真っ黒な夜明け (講談社ノベルス)  [bk1] [Amazon]
真っ黒な夜明け bk1 久しぶりに会ったバンドの仲間7人。飲み会の帰りの、終電を待つホームでみながほろ酔い気分でいる中、改札前で別れたはずの和泉が、駅構内のトイレの中で殺された。メンバー以外の容疑者が考えられない状況の中、氷川は犯人を突きとめようとする。

第15回メフィスト賞受賞作。
推理小説家志望の氷川透を探偵役に据え、物語は展開する。と言っても、視点は事件関係者それぞれに移動していくし、時にそれぞれが推理を自分なりにしていく、というタイプである。もちろんそのなかには犯人もいるわけだが。作者名と探偵役・氷川が同じなのは……わざとだろうな、こりゃ。

氷川と詩緒里とのやり取りが結構微笑ましいなぁ、などと思ってしまいました。冷静沈着な探偵というよりは、頭のきれる好青年(?)という感じで、なかなか親しみやすいキャラかもしれません。
最後から二番めの真実 (講談社ノベルス)  [bk1] [Amazon]
最後から二番めの真実 bk1 大学時代の先輩に呼ばれて、聖習女子大学を訪れた氷川。そこで、突然聞こえた男の叫び声に 第1セミナー室に駆けつけると、そこには喉を切り裂かれた警備員の死体があった。しかも、それだけではなく、建物の外壁には、屋上から女子生徒の死体が吊るされていた。入り口の出入りの記録、そしてすべての扉の開閉の記録が残るこの建物において、犯人だけでなく被害者の出入りまでもが不可能である可能性が示された。妙な「お嬢様」女子大生と推理をしあうハメになった氷川は、答えを導き出すことができるのか。

作家志望の氷川透が巻き込まれる事件を描いたシリーズ第2弾(実際には第3弾?)。
呼び出された先で再び殺人事件に巻き込まれた氷川は、事件の真相を解き明かそうとする。しかし、そこに思わぬ対抗馬が出現。妙な「お嬢様」美帆が、氷川以上に探偵らしい推理を繰り広げる。気後れする氷川は、美帆より先に真相を導き出すことができるのか、というあたりが中心になっているような。

美帆のキャラに氷川が押されまくっているようで(笑)。今回は取り敢えず氷川に軍配が上がったものの、ラストのあたりを読んだ限りでは、美帆のための物語も充分考えられるような。
なかなか面白かったです。トリックも、綱渡り的な感じがしますが、好みかなぁという印象を受けましたし。大概の人が平均的に楽しめるのではないかと。
人魚とミノタウロス (講談社ノベルス)  [bk1] [Amazon]
人魚とミノタウロス bk1 久しぶりに旧友と再会した、推理作家志望の氷川透。その友人の職場を訪問する約束をした氷川は、約束の日時にその病院を訪れるがちょうど火災が発生してしまう。しかも、火元の診察室からは焼け爛れた死体が発見された。身元も定かではないその死体が、どうも旧友のものなのではないかという事態に、氷川は。

氷川透を主人公としたシリーズ、新書では第三弾。
相変わらず本人も一部の周囲の人もその「まきこまれ」っぷりに困惑しているが、それでも氷川は探偵の役回りをする。
しかし、今回被害者と考えられている人物が、自分の人生に大きな影響を与えたといえる自らの旧友であるせいか、調子がおかしい。そんな中でも氷川は真相に辿り着くわけだが、その前後の氷川の懊悩が一番良かった気がする。
「犯人でもいいから生きていて欲しい」というような感情が、自分の導き出した結論をどうにかして崩そうともがく。そのへんがいい。事件そのものの解決とかに、ちょっとした物足りなさを感じつつも、真相に追い詰められていくような氷川が良かったから良いかなぁと。
個人的に、読後感は良かった。
密室ロジック (講談社ノベルス)  [bk1] [Amazon]
密室ロジック bk1 友人の冴子に誘われ、飲み会(合コン)に参加した詩緒里。後日、また同じ面子で飲み会をすることになり、メンバーは株式会社ジョイットの会議室へと集まる。
飲み会の開始を待つ面々。しかし、そんな中会議室で殺人事件が起きる。殺される前も後も室内には被害者ひとりきり。さらに人や監視カメラで出入が限られていた。
密室状態の謎を解くべく、詩緒里はある人物に話を持ちかける。

お馴染みシリーズの四作目(ハードカバーも入れると五冊目か)だが、今回は最後になってようやく氷川が登場する。
今まで巻き込まれて探偵をするハメになっていた氷川は、今回初めて安楽椅子探偵の役回りをすることに。

なんか、氷川が探偵らしかった気がする……(笑)
というか、切れ者っぽい雰囲気が。うまくいえないが、切り替わりが良くわかる、という感じ。
論理だけで綺麗に片付けたとは思った。ただ、どうも読後に納得できていない感じが残るのは何故。一通り読み終わった後に、もう一度確認しながら読んでみるのも良いかもしれない。
密室は眠れないパズル (原書房)  [bk1] [Amazon]
密室は眠れないパズル bk1 ある夜、東都出版に残っていた社員や関係者達。だが、そこで社員の一人が刺される事件が発生。「常務に刺された」と言いこと切れた男だったが、その直後、その常務も何者かに刺殺された状態で発見される。
会社ビル自体が入り口をふさがれ、外に出ることが出来ない状況であることが明らかになり、中に閉じ込められてしまった人々は脱出する手段、そして犯人を捜そうとする。

巻き込まれ探偵・氷川透の巻込まれ初め(笑)の物語。鮎川哲也賞の最終候補に残った作品を、改稿改題したもの。書かれたのも作中の時間軸も、どうシリーズのほかの作品よりこちらのほうが先。

作中で繰り広げられるミステリ論議ははっきり言ってうざったかったのだけれど、理詰めで真相を解き明かしていく過程はなかなか面白い。
全体通してある「わざとらしさ」を気にならなくしたのは、ラストの展開での氷川。
「……どうしても?」
以降ですかね。真犯人を指摘したくなかった氷川の心境が、異様に生っぽくてなかなか……。
真相を歪めようとした探偵役と、それを正してしまう犯人。この二人がラストで実に良い存在感を持っていた。

この作品は一度真相を知ってから読み直すと、また面白いかも。作品中に書かれている伏線が新たな発見をもたらしてくれるかもしれない。

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