一口に「ラリー」と言っても、数種類あります。その中で、ミスコースしてもいちばん成績への影響が少ないのが、「ドライブラリー」でしょう。なにしろ、前に戻ればいいのですから。
人間はミスをする動物です。そして、ミスを糧にして上達できるのもまた、人間です。でもDRのミスコースってやつは、かなり慣れた人でもよく起こります。ミスを糧に・・・ということができないものの1つでしょう。
しかし、ミスコースが即、だめなことでもないのがまた、DRの魅力とも言えます。それによって、違った景色、思いもかけずいい風景を発見することだってあるのです。そういった点でいえば、ミスを糧にできるでしょう。
私は前、「マイルドセブンDR’96」の「山梨コース」で、ミスコースしたまま延々走ってしまったことがありました。しかし、その道がまたよかったのです。狭い道ですが、景色が素晴らしく、山並みがずっと遠くまで見渡しながら空の上をずっとドライブしているみたいでとても楽しい道でした。結局、ミスコースと気付かずに山の麓まで降りてきてしまったのですが・・・。
でもこれはいい「拾い物」をしたと今でも思います。言ってみれば、他のエントラントが味わうことのできなかったいい体験をしたのですから。
普通、ミスコースをすると、「やっちゃった・・・」と少し落ち込みがちになります。でも、考えようによっては、掘り出し物を見付けに行くようなものです。
ミスして、かえってよかった、と思える所。それもDRの魅力の1つかもしれません。
そう思えば焦って引き返して・・・、ということもなく、どこかに「余裕」も生まれてくるでしょう。その道を堪能してから、コースに復帰すればすむことなんですから。
ただ、中にはミスコースしたらまずい箇所もあるんですけどね。街中など、引き返す為に渋滞等にはまったり、迂回をさせられたり、と時間だけを食うこともあります。
でもミスコースして迷う、ということは避けたいものです。カーナビや道路地図を使って、自分がどの辺りにいるのか?を把握することが先決です。コース上でもこの事を忘れなければ、大きなミスコースはなくなるでしょう。その上で、「この道も面白そう」とか思えば、敢えて行ってみて下さい。
但し、いつもミスコースするといい所がある、とも限らないんですけどね。
DRは普通、雑誌等に出ているコースを走ります。しかし、エントラントさんの中には、個人的に自分でオリジナルのDRを作ってしまう人もいます。
あるエントラントさんは、かれこれ10年近く前から、年に1〜2コース、オリジナルのDRコースを作ってみえます。私も何回か参加させてもらっていますが、いつものDRとは一味もふた味も違います。奥の深さがわかる、というか、いつも何かしかの発見をさせてくれますので、大変喜んで参加しています。
今まで何人かのオリジナルDRを走らせてもらいましたが、個人の性格とか好みとか、それぞれに違いがあります。共通しているものは、どれも「いかにエントラントを楽しませてくれるか」を最大限に考えてくれている、ということがよくわかる、ということです。
お忙しい中、これだけのものを作ってくださる、ということに、ほんと頭が下がります。
そういう私も、恥ずかしながら過去に3コースほど作ったことがあります。
1つめのコースは、ほんとに見よう見真似で作りました。街中や大きな道がほとんどで、大したクイズも作ることなく、今から考えたらよく公開したものだ、とあきれてしまいます。そんなコースでも、走ってくれて「面白かったよ」と言ってくれる人がいたのには感動しました。
2つめは、ダート道をいれたコースを作りました。山道にふってみたのですが、途中、工事箇所が出てきたりして、走ってくれた皆様にはご迷惑をかける結果となりました。後のフォローも必要なんだな、と勉強させられました。このコースは、割合自分でも気に入っているので、機会があればリニューアルして公開してみたいという構想は持っています。
3つめは、より真剣に作ってみました。何回も何回も試走し、この世界の先輩の方にもついてもらっていろいろな助言をうけながら完成しました。参加料を戴き、ちゃんと賞品まで用意して、皆さんに走ってもらいました。自分で言うのも何ですが、なかなか好評だったのでは、と思っています。
