近
藤
史
恵
サクリファイス
(新潮社)
[bk1]
[Amazon]
自転車ロードレースの選手として日本のチーム・オッジに所属する白石誓(チカ)。日本を代表する自転車選手である石尾豪をエースとするチーム・オッジでは、チカの同期である新人・伊庭がスプリンターとしての頭角を現しつつあった。そんなときにチカがチームメイトから耳にしたのは、石尾がかつてチーム内の有力な選手をレース中に潰したという話だった。石尾は自分以外のエースを認めない、と、チームメイトは頭角を現しつつある新人に懸念を示す。
まさかと思いつつ迎えたツール・ド・ジャポン。スペインのプロチーム・サントス・カンタンも出場しており、その理由は日本人選手をスカウトするためだという。しかも、それは若い選手だという。
ロードレースにアシストがいるというのは、これで初めて知った。なんか職人な感じ。
そんな主人公・チカの視点、語り口はスポーツの世界に生きる人間ながらも……というかだからこそ? とてもストイックな印象。それゆえに、チカを通して語られるロードレースはとても崇高なものに感じられ、一方、香乃や袴田のそこの浅さが際立つ。この見え方の違いが、ある意味チカにとっての優先順位を窺わせる気がする。これは、俗っぽさを捨てきれない人からしたらたまらんだろうなぁ。
作中で起きるある事件の真相に関しては、「なぜそこまで」と引いた想いがどうしても残るが、上手いタイトルとあいまって、綺麗な構成の作品ではあるなと思った。
天使はモップを持って
(文春文庫)
[bk1]
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大介の前に現れた清掃員・キリコは、とても清掃員とは思えないほど歳も「格好」も若かった。
ビル中を見事ぴかぴかに磨き上げるキリコは、会社内で起きるちょっとした謎やトラブルをも見事に解決してしまう。
会社員・大介と清掃員・キリコのコンビが謎を解く、連作短編集。
きびきびと働きながら、人の気持ちの動きや謎の真相に気付いて事態を解決するキリコのフットワークの軽さに感心していると、最終話の重さにびっくりする。
モップを持った天使・キリコが急に生身の人間になってしまった感じです。それでもそばにいることを選ばせることができたとは、大介め……(笑)
モップの精は深夜に現れる
(実業之日本社)
[bk1]
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部下や自分の娘とのコミュニケーションに悩む中年課長、取引先の仕事や自分の容姿にため息をつく女性ライター、二股をかけられたモデル……。
彼らの遭遇した謎を、清掃員・キリコが鮮やかに解決する。
シリーズ第二弾。
相棒・大介が出ていないからか、前作ほど面白い印象を受けなかった……。
相変わらずラスト一作はちょっと重め。その理由はあとがきに書かれているけども。
天使ではなくなったキリコは、生身の人のように痛々しい。
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