うたのはなびら
99〜02年投稿作品


心地よい汗 (五月の汗より)
久寿 卯屮(くす うさ)
緑の風があなたの頬にふれた
ほっとして緊張が少し和らぎ
額に滲む汗を白い指先でそうっと拭いた
オレンジ色のボ-ルを返し 又 打ち返す
夢中で走ってボ‐ルに迫る
あなたの汗がコ‐トに落ちた
恥ずかしい汗 (五月の汗より)
久し振りにあなたとペア‐を組む
心もボ‐ルもふわ〜と浮いた
足も止まって慌てた私
構わずあなたは素早く走って
左に右に揺さぶり掛けて深く打つ
相手の甘いボ-ルを我慢して待った
四度目のリタ−ンを止めた私
少し恥ずかしい汗を掻いた
旅立ちの夢
平田 稔
昨日から準備した
冒険バッグに
徹夜で考えた
地図を入れて
間違いをなおす
消しゴムと
新しく書き足す
鉛筆を
両手に持って
歩き出す
僕が書くのは
世界地図じゃなくて
今日から歩く道
いつか
君にあったとき
面白くも無い
僕の冒険を話すんだ
面白くも無い冒険を
楽しそうに話す僕を
君も楽しそうに
見ていてくれる
それからは
君の持ってる筆で
思い出を描こう
わすれられないぐらい
綺麗な絵を
どこかに行くことも
忘れて二人で描こう
〜sketch〜
solar st.
忘れられない時を
心に描いたよ
君はまっすぐ前を見て
気持ち良さそうに
車を走らせていた
少し晴れ間の覗く空だけど
夏がそろそろ来る感じ
助手席側に広がる海は
どこまでも青く透き通り
この瞬間がひとつひとつ
過去になっていく・・・
思うことは心に描くスケッチ
忘れたくない時に
色をつけてみたよ
君は流れる音楽を聴いて
楽しそうにリズムを感じていた
あたしの頬に優しく風が吹き
少しだけ眠りに誘われたよ
スケッチしたあの時
スケッチしたこの心
いつまでも心に残る
大切にしておくよ
君を描いた 心の中に・・・
笑顔になるまで
ミッシェル
素敵な言葉を並べてみよう
私の中で愛が満ちるまで
寂しくなんかはない
辛くなんかはない
一人じゃないんだから
星のかけらを集めたくて
私は旅に出る
宇宙にまでこの手は届かないのに
精一杯手を広げて夢を追いかけて
愛がほしいのにこの世界が遠く感じる
私は一人じゃない
そう自分に言い聞かせて
どんなに時間がたっても寂しさは募るけど
美しい言葉を並べよう
素敵な言葉でうめつくそう
この部屋に愛が満ちるまで
寂しくなんかはない
綺麗になんかならなくったっていい
自分らしく生きればいい
もう一度笑顔を取り戻せるその時まで
まんげつ
松本 ゆい
ポッカリと
闇にういた穴が
さみしそうに
ついてくる
だきしめたくなるけど
私はその下を
とおりぬけようと
大急ぎで
目をとじます
目をあけてみても
やっぱり穴は
そこにあって
悲しそうに笑ってます
今日はチーズみたいな日だね
雲
松本ゆい
この雲が私をみて
ゆっくりと 通りすぎてゆく
アメリカの子どもをみて
イラクの子どもをみて
1つ雲の下で
私たちは
泣いたり 苦しんだり
感動したり 笑ったりする
私たちは まるで同じ
人なのに
まるで違う 時間を
すごすだろう
顔も知らない
話したことも
ないけれど
仲間が 傷つくのは
私たちが 傷つくことだ
1つ雲の下だから
こうしていよう
apots
ここにいてもいいって
いつ誰に言われたのでもないのにね
ここにこうして私は いるよ
雨が降っているのを見たり
空が青いのを見たり
キンモクセイの花を見たり
皆と喋ったりしてるよ
ここにいてもいいって
いつ誰に言われたのでもないのにね
ここにこうして私はいるよ
おいしいってびっくりしたり
嬉しいって笑ったり
飛んだり
跳ねたりしているよ
不思議だね
こうしていても良いなんてね
おもしろいね
楽だから
このまま
こうして
コロコロ
していよう
花かんざし
BUN
花かんざしがぽんぽんと
春にむかっていっせいに
まるいお花がゆれてます
あしたはどの子がさくのでしょう
ぽん ぽん ぽん
今日もひとつまたひとつ
あなたの窓のベランダに
白いまあるい小山がひとつ
ぽん ぽん ぽんとまたひとつ
ドライブ
新垣静香
2年ぶりにあなたの声を聞いた
あんまり久し振りだったから ドキドキしちゃったよ
初めてあなたの隣に座った どこを見ていいかわからなくて
私は下ばかり見てた 気を悪くしたよね?
