| 住所 | 金沢市長町1-3-32 |
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| 公式サイト | 武家屋敷跡 野村家 <公式ホームページ> |
入口の案内に拠れば、庭園はJornal of Japanese Gardening(1999年創刊)に於いて3位に選ばれた(2003年)との事。因みに1位は足立美術館(島根)、2位は桂離宮。
玄関の奥は控えの間。襖絵は山口梅園の作。山口梅園は大聖寺藩士。心流剣術の名手だが、浦上春琴に絵画を学んだ人物との事。館内の襖の前には全てガラス(アクリル?)が入っている。桜、牡丹、菊等の花の襖絵は4面の内、端の2面のみの為、絵図としてはパッとしない。細かい変色、剥落が見られたが、状態は概ね良い部類。菊、雉等の花鳥図は4面全て揃っているが、中央の2枚の上部に大きな破れがあり、状態はまあまあ。脇のショーケースには、鳳凰、龍、鶏等の鉄刀木(タガヤサン)の釘隠し、引手が約20点展示されていた。控えの間の右隣、奥の間の襖絵も山口梅園の作。梅、水仙、小鳥の花鳥図。4面の内、2面の公開。細かい変色、剥落が見られたが、状態は良かった。
控えの間の左隣は謁見の間。襖絵は山口梅園作の白い牡丹の図。細かい変色、剥落が見られたが、状態は良かった。左隣の仏間の襖絵は、山口梅園作の山水画。4面の内、2面の公開。状態は良い部類。謁見の間の奥は上段の間だが、室内には入れない。壁は紅殻の朱壁。天袋、地袋、襖絵は佐々木泉景の作。天袋は梅に鶯。金箔地の墨絵。細かい剥落はあったが、状態は良かった。地袋は遊亀の図。こちらも金箔地の墨絵。前に入ったガラスが映り込み、詳細は良く解らなかった。襖絵は正面の襖の裏側。身を乗り出すか、反対側に周り込まないと見られない。こちらも前に入ったガラスが少し映り込み、詳細は不明。4枚の内、端の2枚のみの公開の為、構図としてはちょっと寂しい。床板は6尺に及ぶ桐板との事。山水画の波の線のような綺麗な木目だった。

上段の間の奥、濡れ縁の奥は小堀遠州好みの真の庭。縁側に沿って、石で縁取られたL字形の池が配されている。池の角に向かい、切石の小さな2段の橋が渡され、その奥、少し突き出た石から下の池に小さな滝が落ちている。窪んだ下段の池は石と木々に囲まれ、桜御影石の石橋が架かり、落ち着いた雰囲気。下段の池の脇に藁の笠と筵に覆われた燈篭が2基。藁が新品の為、ちょっと浮いた存在。ランキングが妥当か否かは解らないが、別の時期にもう一度拝観したい庭園だった。
濡れ縁の脇、石の階段を上ると、茶室不莫庵。左側、高さ1.3m程の逆U字形の入口の奥は控えの間。床板は樹齢1000年の紅葉の一枚板。内部に瘤があったのか、崩れた同心円状になっている部分があり、墨を流したような木目。天井は真菰(まこも)の茎張り。真菰の茎は淡い茶色だが、雨漏りしたかのように濃い茶色に変色している部分が散在し、良い味を出していた。控えの間の向かいは茶室。神代杉の一枚板を四国特有の数少ないみどり松で押えた珍しい桐板天井との事。個人的には、天井の格縁の仕切りが、床の四畳半の仕切りと同じだったのが面白かった。
廊下の突き当りは鬼川文庫。掛け軸、蒔絵、刀剣等、約20点が展示されている。佐々木泉景の山水画は山や岩の太く角張った輪郭線が印象的。しかし、細部の描写も丁寧で、木々の緑が鮮やか。蒔絵は蒔絵花卉宝船図重箱(1843年、天保14年)等、3点。何れも江戸期の作品の為か、状態は良かった。刀剣は陀羅尼橘泰平、加州住藤原信忠の刀、清光(藤原清光?)の脇差等、5振り。陀羅尼橘泰平の刀は少し湾っているような部分のある直刃。「宝暦六年八月十八日 武州江戸於伝馬町誠之 宝暦六年二月吉日 乳割土壇江八九寸斗入 斬手山田浅右衛門」との銘がある。1756年(宝暦6年)に山田浅右衛門が死体の乳割(両脇と両乳首の中間)の部分を試し斬りしたもの。加州住藤原信忠の刀は波打ち際のような、川の流れのような緩やかな湾り。細めの匂いが優雅。清光の脇差は太い刀身。ちょっと角張った大きめの互の目紋だった。