<伊井圭/歌野晶午/小野不由美/沢木冬吾/城平京/ 高里椎奈/
久間十義/椹野道流/藤原伊織/米田淳一>

啄木鳥探偵處                         東京創元社
歌人・石川啄木と言語学者・金田一京介を探偵と助手にしたミステリ。石川啄木は「一 握の砂」で有名ですよな。読んだ事はなくとも大学受験の文学史の問題で出たりしたこともあったんじゃなかろうか。おいらは問題集 で見た記憶が……。金田一京介は国語辞典の編纂者で有名。一度はこの名前を見たことはあるでしょう。
生活のために探偵業をはじめた啄木と、何かとそれを手伝わされる金田一の二人が、不思議な闇を抱えていた時代の東京下町を舞台 に活躍します。しかし、金田一がなんだか情けない……(笑)。しかも何やら誤解(?)を受けそうな……(どう言う誤解かはさておき/笑)。 実在の人物を使って、なかなか興味深いとは思うが、それほどのめり込めないのも確か。

葉桜の季節に君を想うということ  (文春文庫)   [bk1] [Amazon]
オンライン書店ビーケーワン:葉桜の季節に君を想うということ TVドラマのエキストラ、ガードマン、パソコン教室の講師……と、いくつもの顔を持つ、「何でもやってやろう屋」を自称する成瀬将虎。昔探偵事務所にいたこともある彼は、同じフィットネスクラブに通う愛子から、悪質な霊感商法をする蓬莱倶楽部の、保険金殺人への関与の調査を依頼される。そんな折、駅のホームで自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出逢いをし、調査をしながらも交流を深めていく。蓬莱倶楽部の調査を進めるうちに遭遇する危機、そして衝撃の事実は……。

2004年版このミス、2004年本格ミステリベスト10で第1位。そして、第57回日本推理作家協会賞受賞、第4回本格ミステリ大賞受賞と話題になった作品。

あらすじを語るのに、下手な単語が使えない……(-_-;)
確かに読んで騙される作品。はじめのうち、ハードボイルドを気取る青臭い印象の主人公やその周囲に、どうも良い印象を持てず、乗り切れずに読んでいたが、ラスト2〜3章でひっくり返される。そうすると、それまでの話やキャラへの意味付け、印象もがらっと変わる。もとより読者を騙すために情報の開示はコントロールされているが、読者の先入観を利用し、これでもかというくらいにミスリードしている。
これを気持ち良いと感じるか、ふざけるなと思うかは、正直分かれそう(笑) 真相が明らかになることで、グロテスクさを感じる読者もいるだろう。
……しかし、騙されたというインパクトはかなりのものだが、ストーリーとしての魅力があるかは正直疑問。多分あの騙しのトリックが同じなら、まったく違うキャラクター、ストーリーでも何とかなるだろう。トリックのための話だ。そう考えると、かなり冗長。

ただ、メディアミックスを受け付けない作品を今の世に出すのはすごいと思う。
黒祠の島  (祥伝社ノン・ノベルス)   [bk1] [Amazon]
オンライン書店ビーケーワン:黒祠の島 作家の葛木志保が、自宅の鍵を預け失踪。仕事でのパートナー・式部剛は、過去を切り捨てたような彼女の履歴を辿り、「夜叉島」と呼ばれる島へたどり着く。しかし、島は明治以来の国家神道から外れた「黒祠」の島であり、それゆえに部外者である式部に真相を話そうとはしなかった。葛木探しに難航する中、式部は、嵐の夜に発見された女性の他殺死体の話を手に入れる。神社の樹に逆さに磔られたその死体は、身体的特徴から、葛木志保こと羽瀬川志保のものに間違いないとのことだが……。