友達なのに なんであんなにドキドキしたのかな
きっと久し振りだからだよね?
それだけだよね?
だけど 会えて本当はとってもうれしかったんだ
うぬぼれてるって思われたくないから
恋の話になっても はぐらかしてた
だって ハンドルを握る貴方の横顔が
あんまりステキだったから
気になっちゃったこと 気づかれたくなかったんだもん
いつの間に こんなにステキな人になったの?
夜のドライブだったから 顔が赤くなった事 気づかなかったでしょ?
また いつか
そう 何年後かに 誘ってね…
無 題
BUN
私はちょっと笑ってみます
それはこころのなかを隠すため
私はちょっと泣いてみます
それはこころのなかを見せるため
ほんのすこしだけ
ほんのすこしだけ
だれにもわからないように
たまご物語 五里 瞳
なみおと ピタピタ ふしぎな しまに
たまごが ひとつ たった ひとつ
ぽつんと ひとつ ありました
だれも しらない 朝もやに
さよしさ 風も ふきました
おひさま ピリピリ ふしぎな しまで
たまごが ひとつ たった ひとつ
めりべと すこし われました
だれも しらない 昼さがり
じいぜえ せみも なきました
ゆうやけ ヒロヒロ ふしぎな とりが
ぴよぴい いちわ たった いちわ
じんわり やっと 生まれます
だれも しらない 入り日前
つらりら 木の葉 おちました
みかづき ピケピケ ふしぎな とりは
ぱたはた つばさ たった 三ど
すうっと 空へ 消えました
だれも しらない よもすがら
きんきら 星に なりました
生きてるだけですごいじゃん。 BUN
なんにもなくてもしなくても
こうしていろんなものを見て
こうしていろんな音をきき
おかしかったり かなしかったり
いろんなことがあるけれど
ふえていくだけへらないよ
あしたはどんなことがある
わからないからゆめをみる
へっていくものはないんだよ
どんどんふえていくだけで
マイナスなんてないんだよ
きっと明日もまたひとつしらないことがまっている
いきてるだけですごいじゃん。

みち
山田 誠
前が見えなくて、
手探りで道を探したよ。
何度も壁にぶつかって、
何度もつまずいた。
とても大変だったけど、
何度もくじけそうになったけど、
自分の手で見つけたんだ。
そこに僕の居場所があるかは、
わからないけど、
自分で見つけたこの道は、
今まで感じた事のない、
今まで味わった事のない、
何かを、
僕に教えてくれたんだ。
サーカス小屋のはなし
グエル
みんなの落し物を
ピエロがひろいあつめて
あのサーカス小屋をつくりました
忘れ物をひろいあつめて
あのサーカス小屋をつくりました
なみだは柱
思いではテントです
毎日ひろい集めて
あのサーカス小屋をつくりました
落し物に気づいたとき
みんなが困らないように
落し物を忘れたとき
ここで思い出せるように
よろこびの一輪車
愛のブランコ !
大事なものだけひろい集めて
ピエロは
あのサーカス小屋をつくりました
秋の色
グエル
ゆうやけぐもが やって来て
あたりを まっかに染めたよ
さっきまで 泣いていた
君の顔を まっかに染めたよ
あかとんぼ あかとんぼ
やわらかい オレンジいろ
まっかっか まっかっか
君のほっぺも まっかっか
あっちサーカス小屋の音
こっちご飯のいいにおい
まっかっか まっかっか
ピエロの衣装も まっかっか!
