古典部シリーズ 小市民シリーズその他

××古典部シリーズ××

氷菓 (角川文庫)  [bk1] [Amazon]
氷菓 bk1 「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければならないことは手短に」がモットーの「省エネ」少年・折木奉太郎は、海外放浪中の姉からの命令で高校の「古典部」に入部する。部員はホータロー一人……のはずが、他にも千反田えるという新入部員が。好奇心の申し子である千反田のせいで、ホータローは日常に潜む謎を解き明かしていくことに。そして、千反田が古典部に入るきっかけであった『氷菓』という文集に秘められた、三十三年前の真実にも挑むが。

著者デビュー作。

前半の密室やら図書やらは正直退屈だったのだが、千反田の抱えていた三十三年前の古典部の謎になってからは面白かった。しかもラストは思っていたよりもシリアスで重いものがあった。
ほんの厚さを考えると、かなり密度の濃い、濃厚な一冊だったのかもしれない。
愚者のエンドロール (角川文庫)  [bk1]  [Amazon]
愚者のエンドロール bk1 文化祭が近付くある日、古典部の面々は2年F組の製作したビデオ映画の試写に立会うことになる。しかし、ミステリ風のその作品は途中で終わっていた。脚本を担当した生徒が倒れ、結末が不明なままなのだという。そこで古典部に結末を推測して欲しい――「探偵役」になって欲しいというのだ。
千反田の強い希望で仕方なく、「2−Fのメンバーの考えた結末が妥当かどうか」を判断するというラインで話を請けることにしたホータローだが。

古典部第二弾。

入須の狙いは早い段階でなんとなく推測できていたが、それにしても折木姉が謎だ。何者だ。
探偵役であるホータローは自分の能力を理解……信用していない人物。それを始めて人から強く支持され自ら動くものの、結局は他者によって振り回されているところは変わらない。今後、どう変化していくのだろうか。
クラスの暴走が招いた問題が事件の背景にある……というのはある意味青春かもなぁ。
クドリャフカの順番 (角川文庫)  [bk1]  [Amazon]
クドリャフカの順番 bk1 いよいよ迎えた文化祭。しかし、古典部では大きな問題が発生していた。手違いで文集『氷菓』を作りすぎてしまったのだ。どうにかしてこの在庫の山を処理しなければと悩む部員達。委託先を開拓したり、各イベントで目立って宣伝したりと試みるが、あまり売り上げは芳しくない。
そんな中、文化祭に浮き立つ学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。碁石、タロットカード、ドリンク……その盗難事件にある規則性を見出したホータローたちは、自分たち古典部もターゲットの候補に入っていることに気付き、古典部の知名度を上げ文集の売り上げを伸ばそうと、謎を壁新聞部に売り込み、解決へと乗り出す。

古典部第三弾。

これは楽しかった!!
正直、千反田の一人称で始まったときにはどうしようかと思ったが、文化祭が始まってからは一気に楽しめた。ホータローのパートでの残り部数のカウントも、なんか良い。
『ABC殺人事件』をもじったかのような盗難事件に、古典部だけでなく神山高生が多く駆け回るが、特に後半は面白かった。
五章以降、50音順の法則が崩れ、昨年のカンヤ祭で販売された同人誌『夕べは骸に』のあとがきで新事実が発覚してからは一気読み。「十文字」の犯行が完了したときは「え?」と思ったが、その続きを読んで「なるほど!」と膝を打つ。気にせずに読んでいたけど、そういえば通し番号ふってあったしな。もともと古典部の目的は文集の完売だったもんなぁ(笑)
古典部読んできてよかったなぁ、と思えた楽しい一冊。

ちなみに個人的な名台詞は「やあおはよう、過剰在庫に悩む諸君!」(P42)か
わらしべプロトコルも楽しい。
遠まわりする雛 (角川書店)  [bk1]  [Amazon]
遠まわりする雛 千反田に頼まれ、地元の祭りの手伝いをすることになったホータロー。当日、中止しておくはずの工事が行われ、祭りの一行はルートの変更を余儀なくされるが……(表題作)
他、自分を過大評価する千反田に意見したホータローは、たまたまかかった校内放送をネタにちょっとした勝負をすることになる『心あたりのある者は』、初詣で納屋に閉じ込められてしまった千反田とホータローが古典部の仲間を助けに呼ぶために知恵を絞る『あきましておめでとう』など、全7本を収録した短編集。

摩耶花のバレンタインチョコを巡る『手作りチョコレート事件』では、里志の内面が掘り下げられており、良かった。なんとなく予想通りだったのだが、それでも良い。
予想外なことになっていたのは表題作。ホータローまでが青春に捕まった!!(笑) 「これは良くない」って、何がどう良くないのかねホータロー、とニヤニヤがとまらない。ラストの「経営は〜」のフレーズは実際に口にしたらプロポーズみたいなものだろうよ。……いやぁ、これはやられた。

全体的にあっさりしている感じだが、後半2本でやられます。今後4人の関係がどうなっていくのかが気になる。なんとなく「ホータローはツンデレそう(笑)

××小市民シリーズ××

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)  [bk1] [Amazon]
春期限定いちごタルト事件 bk1 小鳩君と小山内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。 かつての経験から、己のある欲求を隠し、清く慎ましい小市民となるべく二人で協力し合っている。
しかし、そんな二人の前には頻繁に謎が現れる。謎を解いて目立つなんてしたくないのに、何故かその役回りを強要される事態になってしまう。
消えたポシェット、意味不明の二枚の絵、おいしいココアの謎、テスト中割れたガラス瓶……そんな些細な謎を解くうち、ある大きな謎も現れて……。

