あなたのための物語NEW! (早川書房)  [bk1] [Amazon]
あなたのための物語 bk1 ナノサイズのロボットにより、開頭手術なしで擬似神経回路を作る技術・NIPで成功者となった科学者サマンサ・ウォーカーは、人間を記述し、経験や感情を直接伝達することのできる言語ITPの研究に心血を注いでいた。
ITP使用者が創造性も兼ね備えることを証明するために、仮想人格《wanna be》を作り、創造性試験体として小説を書かせる実験を開始した矢先、サマンサは難病により余命半年であることが明らかになる。
実験チームはサマンサの死後に向け再編され、死に向かい成功者の地位から転がり落ちていくサマンサ。ITPの研究に固執し、死から逃れようと禁忌を犯し社会性を失い、エゴを撒き散らせて足掻く彼女に《wanna be》は物語を書き続けるが……。

……正直、最初は読みにくさのほうが勝っていたし、主人公のエゴが凄いのにどうもダメな感じがしていたのだが、病に追い詰められていくサマンサの鬼気迫る様子にページを捲らされた。陰鬱な展開なのだが、確かに筆力を感じる文。テーマの一つが「死」であることは確かなんだろう。

しかし何より、《wanna be》が「物語」について語りだしたところが私にとっての本番だった。ただただ、言葉を失った。これは作者の考えなのか、と思った。
「物語を書く」とは、「物語を読む」とは――そこに《wanna be》が出した答えは、まさに“言葉を奪う”ものであった。
確かに、本当に面白いものを読んだとき、語るための言葉は少ない。もどかしいほどに何故か語彙が貧弱……というか適切な言葉が思い浮かばない状態に陥ったりする。「うーわー、うーわー」しか言えなかったり(笑)
「言語から解放される一瞬」は、確かにある。
作者の読書体験は、きっとそのような瞬間に数多く立ち会ってきたのだろう。そして、自らもその瞬間を作る側になろうと日々作品を作り続けているのだろうか。その思いを想像すると「もう下手に小説モドキとか書けん!」とか思ってしまう(笑)
そこを乗り越えてその地点に到達しようとする者が、プロの作家になるのだろうなぁ。

ストーリー展開はかなり地味で、どちらかと言うと結局救われない物語のような気がするのだけれど(最後の一文強烈)、読む価値がある一冊かと。

言葉を尽くして言葉を奪う。
だからだ読書はやめられないと思う。
円環少女 1バベル再臨 (角川スニーカー文庫)  [bk1] [Amazon]
円環少女1 bk1 幾千もの魔法世界から<地獄>と呼ばれ最も忌み嫌われる世界・地球。なぜなら、人類に知覚されると魔法現象が消滅してしまうからだ。
魔法世界で死刑に等しい重罰<刻印魔導師>となり<地獄>に堕とされた少女魔導師・鴉木メイゼル。死ぬまで敵対魔導師と闘うことを義務付けられたメイゼルは、<魔導師公館>の専任係官・武原仁と組んで六十年前に途絶えた<再演大系>の魔術に関わる一件に立ち向かうが……。

嗜虐趣味の小学生魔導師メイゼルと、彼女に偏愛される真なる悪鬼<沈黙(サイレンス)>の武原が活躍……って何かいろいろキてる。サド小学生がヒロインって、いいのか、それ? しかも全編通して、現時点では武原争奪はメイゼルが優勢っぽいし。ヤバいカップリングだなぁ。

魔法の設定なども興味深い。設定オタにはたまらなそう。主人公達の不健全な関係もどうなっていくのか楽しみ(違
円環少女 2煉獄の虚神(上) (角川スニーカー文庫)  [bk1] [Amazon]
円環少女2 bk1 魔法使いから<地獄>と蔑まれる地球。元の世界での罪のため地球に堕とされた少女魔導師・鴉木メイゼルが専任係官である武原仁と共に捕らええた犯罪魔導師・浅利ケイツが<協会>の牢から逃亡した。仁たちがケイツを追う一方で、相似世界を壊滅に追い込んだ高位魔導師グレン・アザレイが地球に降り立つ。彼は<協会>が独占する知を解き放つという己の正義を成す為、たった一人で<協会>に戦いを挑む。
仁はこの戦いからメイゼルを遠ざけようとするが、突きつけられた己の誇りを危うくする指摘に、メイゼルは仁の元を離れる決意をする。