オリジナルDRは、作るのは確かに大変ですが、それ以上に非常に楽しいものです。「ここのコースでは皆、なんて思うかなあ」とか「このクイズでひっかかった人の反応が楽しみだ」などどワクワクしてしまうのです。オリジナルのDRが面白いわけがわかります。だって、そんな作者の思いが、エントラントにも十分に伝わってきますから・・・。
主催してみて思うのですが、私などの作ったコースを皆さん、貴重な時間をさいて走ってくれるわけですから、本当に有難いですね。そんな人たちの期待に背くことのないよう、作る方もつい頑張ってしまいます。
やはり、自分がもしエントラントの立場だったら、こういうのが楽しめるかな、ということを念頭において作ると、いいものができそうです。あまり細かいことは考えず、のびのびと作ればきっとそれが自分も楽しめるDRになっていることでしょう。
いよいよ12月に入りました。今年ももうあと1ヶ月です。そして、あちこちから初雪の便りが聞こえてきます。
ドライバーにとって、雪はあまり歓迎したくないものです。私がスキーに行く時なんかでも、ゲレンデはいっぱい雪が積もっていてほしいのに、途中の道路はちゃんと除雪している所がいいなあ、と勝手なことを考えてしまいます。
ですから、ドライブラリーの日に雪なんかが降られた日にゃ、もう即刻中止ものです。これは他のほとんどのエントラントさんも同様のようで、この時期のDRには必ず「雪はいいかなあ」という心配をします。
コース作成側もその辺のことは考えていてくれて、12〜3月頃まではなるべく雪の降る可能性の少ない場所でコース設定してくれています。が、冬はどこでも冬。予期しないところで雪は待ち構えています。山間部を走ることが多いので、日陰には圧雪があったり、凍結していたりで、気がぬけません。特に凍結は、路面を見ただけではわかりにくいことが多いです。路面が乾いているからいいや、とカーブをかなりの勢いで曲がった所、いきなり圧雪や凍結部分が現れてスリップ寸前・・・という経験は少なからずあります。
も1つ危ない状況としては、晴れた日、路面に積もった雪がだいぶ解けて、濡れた路面の中にところどころ雪が残っている状態の時。太陽の反射が、濡れた路面に当たると、雪が残っていても見えません。単なるウェット路面だから、と安易にブレーキをかけようものなら、雪に乗っていてスリップ・・・という経験もあります。
車から降りても安心できません。クイズの場所に行くまでに足が滑って尻もち、ということもあります。
かように雪は、DRエントラントに対して悪さばかりします。ノーマルタイヤの場合ですと、少し雪が降りかけてきたら、その場所等も考えてまず中止にします。スタッドレスやチェーン持参の場合でも、かなり本格的に雪が降りだしてきたら、峠越えなどを控えているときはやはりその場で中止し、なるべく広い道を通って引き返すことにしています。
せっかくここまできたのだから・・・と行きたくなる気持ちはわかりますが、安全には変えられません。引き返す勇気をもつことも肝心です。第一、スリップしやすい日に距離計測をして、合うわけないんですから。
「PDQM」は、現在は尾針得介さんの監修のもと、PD編集部がコース作成を行ってみえます。
しかし、1年ちょっと前までは、尾針さんと、一般の人1名から数名の方々でコース作成をしてみえたのは、ご存知の方も多いでしょう。
私も、もう2年以上前ですが、一度だけ、コース作成のお手伝いをさせて戴いたことがあります。今回は「DRエッセイ・番外編)として、その時の様子をレポートしたいと思います。少し時間がたっていますので、記憶が抜けている所が多々、あるとは思いますが、ご容赦の程を・・・。
(1)
’97の4月頃のことでした。ひょんな所から、私に「今度、尾針さんが京都府の舞鶴付近でPDQMコースを作るそうだから、よかったらお手伝いに同行してくれる?」という話がありました。
寝耳に水の話で、まさか私がPDQMの作成に同行できるなんて・・・なんか夢を見ている気分でした。しかも、助手席に、あの有名な尾針さんを乗せて・・・だなんて・・・。
そして、作成の前日、私ともう1人、お手伝いをするOさんとで、まずは出発です。Oさんは、私とDRが縁で知り合った親しい友人で、前にも何回か作成に同行されています。私には心強い存在です。ですから、Oさんも一緒に行ってくれるようにお願いしたのです。そしてクルマは、私の「ROVER216GTI」。このクルマが今回の試走車になるわけです。