なみだの時間は もう終わり
ゆうやけぐもが
みんなを まっかに染めたよ
確認 星粒
つめをかみ砕く
生唾を飲む
あぶらあせをかく
わたしをしぼりだしている
ひとつの確認が
成り立たせているもの
髪をかきむしる
涙を流し
言い張ったり
押し黙ったり
じぶんの感情をあらわにして
そのひとの瞳に
見難く映ったじぶんを
確認する
ひとつの地点に
わたしは愚かにも座り込んで
ここにいていいものか
怯えた捨て犬のように
うろうろと匂いを嗅いでいる
ほかの犬に
吼え立てられて
わたしは
ときには疎外感を味わう
そしてわたしは
居場所の無い身を
確認する
たんぽぽ 新垣 静香
たんぽぽのはなは
おなじようにみえるけど
ひとつひとつ よくみると
みんなちがうんだよ
はなのおおきさも くきのながさも くきのふとさも
はっぱのおおきさも はっぱのひろがりかたも
みんなちがうんだよ
やがて しろいたんぽぽになって
ちいさなこどもたちは たびだってゆくんだ
とおくのほうへ とおくのほうへ もっととおくのほうへ
そして たどりついたところに ねをはって
またあたたかいはるまでじーっとじゅんびしてる
こんにちは
またはるがやってきた
たんぽぽたちはまた いっしょうけんめいにさいているんだ
だけど みんなちがうんだよ
梅干顔 松本有以
きれい さっぱり
さっぱり きれいに
忘れる事はできぬけど
笑えることはできようか
涙の後を手でこすり
二人へ祝福のべようか
にっこり笑って
心から
いつか会っても
今とかわらぬ
笑顔でいれよう
梅干みたいな
丸しわ顔で
いっぱい いっぱい
笑ってる
「雲」 新垣 静香
雲の上は 誰もいないから
こんなところにずっといたら 人は寂しくなるよ
だけどこんなところにずっといられたら
幸せすぎて この雲の上を思いっきり走れるかもしれないね
両手をいっぱい広げても
両手じゃ足りないくらいの空間は
汚れたこころを
この雲のように
まっしろにしてくれるんだ
「そらとくもとわたしと」 新垣 静香
地上から見上げた空は 雲に覆われて青空なんて見えないけれど
雲の上は どこまでも広がる 白いじゅうたんと
どこまでも広がる青い絵の具
神様は雲の上にいると思ってたから
だから地上からは見えないんだとずっと思ってたけれど
雲の上を探しても 見つからなかったよ
見ようとしたから見えなかったのかもしれないね
それとも こんなに明るい空だから
どこまでも続く白い綿の中だから
きっとどこかで昼寝でもしているのかもしれないね
だってこんなにまぶしいんだもん 恥ずかしくなっちゃったのかもね
赤い実 大波みなみ
お母様はわたくしに
赤い実ひとつ くれました
灯り恋しい帰り道
カレーの匂いの手に引かれ
「お母様はあなただけ
離れて暮らすは少しだけ
あふれる幸せ抱えたら
必ず迎えに参ります」
ごめん。泣くのは今夜だけ
泣かない約束破ります
裂けて萎んだ赤い実を
お父様が棄てたので
見上げる空も ひとつなら
取り巻く海も ひとつです
木の実 赤い実 小さな実
お母様の紅の色
匿名
お日さまは
いつも笑って見えるけど
時にはうんと悲しかろ
時にはうんと苦しかろ
そんなところは
私とおなじ
雨上がり P.N
壊れた太陽
もうすぐ晴れると
誰かが言った。
そして鳥は
羽を広げた。
あの嵐の夜
震える手足を
巣の中に潜めて
眠れないだけの
恐怖に抱かれ
つぶらな瞳に
闇を刻んだ。
もうすぐ晴れると
誰かが言った。
そして僕は
傘を閉じた。
時間 松本 有以
時間がすぎると
私がすぎる
私がすぎると
時間は止まる
灰色の時間
そこには
私と自分
私は回る
自分は見てる
私も見てる
ガラス瓶を
すかして
見てる
まあるくなって
黒かった
私が止まると
時間は動いた
時間が止まると
私も止まった
割れた時間に
私はいた
恋花 松本 有以
お花が咲いたの
内緒にしとこう
散らないように
育てとこう
お花がしぼむの
内緒にしとこう
しぼんだ花は
散った花より
美しい
見たいお花が
見つけれない
お花が枯れるの
内緒にしとこう
セミ 松本 有以
もう9月なのに
寝坊したセミが
鳴きだしました
1つだけの泣き声は
遠く離れた
学校の教室まで
聞こえました
次の日は
もう
聞こえませんでした
きのうは
あんなに
聞こえたのに