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ある夜、東都出版に残っていた社員や関係者達。だが、そこで社員の一人が刺される事件が発生。「常務に刺された」と言いこと切れた男だったが、その直後、その常務も何者かに刺殺された状態で発見される。
会社ビル自体が入り口をふさがれ、外に出ることが出来ない状況であることが明らかになり、中に閉じ込められてしまった人々は脱出する手段、そして犯人を捜そうとする。
巻き込まれ探偵・氷川透の巻込まれ初め(笑)の物語。鮎川哲也賞の最終候補に残った作品を、改稿改題したもの。書かれたのも作中の時間軸も、どうシリーズのほかの作品よりこちらのほうが先。
作中で繰り広げられるミステリ論議ははっきり言ってうざったかったのだけれど、理詰めで真相を解き明かしていく過程はなかなか面白い。
全体通してある「わざとらしさ」を気にならなくしたのは、ラストの展開での氷川。
「……どうしても?」
以降ですかね。真犯人を指摘したくなかった氷川の心境が、異様に生っぽくてなかなか……。
真相を歪めようとした探偵役と、それを正してしまう犯人。この二人がラストで実に良い存在感を持っていた。
この作品は一度真相を知ってから読み直すと、また面白いかも。作品中に書かれている伏線が新たな発見をもたらしてくれるかもしれない。 |