閉鎖的な島、独特の宗教……となると、かなりおどろおどろしいイメージなのだが、読むとこれが淡々としている。簡単に感想をいうと、中途半端で物足りない感じ。
これといった特徴もないのに、妙なところで妙な薀蓄を披露する式部。情報提供をしてくれて思いのほか親切な(笑)島民達。どうも、登場人物全てが話に都合よく出来ている気がしてならない……。何よりも、探偵役であるはずの式部のキャラが立ってなくて地味だー。いっそのこと、はっきりと「失踪した恋人を探しに来た」くらいの設定にして熱さを持たせてもよかったんじゃ。
“馬頭さん”の真相もさほど意外でもなく……。なんだかもったいないなぁ、という気がします。
愛こそすべて、と愚か者は言った              新潮社
探偵事務所を構える久瀬は警察から誘拐事件への協力が要請された。誘拐されたのは7年前に妻とともに別れた実の息子・慶太。久瀬は身代金の運搬役に犯人から指名されたのだ。慶太はなんとか助け出されたが、なぜかその時母親とその夫は姿をくらましていた。久瀬は残された慶太と一緒に住むことになる。母親たちは何故事件の解決を待たずに姿を消したのか?そして久瀬には過去の事件に関わる危機も徐々に迫っていた。
第三回新潮社ミステリー倶楽部賞高見浩特別賞受賞作。ミステリーのようなそうでないような。
いやぁ、なかなか面白かったです。特別賞でこれってことは、受賞作の「闇の楽園」はもっと面白いのだろうか?
作品では「謎」としては誘拐を取り上げています。ただ誘拐だけで引っ張るというのではなく、人質が救出されたあとに、その親が行方不明になるという形で、読者に「どうなるんだ」と思わせようとしています。誘拐というもののもつスリルや勢いに頼るのではない話運びは上手い。
そしてこの作品のもうひとつの軸となっているのが父子関係。生まれてまもなく別れた息子と暮らすことになった久瀬。血が繋がっていながらも、お互い「親子」として触れ合ったことがなく、どう接すれば良いかがわからずにいる、ぎこちない関係の二人が、本当の「親子」へとなっていく様が上手く書かれていると思います。もう、ここがツボでしたね!!慶太がある意味「本当の家族」を7歳になってようやく 得ていく様、久瀬が「父親」として成長していく様が凄く良いです。作品に出ている別の父子関係との対比でよりいっそうこの二人の関係が心にくるものになっているような。
ちょこちょこと問題はあるのだろうけど、これがデヴュー作なんだし、これから頑張って欲しい作家さんですね。
名探偵に薔薇を                     創元推理文庫  [bk1]→
各種マスコミに届いた怪文書「メルヘン小人地獄」。それは読んだ人々に当惑を与えただけだったが、やがてそれになぞらえたような殺人事件が起きることによって注目を浴びる。そして、三十三年前のある事件で、「小人地獄」という驚異の毒薬が見つけられていたことがとりあげあれる。第一の被害者をだした藤田家で娘の鈴花の家庭教師をしていた三橋荘一郎は、藤田家に留まり対応に追われたが、第二の被害者、犯人とおぼしき男のゆすりに、藤田家も警察も行き詰まる。そこで三橋が呼び寄せたのは「名探偵」瀬川みゆき。三日の期限で瀬川は解決へ至れるのか。そして二年後、再び起きたある事件はどういう目的で起こされたのか。第一部「メルヘン小人地獄」、第二部「毒杯パズル」からなる一つの物語。
第八回鮎川哲也賞の最終候補作となった作品。否定派は「前例のあるアイディアが使われている」という点、そして読者から出たのは「後半探偵の内面が前面に出てくるのが……」という感じなようです。
後者はまず個人個人の好みなので、あえて取り上げることもないかと。私としては第一部で冷戦沈着な名探偵振りを示しておいて、第二部でその内面の揺れを描き出すってのはありかなと。人間臭いのはOKです。別に第二部の語り方が瀬川の魅力減に繋がるとは思えない。
前者のトリックに関しても、私自身はその前例を知らないし、それに気付いたからといってこの話の価値が下がるか?と考えると微妙だと思える。ミステリの価値はトリックだけで決まるものではなかろう。トリックばかり目を引いてろくに人間書けてないよりマシだろう。この話 を仕上げるには、あの仕掛けで良いと思うのだが。
読めばわかるが、第一部は第二部のプロローグである。これだけかけてプロローグというのも凄いが、無駄ではないと思う。なんにしても、丁寧に書かれていて良いと思う。探偵好きは考えさせられる作品かもしれない、ある意味。
銀の檻を溶かして                     講談社ノベルス  [bk1]→
深山木薬店は副業として探偵業もやっている。それも、奇妙な事件を専門に。薬店にい るのは深山木秋、座木、リベザルの三人の青年または少年。三人の正体は妖怪で、人から妖怪の存在を隠すため、妖怪が関わったと思 われる事件の処理をしているのだった。未亡人の部屋の扉をノックするのは死んだ息子なのか、妖怪・悪魔か、それとも人の悪戯か。