小市民を目指す二人の連作短編。
“名探偵”気質である「狐」の小鳩君が謎を解く傍ら、同士である小山内さんの盗まれた自転車がある大きな謎に直結、それによって小山内さんの「狼」が目覚める……という。
“名探偵”や“復讐者”なんてもう充分なのに、自分の中のその欲求から逃れられない二人……ちょっと新しい? 二人がこの先どうなるのか気になる。
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)  [bk1] [Amazon]
夏期限定トロピカルパフェ事件 bk1 小市民を目指し、知識を披露し謎を解きたがる自分の性質を抑え、諦念と儀礼的無関心を心の中で育む小鳩常悟朗だが、互恵関係にある小山内ゆきから、夏休みに<小山内スイーツセレクション・夏>に付き合うことを強要されることに。「わたしの、この夏の運命を左右する……」とまで言われて。
小山内さんに振り回される中で遭遇する謎、そしてついに大きな事件が!?

小市民シリーズ第二弾は、先行した短編を組み込んでの長編となった。
お互いの中の「狐」と「狼」を押さえるどころか、それを利用する事態に気付いた二人の関係は、ラストで変化する。今後の二人がどうなってしまうのか……。
それにしても、小山内さんがおそろしい。全体に伏線を張り巡らせるこの技量、本当に高校生なのか。そういう意味では、小山内さんを小鳩君がコテンパンに……というか、相討ちになるのが上手いおさめ方だろうか?
秋期限定栗きんとん事件(上) (創元推理文庫)  [bk1] [Amazon]
秋期限定栗きんとん事件(上) bk1 夏休みに互恵関係に終止符を打った小鳩君と小佐内さん。休み明けのある日の放課後、手紙で教室に呼び出された小鳩君を待っていたのはクラスの女の子。そして彼女ができた小鳩君。しかし、ことあるごとに謎解きを繰り広げてしまい……。
一方、小佐内さんにも、新聞部の一年生・瓜野が急接近。彼は市内で起きている連続放火事件を追い始め……。

小鳩君が小市民ライフを満喫……だが、その付き合い方はアリなのか? と突っ込まずには入られない思考回路。彼女は要するに小市民ライフを送るためのアイテムなのか、と思わざるを得ない。

一方、小佐内さんだが、黒い。
単品で恐ろしいのはやはりこっちか。瓜野君はなんだか可哀そうな目に遭いそうである。今のうちに合掌。

放火犯は……この登場人物なら、あの人しかいないのだが。
秋期限定栗きんとん事件(下) (創元推理文庫)  [bk1] [Amazon]
秋期限定栗きんとん事件(下) bk1 少しずつエスカレートしていく連続放火事件。部長になり放火犯追跡に力を注ぎだす瓜野。そしてついに小鳩君も動き出す。
放火犯をあぶりだすため、ある策を弄する小鳩君。果たして犯人は誰か。小佐内さんは絡んでいるのか。

暴走気味の瓜野に(きっと可哀そうなことになる、と)ハラハラしつつも、小鳩君が本腰を入れてきて事件は収束へ。やっぱり小鳩君が動くと面白いなー。
犯人は予想通り。まぁ、あの人しかいないよな。トリック的なところは予想できるもの。犯人の手口よりは小鳩君たちの手口のほうが面白かった。

さて、互恵関係復活。単品だと小佐内さんの危険度が高くなるので、「危険物はまとめて管理」がベスト、という結論だろうか。二人の関係も、ある意味以前よりは近しいというか健全というか……けどまだ、予断は許さない、よな……。
一番酷いの「他愛ない」発言かなーと思いました。

××その他××

インシテミル (文藝春秋)  [bk1] [Amazon]
インシテミル bk1 自給1120百円の求人に募集し採用された12人。
ある実験のモニターとして地下施設で七日間過ごすことを承諾して12人が案内されたのは、「暗鬼館」と名付けられた施設。12体のネイティブアメリカンの人形、鍵のかからない個室、歪曲して見通しの悪い廊下、そして、枕元に置かれた箱の中に与えられた凶器……嫌な予感通り、モニターたちに明かされる実験の特別ルール。殺人OK、犯人、そして犯人を指摘した探偵役への特別ボーナス、秘密の抜け道……。
誰もが七日間大人しく過ごせばいいと考える中、まさかの事態が起こる。モニターの一人が銃殺され死体で発見されたのだ。
一気に高まる不安、モニターたちは無事に七日間を過ごすことができるのか。

変則的な館モノ。
最初ノリきれるか不安もあったが、気付けば一気読みだった。面白い! 
結城のキャラの食えなさが出はじめてからが堪らん。次は誰がどうなるのかとドキドキしながらも、結城が、そしていかにも怪しい須和名がどう動くか気になって仕方ない。伏線も程よく回収し、個人的に見事な一作でした。

モニターたちのその後も、成程なぁと言う感じ。良い具合に救いがないよね。
儚い羊たちの祝宴 (新潮社)  [bk1] [Amazon]
儚い羊たちの祝宴 bk1 『身内に不幸がありまして』『北の館の罪人』『山荘秘話』『玉野五十鈴の誉れ』『儚い羊たちの晩餐』の五本収録。
旧家・名家の令嬢と使用人、そして「バベルの会」を共通項として描かれる、連作短編集。

図書館で借りたので詳細はわからないが、なんか帯のアオリ文が余計だったらしい。(最後の一行がなんたら、とか)
ラスト一行というか、後半からじわじわと読者にある予感を与え、そして「その通りの着地点」に落としている感じ。その落とし方が綺麗で悪趣味なんだけど。
そういう意味では『山荘秘話』は予想外だったか。

個人的には『玉野五十鈴の誉れ』が好み。『儚い〜』は少々やりすぎ感もアリ。

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