑!!と、「登竜門が多すぎる」はもう傑作!! あなた、これで笑えなかったら変だよ。じゃなきゃまったくミステリを読んだことないか。嗚呼……馬鹿すぎる。こんな本気で笑えるのも久しぶりだ。
「登竜門〜」は入試のバイトの時に読んでいて、その時笑いを必死にこらえていたのを覚えている(笑)。家に帰ってから笑ったけど。嗚呼、おかしい。これがベスト短編だとしたら、それはそれでなんだか「ヲイヲイ」と思わないでもないが……。このほかでは、「裏切る目」と「夜汽車は走る」の2本が好きです。この2本は雰囲気が凄く良くて、終わり方が綺麗かと。
まぁ、取り敢えず「登竜門が多すぎる」は読みましょうや(笑)。
幽霊刑事                          講談社ノベルス  [bk1]→
刑事の神崎達也は、上司に浜辺に呼び出され、そこで射殺されてしまう。しかし、神崎は幽霊としてこの世に残ってしまう。通行人にも、犯人の上司にも、フィアンセにすら姿も見えず、声が聞こえない身になってしまった。なんとか上司の罪を他に知らしめたいと思う神崎だが、その上司が密室状態で殺害されてしまう。神崎は自らを死に至らしめた事態の真相を明らかにすることが出来るのか。
有栖川有栖のノン・シリーズもの。幽霊になってしまった被害者の刑事と、その姿が見えてしまったイタコの血筋の刑事のコンビが事件を解決しようとする。
申し訳ないが、個人的にはアウトな感じの作品であった……。いやもう、主人公うざったいのなんのって。この主人公のせいで、話がただでさえテンポが良くないというのに、さらに助長になってしまっているような気がする。ミステリの要素がどうも上手く生きていないような気がしないでもないような……。
評価は(どんな作品でもそうだが)人によりけりだろう。その上であえて言うなら、個人的にはこれ「あいたたた……」な作品だったなぁ。ごめんなさい。

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