翼の帰る処(上) (幻冬舎コミックス 幻狼ファンタジアノベルス)  [bk1] [Amazon]
翼の帰る処 上 bk1 派閥争いを傍観していたつもりがいつの間にやら巻き込まれ、辺境の地へと左遷人事された尚書官ヤエト。しかし、これで憧れの隠居生活を手に入れられる。そう内心喜んで北嶺に赴任してみれば、政治に疎い北嶺の民に悩まされ、更にあろうことか領地を望んだ皇女が太守として来訪するという事態が発生。皇帝から太守の副官に任命されてしまったヤエト。隠居など夢のまた夢、上司にも部下にも振り回され、病弱な体に鞭打つ慌しい日々を送るはめに。
その上、北嶺の城で、ヤエトの持つ「過去視の力」が捉えたのは、北嶺の地の謎にかかわると思しき情景だった。

面白かった!!
つーか、普通にシリアスなファンタジーだと思って外で読んでしまったのだが(いや、シリアスだろうけど…)、ヤエトがあまりにもニヤニヤできる言動のキャラで、読んでいて頬が緩んで怪しい人になってしまったのだが(笑)
とにかく、主人公が良いです。

基本、隠居してぐうたら過ごしたい志向なのに、周りが問題を起こすたびに、根が真面目で有能なせいもあって要らぬ苦労を背負い込んでいく中間管理職ヤエト……。内心いろいろ悪態ついたりしてても表面上変化がないために、いつの間にか「氷の」なんて冠されちゃってるけど、この人の言動は何かとツボだ。
P111で「椅子からころがり落ちてみた」とか、P191「ヤエトは少し引いた」とか。そこで感心するんじゃなくてひくのかよ!! みたいなかんじで、なかなかお茶目です(笑)
半分棺桶に足を突っ込みながら生きているせいもあってか、本気で死にかけても本人の口から出る「死」は半ばネタの様な空気をまとう。彼に多少なりとも心を寄せている周囲の人間からしてみたらたまらんだろうな、と思われる。そのへんはきっと、今後皇女とかが頭ひっぱたいたりして仕込んでいくのでしょうかね。

皇女を狙う者の影もあり、次ではひと波乱あるのか、という感じで下巻に続く。なんとなく、ヤエトと皇女含め、バラバラだった北嶺の面々が仲良くなっていくのが読んでいて楽しい。

しかし、良く吐く主人公だ(笑)
翼の帰る処(下) (幻冬舎コミックス 幻狼ファンタジアノベルス)  [bk1] [Amazon]
翼の帰る処 下 bk1 皇女探索のために長時間恩寵の力を使い生死の境をさまよったヤエトは、皇女に都での療養を命じられる。しかし、皇女の実兄・第三皇子のもとに身を寄せたヤエトはほぼ軟禁状態。皇位継承権を巡る政争に巻き込まれていく。その魔手は、遠く離れた北嶺の皇女にも伸びていた。皇女を救うべく、ヤエトは都を脱出し北嶺へと向かうが……。

なんだ、この老若男女にモテモテの病弱ワケあり尚書官(隠居志望)は。
ちょっとおかしいくらいにモテている……と思うのだが(笑)
下巻で吹いたのは、P48「見目より心です。心構えが、隠居なのです。正統派が駄目なら、本格派隠居で結構です」だろうか。
なんだろう、隠居のことになると舌が滑らかになるなヤエト……。

敵を退け北嶺と皇女を守った面々、なんだか「北嶺太守とその一味」みたいな感じになりそう……楽しそうだなぁ。ヤエトも居場所みたいなものを北嶺に感じ始めている、その変化が読んでいてにやり。
北嶺の謎は一部解き明かされたが、新たに帝国……というか更に大きな存在の謎が浮上。それにヤエトの力も関係していくようで……続編も決定ということで今後の展開が楽しみ。

基本的にはニヤニヤしっ放しでした。いろんな人のアプローチ(?)をのらりくらりとかわし、挙句ラストの皇女のあそこまでの台詞にも素直に反応しないというあたり、どうなのか。というかヒロインはやはり皇女なのだろうか。個人的に14歳という年齢がひっかかってしまうのだが。スタート地点でせめて16歳くらいなら許容できるのだがな。むー。