ホワイトハートあたりから出したほうが良かったんじゃなかろーか。それとも講談社ノベルスに新たな客を呼びこうもうって講談社の 戦略か?どう考えてもキャラ萌え少女がターゲットとしか思えない(笑)キャラ萌えということを考えると「建築探偵シリーズ」もそうなる が、物語の作り方はまだ「建築探偵シリーズ」のほうが良いだろう。ある程度話の重点がしっかりしてるし。余計な味付けがされている、 もしくは調子の仕方を間違ったという印象。事件に妖怪が関わる必然性がいまいちだし、人間もいまいちきちんと描かれていないよう に思える。
一部の読者(笑)が引っかかりそうなキャラを次から次に出してみせた、という感じしかないなぁ。事件のラストがなんかお粗末な感じ だぞ。
黄色い目をした猫の幸せ                 講談社ノベルス  [bk1]→
深山木薬店にやってきた少年。秋たちの「裏側」の仕事を耳にはさんできたらしい少年は、 佐倉康という少年を殺してくれというとんでもないことを言った。当然ながら以来を受けるということはなかったが、直後、その佐倉 康が頭部手足を切り取られた死体となって発見された。依頼に来た少年の発言から、秋たちが一度捜査線上に浮かぶが、依頼以前に佐 倉康が殺されていたことがわかり、一応は容疑者から外される。秋たちは、独自に調査を始めることにしたが。
正体は妖怪な、深山木薬店の三人、秋、ザギ、リベザルのシリーズ第2弾。
今更言うこともないだろうが、この作品というかシリーズというか……とにかく好きじゃない。他のみんなが魅力を感じているらしい 3人はどうも、キャラが浅い印象で作りが粗いと思うし。このシリーズを読む好意的な理由があるとしたら、高遠三次くらいなものだろ う(笑)。リベザルは逆に1番嫌い。
話のほう自体は、1冊目よりはよいと思えます。あくまで同一作者の作品を比較して、での評価ではありますが。まだノベルスとして 出版するのには不満の残るものではないかと思います。
相変わらずメイン3人が妖怪である必然性が内容に思えますわな。やはりホワイトハートあたりが適当なのではと思うのでありました。 何というか……普通に読める、としか評価のしようのない話だったように思えます。
悪魔と詐欺師                       講談社ノベルス  [bk1]→
高遠三次が居合わせた、喫茶店での毒殺事件、高橋総和が深山木薬店の面々に相談を持 ちかけた、会社員の飛び降り自殺。すべて解決した六つの事件だというのに、これらの事件には共通点があるという。ネット上の情 報屋「シャドウ」からそう謎掛けをされた高遠は、深山木薬店の面々を巻きこみ、真相を突きとめようとする。
シリーズ第3弾。短編集のような形式で話が進んでいき、ラストで一つの物語としてまとまる。短編として読んでいて面白いのは、お そらく第1章だけではないだろうか。他のはなんか……「?」な感じでした。全体のラストとしてのアレもちょっと「?」でしたし。どうも 秋とゼロイチのエピソードは、不用とまではいかないが、行き過ぎという印象がある。
やはり高遠三次のために読んでいるようなものだ、と思う。大体薬店の三人、今回本格的に便利キャラに成り下がっていないですか (笑)?メインキャラにあるまじき状態ではないだろうか……。
何となく、高遠三次を主人公に、妖怪要素ヌキで話を書いたほうがまともな話になるのではないかと思えた……。ミステリとしての作 りはかなり粗いのではないかと思われ。
金糸雀の啼く夜                      講談社ノベルス  [bk1]→
とある事情で宝石を盗むことになった座木とリベザル。相手側の警備の中には秋がいる。 ばれないように気を配っていたが、その先には思わぬ事態が待ちうけていた。パーティ会場のシャンデリアに押し潰された二人の人間。 そしてロープの先に吊るされた白い道化。事故として処理されようとしていたそれは殺人だと感じだ座木は行動を起こす。
うーん、間の2冊を抜かしているからちょっと断言するのもアレだけど、ミステリのかたちを無理にとらなくても良いんじゃないだろう か。なんかとても死んだ三人+犯人がどうでもいいように感じる話だぞ……。メインはそこじゃないんだから仕方ないのかもしれない けどねぇ……。
ミステリとしてみようとするとかなりどうかナーという感じだが、ライトノベルとしてはまぁまぁこんなもんですかねぇ。……なんか これに新書の金払うのはアレだね……(いや、古本だけどさ/笑)

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