チグリスとユーフラテス                  集英社  [bk1]→
コールドスリープから目覚めると、そこにいたのは医師ではなく、ルナと名乗る老女だった。やがて目覚めた者はこの星が今どういった状態にあるのかを知らされる。ルナと、彼女によって目覚めさせられた女達の目を通して語られる惑星ナインの物語。
一気に読めた。それぞれの時代、それぞれの立場の女性の物語。どの女性もルナ一人を残すのみとなった惑星ナインで、自分の生きる意味を思い、悩む。子供を産むこと、仕事をすること、芸術に一生をささげること。ここらへんは現代にも通じるものがあるか。
ラストの、あの静かさ、穏やかさ。誰もいない、けれど、悲しいとか、寂しいとかよりも暖かい気持ちのほうが勝ったと思う。あのラストは不幸だとは思えないんですなぁ。でもちぃっとグロテスクだよね?
解体屋外伝                         講談社文庫
「自己」を失ってしまったその男は、洗脳外しのプロ・解体屋(デプログラマー)だった。ソラチャイの声で目覚めた解体屋は、洗脳のプロ・洗濯屋(ウォッシャー)のしかけてくるマインドコントロールから逃れ、対決しようとする。解体屋は「自己」を取り戻せるのか。「解体」したその先に見えるものは何か。
洗脳をテーマにした小説。脳をパソコンのような一つのシステムとして考えた設定である。洗脳も、洗脳外しも、そのシステムにハッキングすることによってなるという。サイコ冒険活劇としてとても面白いが、それと同時に考えさせられるものもある。もはやこの作品内で語られている洗脳とは、現実離れしたまったくの夢想のものとはいいきれないと思う。不況だ宗教だと自分を見失いがちな現代ならなおさらではなかろーかねぇ。深く考えてもそんはないでしょう。個人的に一番キたのはラストのほうの「どうしてお前はそう敵を作りたがるかねぇ」なんですが。妙にドキッとしました。ま、おもしろいっす。

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