君のための物語 (電撃文庫)  [bk1] [Amazon]
君のための物語 冬の寒い夜、川へ飛び込もうとした女性を助けようとして、自らもまた死にそうなめに遭った「私」を救ったのは、奇妙で不思議で美しい「彼」・レーイだった。川での一件の後も度々会うようになった三人。生活苦から物語を紡ぐことをやめて久しかった作家志望の「私」は、助けた女性の言葉に触発され、再び物語を描き始めるが……。
不思議な「彼」と、「彼」」にまつわる人々の事件に巻き込まれながらも、友人として交流を深めていく「私」だが、やがて「彼」を狙う魔術師が現れる。

第14回電撃小説大賞金賞受賞作。

とても綺麗にまとまった一冊だったと思う。
「私」と「彼」の両方の魂が救われていく物語といえるのではないかと思う。一人の女性の自殺未遂をきっかけに出会った彼らが、かけがえのない友人になっていく様子が、一つ一つの物語を通して結果としてそこに描き出されており、読んでいてぐっとくるものがある。
二人を結びつけることになった女性の存在もまた、この物語の美しさの一つか。物語の紡ぎ手としての「私」を生き返らせたともいえる彼女の存在はかけがえのないものだろう。そして、「私」の書く誰かのための物語は、不思議な魅力を持っているように思える。

続きを書けなくもないけど、綺麗に終わっているのでこれで良いかな、という気がする。次回作以降にも期待です。
……不思議と俗っぽさのない文だな、と思ったのだが、どうだろうか。
静野さんちの蒼緋(ふたご) (電撃文庫)  [bk1] [Amazon]
静野さんとこの蒼緋 「お前に紹介したい人がいる」――そう父に言われ蒼介が引き合わされたのは、今まで存在すら知らなかった双子の妹・緋美子だった。
押しかけ的に同居することになった緋美子はなかなか凶暴で、蒼介は終始やられっぱなし。しかも、家だけでなく同じ学校に通うことになったことで、蒼介はますます息をつく場所もなくなり……。
思う出そうとすると靄がかかったようになる過去、双子で関わることになってしまった学校で起こる妙な事件の真相とは。

『君のための物語』とはまた随分違った作風の……ってところだけど、読んでみると意外とチャラチャラしていない文。もしかしてこれは、イラストを変えると大分印象が変わるんじゃないか?
デビュー作ほどの印象に残らないが、それほど悪くもないかなという印象。まぁ、編集部は少々路線変更を誤った感はなくもない。家族モノとして今後楽しめればよいかと。

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