まずは今日の宿のある福知山までむかいます。道中、Oさんと「どの辺をコースに使うのだろう」とか、「いつも、こんな感じで作っているんだよ」とかいう話を色々と聞いたり話したりしながらでした。Oさんは、さすが経験があるだけあって、巻尺やはかり、方位磁石など、色々な「七つ道具」を持参してみえます。私は、といえば、出発前にOさんに「用意しておいて」と言われた付近の道路地図のみ。「やっぱ、すごいなあ」とここでも感心しきり、です。尾針さんからもOさんの携帯に「今、どの辺?」とかいったTELが入ったりして、色々と気にかけて下さっていることがよくわかります。
夜、宿に到着。尾針さんはまだ列車で移動中とのことで、まずは「着きました」の連絡をすませます。そして、Oさんと、また色々と語り合ったりして、前の夜は過ぎていきました。
(2)
そして翌朝、AM6:00。宿のロビーに出て、前夜遅くにチェックインされた尾針さんが出てくるのを待ちます。程なくして、尾針さんが降りてみえました。PDccクイジーラリーなどで、実際にお見かけはしていたのですが、こんな近くで言葉をかわすのは初めてです。やや緊張しながらも、まずは「今日はお願いします」とOさんとともに挨拶をすませます。
車内で朝食をとりながらのコース説明。尾針さん持参の地図を広げて、「どの道を通っていくか」ということを話し合います。「こことここは押さえておきたい」と言う所をピックアップして、後はここまでどう道をつなげるか? 「ここの道が面白いかな?」「いやここをこう行って・・・」みたいに進んでいきます。
いよいよ、仮スタート地点で選んだ舞鶴道の舞鶴西ICへ。なかなかCPに最適な所が見つからずに、結局少し離れた学校脇にSTのCPを置くことに。しかし、ちょうどそこに工事予告の看板があり、なんと通る予定をしていた峠が工事通行止め、とのこと。しかし、そんな事は尾針さんも慣れているらしく、地図を見てすぐに別ルートを検索して、CP写真を撮り、いよいよスタート。
ハンドル持つ手も緊張します。特に走行に関しての指示は出ないのですが、やはり安全運転になります。途中、尾針さんが何か面白いものや、コマ図、CPになりそうな所を見付けると「はい、停まって」と声がかかります。また逆に、私達が何か見つけたら、「これなんか、どうですか?」と聞いたりもします。
コマ図地点にさしかかったら、路肩に寄せて停止。尾針さんが、持参のノートにコマ図を走り書きします。そして、「はい、行っていいよ」の声で再出発。私が見た限りでは本当に「走り書き」ですが、これで「PD」に載るとちゃんとしたコマ図になっているのですごいです。
ODを決め、距離を控え、写真を撮り、クイズを探して問題文と答えを見て、写真を撮り・・・そんな感じで進んでいきます。この時も、Oさんと「こんなクイズはどうかなあ」「あれ、クイズになりそう」とかワイワイ話すのは楽しいもの。このクイズに出会った時のエントラントの顔なんかが想像できます。CPとクイズは、「PD」に載せる段階でキャンセルするものもあるので、若干多めに作っておきます。
1cpを決めて、しばらく走った後、ちょっと面白そうな道がありました。地元の人に通り抜けができるかどうかを確認ののち、入っていきます。景色もよかったのですが、途中からダートになり、だんだんと道が険しくなっていきます。CPになりそうな場所もあり、おもしろいクイズも見付けたのですが、結局尾針さんの判断で「キャンセルしよう」ということになりました。
その後も、景色のよさそうな所などで、尾針さんはクルマを降りてゆっくり進む私のクルマを撮ったりしてくれます。「こうやって、あのPDQMページの表紙写真も撮られているのか・・・」と思うと、自然に顔がしまってきたりもします。
お昼くらいになって、「食事所を探そう」ということになりました。国道に出て、「あれは?」と思って入った店は、瀟洒な作りの手作りケーキがメインの喫茶店でした。ここもよかったのですが、やはり食事ができる所、ということでもう少し先の食事ができる店に入ります。入ってみて、「これはいけそう」と決めたら、尾針さんが店の人に名刺を渡して「実はこうこうで、ここのお店を・・・」と事情を説明し、雑誌に紹介する旨の了解を取ります。そして店内や注文した料理の写真撮影。ほんと、取材みたいです。(って取材そのものなんですが・・・)そして、もう1つ「PD誌を見せて、何かサービスみたいなものをして貰えますか」とお願いするのも忘れません。読者サービスは、こういった陰の努力のお陰だ、ということがよくわかります。