冒頭に仁とメイゼルの出会いのエピソードも入っている。
少女として護ろうとする仁と、魔法使いとして生きようとするメイゼルのすれ違いがなかなか。後半二人がどうなるのか、気になって仕方がない。
円環少女 3煉獄の虚神(下) (角川スニーカー文庫)  [bk1] [Amazon]
円環少女3 bk1 魔導師の誇りをかけ、グレン・アザレイとの戦いに加わることを決意したメイゼルは、戦いを止めようとする仁に別れを告げ、専任係官・神和瑞希の元に下った。
<協会>が刻印魔導師による人海戦術を仕掛ける一方、<公館>でもグレンに対してのある作戦が立案されていた。
やがてグレンは魔導師のおかれている苦境に怒り、人類六十億の殲滅を宣言する。グレンへの刺客として選ばれたのは<沈黙>武原仁だった。

仁とグレンの最終決戦もさることながら、砂漠での仁の射撃が燃えた。いいね、こういうの。魔力以外の力で勝負ってのは良いよ。
扉越しの仁とメイゼルのやり取りもなんとも言えず。ここまで気持ちを通じ合わせているのにじれったいなぁ。

しかし、仁からはどこか犯罪の匂いがするんだがどうしたらいいんだろうねぇ(笑)。やはり京香に頑張ってもらうしかないのかな?
円環少女 4よるべなき鉄槌 (角川スニーカー文庫)  [bk1] [Amazon]
円環少女4 bk1 グレン・アザレイとの戦いにより刻印魔導師の三分の一を失った<公館>は、手薄になった犯罪魔導師の取り締まりに追われ、専任係官の武原仁も奔走していた。
ある日、仁はアパートに蛍のような光を放つ魔法構造体を見つける。それは、忘れようもないカオティック・ファクター<蛇の女王>と呼ばれていた妹・舞花の欠片だった。
一方、メイゼル、きずな、そして何故か巻き込まれた寒川紀子の三人は、魔法構造体の正体とその出所を探るため、<公館>の地下に広がる迷宮へと足を踏み入れる。しかし、そこでは魔術師たちの<核>を巡る罠が張り巡らされていた。

仁の過去話。舞花が生きていたら、仁を巡る女性関係もさぞ楽しいことになっていただろう。
元々は妹のおまけでしかなかった仁を、専任係官にまで育て上げた王子護が暗躍を開始する。なんか、こうなると両親もわけありなんじゃないかという気になってくるのだが。
エレオノールの今後の絡みが気になるが、それにしてもヘタレだなぁ、仁。
円環少女 5魔術師たちの迷宮 (角川スニーカー文庫)  [bk1] [Amazon]
円環少女5 bk1 ワイズマンの魔導師らに核爆弾を強奪され、迫り来る首都壊滅の危機に、<公館>へ警察組織が立ち入ってくる。お互いに異なる論理で動く中、<公館>は総力を持って立ち向かう決定を下すが、専任係官・瑞希、再演大系魔導師・きずなは王子護に連れ去られたままだった。
テロ阻止のため、メイゼルと仁が奔走する一方、王子護に連れ去られたきずなたちが東京の地下迷宮の先に目にしたのは、そこで暮らす魔導師たちだった。

生ぬるい平和を望みながらも射撃シーンになればメイゼルも怯えるような気迫を見せる仁。どちらも選べないまま中途半端な男は、それゆえに守りたいものすら失う気配がぷんぷんしている。なんつーか、育ち方をしくじった男のような気が。ヘタレてるー。

個人的には射撃のシーンが良かった。やはり仁は問題解決の方法として闘うことしか知らないのではないだろうか。
ラストでは怒涛の展開に。仁、坂道コロコロの予感。京香姉ちゃんがかわいそうだ。
円環少女 6太陽がくだけるとき (角川スニーカー文庫)  [bk1] [Amazon]
円環少女6 bk1 テロリストの凶弾に倒れたメイゼルを救うため、<協会>と取引をして地下都市へと向かう仁。しかしそれは、<公館>に反旗を翻し、専任係官の職務を放棄することに他ならなかった。かつての同僚達に追い詰められながらも地下都市に辿り着いた仁が見たものは。

仁に苛々するなぁ、このシリーズ(^_^.)
きずなもイラッとするかも。一人「普通」のフリを通して、一般人ぶっている印象がどうしてもぬぐえない。メイゼルや京香がかわいそうになるなぁ……。
エレオノールとか、そのへんと手を組んでしまえばいいのにー。
円環少女 7夢のように、夜明けのように (角川スニーカー文庫)  [bk1] [Amazon]
円環少女7 bk1 短編集。
一応、6巻の続きをとる形で、過去の回想や閑話休題的な扱いで短編を編成し、書き下ろしのインタールードで繋いでいる。
さて、その短編に出てくるキャラたちは……基本的にギャグで変態ぞろい。そしてツッコミを入れまくる仁。仁はこっちのほうが良いキャラだよ……(^_^.)

8巻からの怒涛の展開を予想させるアウトロがあるが、何より仁を巡る女性人に動きがありそうで。もうここ最近の巻は京香がかわいそうで仕方ないです。ある意味、仁に人生狂わされてるよ、この人……。

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