| 貫 | 井 | 徳 | 郎 |
| 修羅の終わり 講談社 [bk1]→■ |
| 酔いつぶれ、路上で目覚めると記憶を失っていた「僕」、「裏」の公安としてスパイを仕立て上げ、使役する久我、暴力団との癒着や暴力行為も当然のようにする刑事・鷲尾。三人の、それぞれの物語は終盤で一つとなる。 物語のあちらこちらで、「ここで話が繋がるのか」と思わせるようなところが見られるが、しばらくしてそれは違ったと思わせられる。それの繰り返しといった感じか。推理小説にあるような事件は起きないが、それぞれの話の時間関係がはっきりしないことから、読む側がいろいろと推理することとなる。ある意味読者側の能力が必要な話かという感じもする。 しかし、なんというか救いのないラストだなあ、これ。結果としては「上」にとって都合の良いラストになってしまったということだよなあ。でも一気にラストまで読め、なかなか良いサスペンスといった感じであろう。 もうここまでくるといっそ気持ち良いくらいに、警察に良い感情は持てない話だよなあ(笑) |
| 天使の屍 角川文庫 [bk1]→■ |
| 思慮深かった中学二年の息子・優馬はある夜、「コンビニに行く」と家を出たきり帰らぬ人となった。息子がマンションから飛び降り自殺をした動機を見出せなかった父親の青木は、息子と交友のあった同級生たちに話を聞くが、彼らは大人には理解できない「子供の論理」を身にまとい、その本心を明らかにしない。そんな中、一人、また一人と同級生が飛び降り自殺を図る。 息子の自殺の謎を追う長編ミステリ。しかしその話の中心は何かと話題・問題な14歳という年代の少年と、親の世代との心的葛藤……みたいなもの?があるように思える。だから事件の真相はそれ程目を引くものではないだろう。だが、それでも心に何かを残していく作品だと思う。 子供には子供の論理があり、それを大人は理解することができない。やはりこのことが読んだ後にも心に残る。徳に大人がこれを読むと、少年たちの行動の動機について理解しがたい思いになるのだろう。そういう私がこれを読んだ時にはすでに20歳になっていたが、まだ精神的には子供に属する部分が大きいようであった。この少年たちと同じ時代に子供であったからだろうか、全てとまではいかないが、共感できるところも多いのである。 どうしようもない問題を突きつけられたようで、読んだ後もなんだか気の重くなるような一冊かもしれないが。 |
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