こうして、ここのお店と、前に寄った喫茶店、どちらも雑誌掲載とサービスの提供に快く諒解して戴けて、まずはひと安心。コース周辺の地元の人の協力もなくしてはPDQMも成り立ちません。エントラントさんも、その辺りの事を頭の中に入れて走ってもらいたいですね。実はこのコースで行った別のある場所では、写真撮影や取材の許可がおりなかった所もあります。でも、それも仕方のないこと。エントラントも含めて、我々はあくまで「お邪魔させてもらう」立場なのですから、地元の人や他の一般の人々に迷惑をかけてはいけないのだ、ということを教えられます。
そして、いよいよ後半。前半は、割りとコースを途中まで行ってキャンセルしたりと、時間がかかったのですが、後半は順調に進みます。尾針さんが大きな石灯篭を途中で見つけ、Oさんの持ってきた巻尺で測って、それをクイズにしたり、とかで「七つ道具」もクイズの面白味を増すのに一役立ちます。
断崖の、海がすぐ下に見える道で、尾針さんもクルマを降りて写真を撮ったり、CPになりそうな所で停めて、クイズを作ったり、と進んで、「舞鶴引揚公園」に到着しました。トリップは100kmちょい、ということで、ここをゴール地点に決定、としました。
展望台に登ると海が一望できていい眺め。クイズを何か・・・と思っていたら、昔の舞鶴港を描いた絵があり、そこに船がたくさん描かれています。よし、この船の数をクイズにしよう、ということになりました。数えて見ると、これが何百とあります。私とOさんとで手分けして、カウンターを片手に何回も数えては確認します。解答するエントラントも難儀ですが、しっかりした解答を確認しないといけない作成者も難儀なのです。何とか正確な数を確認し、「これはいい(?)クイズができた・・・」と皆で喜びながら、「引揚記念館」に入ります。ここは館内の写真撮影もOKで、尾針さんは載せられそうな写真を撮り、私達はじっくりと見学していきました。
外に出て、いよいよ作成者紹介の写真撮影です。私の顔が誌面に載るのか・・・と思うと。つい顔がひきつってしまいがちになります。それも何とか無事終了し、これでコース作成は終了しました。
舞鶴市街に戻ります。でも、ただ戻るのではなく、あちこちと面白そうな所に立ち寄ったりします。そして、夕食をすませ、福知山駅から列車で帰られる尾針さんを送っていきました。外はもう暗くなっています。尾針さんは、帰りの車中で今日作成したコマ図やクイズを整理される、とのこと。
駅に着き、いよいよ尾針さんとお別れとなりました。今日1日のお礼を交わして、尾針さんは駅の中へと消えていきます。それを見送った私達も、帰路につきました。帰りの車中もOさんと盛り上がります。「あのクイズは、載せてて欲しいなあ」とか「ここの道は皆喜んで走ってくれるだろうね」とか、家に着くまでそんな話が尽きないです。
後は、PDの発売を待つばかりです。
(3)
そして、6月1日、待ちに待った「PD ’97 7月号」が発売されました。
第146回PDQM「若狭湾・大海原と断崖の道」100km です。
見ると、私のクルマがばっちり写っています。クイズやCP、沿線の写真も「ああ、ここはこうだったなあ」とか「このクイズはOさんが考えて・・・」とか、思い出されてきます。尾針さんが走り書きされたコマ図も見やすくきれいに載っていますし、コース作成記もうまく纏められて、さすがです。勿論私は、記念にと2冊買いました。
(4)
前にも書いたとおり、現在はPDQMは、尾針さんと編集部とで現地に行かれて作成・取材を行っていますので、このように私達のような一般の人が作成に同行する、ということはなくなりました。
だから私にとっては最初で最後の事になります。どこまで尾針さんの役に立てたかわかりませんが、私自身にとって、この経験は大変有意義なものでした。こんな貴重な体験をさせてくれた関係各位に、この場を借りて深く御礼申し上げます。
そして、長文をここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
完