| 加 | 納 | 朋 | 子 |
| ななつのこ (創元推理文庫) [bk1] [Amazon] | ||||||||||||||||||
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入江駒子は、表紙に惹かれて「ななつのこ」という本を手にする。その本に惚れ込んだ駒子は、自分の周りで起きた「スイカジュース事件」などの、ちょっと不思議な話を添えて、作者にファンレターを出した。そしてなんと、その手紙への返事が届く。その内容は、駒子を事件の真相へと導いてくれるものだった。こうして二人は文通をはじめ、駒子の日常の謎が次々と解き明かされることになるのだった。 第三回鮎川哲也賞受賞作。主人公と、主人公の好きな本の作者との往復書簡によって日常の謎を解き明かしていく連作短編集。全7編を収録。 この、日常の謎を解き明かすタイプの話が、加納朋子はうまいと思う。少しのんびりした主人公の駒子と、その駒子によって語られる謎。ほのぼののんびりとしながらも、「なぜ?」が入り込んでくる。決して私たちにも馴染みのない感覚ではない。そして、それが一気に解決されたときのすっとした感じ。 緊張感のある話が好きだという人には、退屈である可能性があるが、まぁ、のんびりした気分になりたいときにでもどうぞ、という感じである。「どうして?」と思うことをやめなければ、人生はもっと面白いのかもしれない。 関係ないだろうが、瀬尾さんはナイス。 |
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| 魔法飛行 (創元推理文庫) [bk1] [Amazon] | ||||||||||||||
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瀬尾に勧められ、物語を書き始めた駒子。再び手紙の中で日常の謎解きを始める。 妙な振る舞いをする「茜さん」、友人と行った絵画展でのちょっとした事件、学園祭での超能力実験……そんな謎が解き明かされていく中で駒子に届いたもう一つの手紙は……。 「ななつのこ」に続く連作短編集。全四編を収録。 瀬尾に物語を書けばと勧められた駒子は、瀬尾との手紙のかたちで物語をまとめていくことにする……という設定で、「ななつのこ」のように連作のかたちで話が進む。けれど、前作よりもはっきりと、これらの短編が繋がって一つの物語となるようになっている。短編をひとつひとつの物語として楽しみつつも、間に挿入される誰かからの手紙が、全体の流れを通しての「?」を生み出している。そして、最後に全てが明かされる、と。 今回は「ななつのこ」よりも緊張感のある展開もあったかと。 話自体とは別に、作中に出てくる学校の描写がどうにも作者の母校としか思えなくて(笑) 「ああ、これ絶対湘南校舎のことだろ?」とニヤニヤしながら読んでしまった。 瀬尾さんが良すぎです。いいねぇ、ひつじのぬいぐるみ。ほしー。瀬尾さんの話も読みたい……。とりあえず瀬尾さんです瀬尾さん。 |
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| スペース (創元推理文庫) [bk1] [Amazon] | ||||||||||
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大晦日、母からのお使いのために立ち寄ったデパートで、駒子は瀬尾と再会を果たす。別れ際、思わず「読んで欲しい手紙がある」と言ってしまった駒子。十数通の長い手紙に秘められた真実は……。 「手紙」の謎もさることながら、その謎を瀬尾に投げかけた駒子の真意が何だかきゅんとする(笑)表題作と、表裏一体の関係にある「バックスペース」の中篇二本収録。 駒子と瀬尾さんの関係が何だかいじらしい。 表題作も良いですが、「バックスペース」も良かったなぁ。あだ名で書かれている友人たちが、駒子の視点を通したものとは違っていることも興味深いし、ラスト近辺で明らかになる「ある人」の姿も「おおっ」と思う。何より、「落ち着ける場所」を探す姿が胸に来た。 解説で述べられていた、完結編の長編、読みたいなぁ。 |
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| 掌の中の小鳥 (創元推理文庫) [bk1] [Amazon] | |
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「僕」は雑踏の中で偶然学生時代の先輩・佐々木に声をかけられる。学生のころ「僕」は容子の絵の才能に惚れこみ、佐々木は一人の女性としての容子を望んでいた。しかし、容子が必死に描きあげた絵は無残にも汚され、容子は絵を描くことをやめ、佐々木の元へ。誰が彼女の絵を汚したのか。そして「僕」はパーティの会場で「私」と出会う。「きっかけなんて、大抵はつまらないものなのよ」と言う彼女が語る、高校生の時の祖母との話。そこには祖母の孫を思っての優しい作為があった。 カクテルリストの充実した店「エッグ・スタンド」を背景にささやかな謎に満ちた物語が語られる連作短編集。 パーティ会場で出会った男女が、「エッグ・スタンド」で語る謎めいた物語という形でのミステリ作品集。主に、「私」の話す謎を「僕」こと冬城圭介が解いている。派手な事件が起きるわけではなく、日常の中でのささやかな事件、謎を解いていくという心温まるミステリ。著者のこういう物語は本当に上手いですね。短編を結び付けているのは、パーティ会場での出会いから始まった二人の恋愛であり、それもまた作品を暖かく、心地よいものにしていると思う。恋愛モノとしても良いという感じ。 ミステリとしても良いものだと思う。伏線張りがうまいものだと思った。登場人物や、風景などの何気ない描写が、後での謎の鍵になっている。このあたりは美しく、無駄がない。いいものを読ませていただきました。 |
| いちばん初めにあった海 角川書店 [bk1]→■ |
| 堀井千波は周囲の騒音に嫌気がさし、引越しの準備をはじめた。その最中見つけた、読んだ覚えのない「いちばん初めにあった海」という本。その本にはさまれていた未開封の手紙には謎めいた内容が書かれていた。差出人の<YUKI>とは何者なのか。 表題作の「いちばん初めにあった海」と「化石の樹」の二本収録。ミステリーということだけれど、殺伐とした感じのものではなく、二人の女性の再生がメインとなっている穏やかなもの。 「化石の樹」の彼女は作品中で名前が明かされてませんが、まず間違いなく「いちばん最初にあった海」の彼女ですよね。こういう優しいミステリも良いです。 |
| ガラスの麒麟 講談社文庫 [bk1]→■ |
| 小さな童話賞に応募された「ガラスの麒麟」という童話。特別賞に選ばれることが決まっていたその作品の挿絵を描こうとしていた野間。しかしその仕事は作者の少女・安藤麻衣子の死によって立ち消える。通り魔に彼女が襲われたころから、野間の娘で麻衣子の友人だった直子の様子がおかしくなる。美しく聡明で周りから幸せだと思われていた少女の死は、確実に少女たちの心に何かを投げかけていく。 一人の少女の死から話が始まる、6篇の連作短編。それぞれ一つ一つ独立した話として読めるが、全編通すと一つの大きな謎・安藤麻衣子の死について、そして神野先生の心の闇が浮かび上がってくる。 加納朋子にしては結構重い展開であろうか。どの作品も、そういう意味では何かすっきりとしないものばかりでしょう。しかし、全編通してみると、そこか物悲しい恋愛もの、という感じがしないでもないかな。 どこかぼんやりしていて、そして脆い印象を受ける。そこから考えると本書のタイトルはぴったりかもしれない。作品のイメージだけではなく、登場する女性キャラのイメージにもぴったりである。 悲しいのか、優しいのか、なんか非常に複雑な感触の作品だった。 |
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