さて、本格派隠居への道のりは遠く、厳しいものになりそうですが(笑)、今後はどうなるのでしょうか。とりあえずスーリヤには再登場してもらって、VS皇女みたいな感じでヤエトの胃を痛くしないかなとか期待。きっとまた吐くな。
翼の帰る処2 鏡の中の空(上) (幻冬舎コミックス 幻狼ファンタジアノベルス)  [bk1] [Amazon]
翼の帰る処2 鏡の中の空(上) bk1 皇女と北嶺の危機を乗り越え、休む間もなく働くヤエトにもたらされたのは、北嶺が「国」に昇格するということと、ヤエトが貴族に列せられるという「悪い知らせ」だった。望んでもいない出世、遠のく隠居に頭と胃を痛めつつ、新年祭のために皇女と都に向かったヤエトは、その式典の場で更なる衝撃の事実を知らされる。

待望のシリーズ続編。
ますます遠のくヤエトの隠居への長く遠い道のり……いやぁ、これは凄いいじめだ(笑)
しかし、そのいじめの後のヤエトの仕事っぷりを見ていると、なんか本領発揮? って印象。もともと体力以外スペック的に隠居できるようにできてないんだよ、きっと……。
恩寵の力が強まる世界の謎は依然あるものの、ひとまずは帝国の未来に関わるあれやこれや、暗躍や陰謀などなど。味のあるキャラクターやヤエトの絶妙な独白などにより、重すぎず軽すぎずととても良い感触に仕上がっている作品。ホント、ヤエトの独白は絶品。作品の絶大な魅力の一つでしょう……。

しかし、今回主従関係となったヤエトとジェイサルドがいい。何この掛け合い。今回はヤエトはジェイサルドと一緒の隠居を夢想しています……。なんだそれ。あと、ジェイサルドの夢いっぱいの回答は私も気になるなぁ(笑) ジェイサルドを従え、ヤエトがどう帝国の行く末に絡んでいくのかが楽しみです。

ラストで皇女があんなことに。同じ屋敷内にヤエト、皇女、スーリヤと……三人揃って何も起きないわけがないよね!? と妙な期待を抱きつつ(笑)、下巻が楽しみ!

しかし、作中でヤエトが家族について語るところがあったが、気になるなぁ。いつか出てきませんかね、ヤエトの兄姉妹。
翼の帰る処2 鏡の中の空(下) (幻冬舎コミックス 幻狼ファンタジアノベルス)  [bk1] [Amazon]
翼の帰る処2 鏡の中の空(下) bk1 望まぬ出世を果たしてしまい《黒狼公》となったヤエトの元に、第二皇子からの使いがやってくる。砂漠に現れる盗賊捕縛のためだ。
恩寵の力を使い盗賊の居場所を探り出したヤエトは彼らの身元を知り接触を図るが、その中に自らの恩寵と対となる未来視の力を持つ女性を見出す。
一方、皇女も《天地輪》で繰り広げられる皇子同士の後継争いを目の当たりにし、自らの進む途に思いをめぐらす。

ヤエト、皇女、スーリヤの三人がそろい……三角関係イベントは…………起きなかった!! …(・・;)ェ?
まぁ、正直個人的にこの年齢設定・年齢差でのカップリングは微妙なので、マジでそうなってもアレなんですけど、そうなればヤエトが苦労して面白いかなーとか、そういう……。

ファンタジーの面でも、政治の面でも盛り上がりを見せてきた。上巻は政治面が強かったが、下巻では一気にファンタジー面が押し出されてきましたね。どちらも壮大な展開を見せそう。上中下巻構成のフラグも立ったし、まだまだ続く! ですよね?

今まではどちらかというとヤエトが皇女に影響を与えて…といった感じがあったのだが、だいぶヤエトも皇女の影響を受けてきた様子。何より、生きる方向に意識を持ち始めたのは大きな変化なのではないだろうか。この世界と、そこで生きる人々と繋がりを築き始めたヤエトは、不本意かもしれないが予言の通りに救い主の道を歩むことになるんだろうな。
……隠居は無理だねぇ……。
ヤエトは、しるべの星に「隠居できるかどうか」だけは訊いちゃだめだと思う(笑)

皇女も成長が見られ、まぶしい存在になっていきそう。いいなぁ、若くていいなぁ(違

ヤエトはやはり素晴らしい主人公です。今回もかなり面白おかしいことになっていますし。
「呪うべき人物名簿」に冒頭から吹きかけましたが、それ以外にも突っ込みというか独白というかぼやきの数々は最高だった。今までの巻に比べて、かなり地が出てきてしまっていて、不機嫌丸出しだったり子供丸出し大人気なかったりでニヤニヤ。なにこのアラフォー。
酒を飲むルーギンのシーンでの北嶺トップ3の会話とか愉快で仲良すぎてウケました。
そういえば、今回ヤエトは酒の力を借りて恩寵の力の使い方を掴んだが、それでいいのか(笑)

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