「∀ガンダム・地球光」感想

このページはネタバレを含んでいます…がTVシリーズがあった後で
ネタバレも何もあったものじゃないという気も。

あらすじ

月に住む人々…ムーンレィスの少年ロランは地球への帰還実験のため
キース、フランたちとともに地球へと降り立ち、その地での生活をはじめる。

そして2年、地球に溶け込みその素晴らしさを体感するロランたちとは裏腹に
ムーンレィスの来襲に対して脅威と野心を感じるものもいた。

グェン・サード・ラインフォード、イングレッサの領主の御曹司である彼は
市民軍ミリシャを組織し、その部隊の機械化を急速に推し進めようとしていた。

それは新しい時代への息吹を感じさせ、それに関わる人々の野心を刺激していた。

ロランが成人式へ参加し、ビシニティの人間として認められるその日、
ムーンレィスもまた地球への本格的な帰還作戦を開始しようとしていた。
それは受け入れるグエンにとっては「招かれざる客」であったのか。

身長40メートルもある巨大な機械人形の出現に、イングレッサの人々は恐怖する。
ミリシャの攻撃も受け付けないその機械人形ウォドムの放つ光は
ノックスを、ビシニティを焼く。

そして、石像に隠された黒歴史の遺産、ホワイトドールが目覚める。
ホワイトドールもまた、光を放つ巨人であった。

相互の思惑、理解の違いが生むいらだちに、戦争への緊張が高まる。
ムーンレィスの地球への帰還を願う女王ディアナは、互いの溝を埋めるべく
舞踏会を開く事を提案する。

ロランはミリシャの女性パイロット、ローラ・ローラとして女王に拝謁するが、
そのパーティは暗殺者の登場によって地球と月の隔意を埋める事はかなわなかった。
しかし、暗殺者の存在には第三者の意志が介入していた。

地球との交渉を進めようとする中、ディアナは自分自身と瓜二つの女性キエルと
戯れの入れ替わり劇を演じる。
それは互いの運命を大きく変えていく事になる。

ディアナはキエルとして、戦争に泣く人の姿を見、戦いを望まぬ人の意志を汲み、
みずからが真に成すべき事を見据え、
キエルはディアナとして、女王の使命と理想の高さ、その障害となるものの大きさ
を知る。

互いの思いはいつしか同じ、地球と月の真の平和への道を歩む。

しかし互いの溝を埋められぬ人々は黒歴史に封印された兵器を次々と掘り出し、
戦いはさらに大きく広がろうとしていた。
宇宙世紀の時代のモビルスーツ、宇宙へと飛び立つ事のできる戦艦、
そして禁忌の兵器、核ミサイル。

ロストマウンテンでの攻防の中、六発の核ミサイルが大地を焼く。
その光は夜を昼に変えるほどであった。

夜中の夜明け、あってはならぬ歪み

人は黒歴史の過ちを繰り返すだけなのだろうか?

それは託された二発の核弾頭が握っている。

感想

ストーリーはTVシリーズと同一のものですから、改めて言う事もないかと。
よって細かいシーンについてチェックしていきたいかと。

基本的には一年もあるTVシリーズをたった5時間で収めてしまうという事には
無理を感じ得ないのだけど、それは媒体の違いというべきでTVシリーズは大河
ものとして視聴者もまた同じ時間を共有するような作劇が求められ、劇場版は
2時間の中で表現できるテーマを映すべきであろう。

ということではしょられる部分は結構はしょったなあという印象。
その分テンポがものすごく速く流れるように感じたけど、ある部分については
ものすごく丁寧にやってるように感じました。

ディアナとキエルの二人のシーン、これについては動きのテンポも多少下げて
見せていると感じました。
その分、互いの思いをつなげていく作業を感じさせているのだなと。

気になるシーン

コレンの泣き顔
ディアナに自分の役割は終わったといわれ、表情の崩れるコレン。
過去、ディアナのために戦い、「ガンダム」に対するトラウマをもつコレンにとって
ホワイトドールとの戦いこそが自分の存在意義をかける戦場であったはずである
のに、当のディアナ自身に自分のアイデンティティを完全に破壊されてしまったので
ある。彼の中の当惑が如何ほどのものであったか、偲ばれるシーンではないで
しょうか。

いや、あの顔の崩れ方を見た時に「ああ、監督コレン好きなんだなあ」と思った
のですけどね。

ジョゼフという「よそ者」
ジョゼフにとっては見せ場のマニューピチュ編がなく、ロランという「ムーンレィス」
に対するコンプレックスを見せるシーンもなかったために彼らしいシーンが
あまりなかったように思えるのですが(他のキャラも結構見せ場をはしょられてる
のですが)、わざわざフランとの出会いのシーンを新しく作ってもらっていますね。

で、その中での一コマ、自分が地球に降下する時に乗ってきたフラットを見つけ
近づくフランに対してジョセフは人目で彼女がムーンレィスである事を見抜く。

彼が何故「よそ者」かどうかを見分けることができるのか、というと
彼自身がマバ族の生まれでイングレッサ地方にとっては「よそ者」であり、
それによるコンプレックスから上手く人に溶け込めなかったという経験から
来ているのではないかなー、と。

ある意味同類の人間に対する興味、と自分自身を見ているような苛立ちを
地球に紛れたムーンレィスの少年少女たちに感じてたのだろうと。

最近見た富野作品の中では、ザンボット3の香月がライバルの勝平にたいする
複雑な思いが割と似ていたように思えます。
ロボットという戦う力を持つ勝平、と戦う力を持たない香月。

リリの視点
サンベルトでの建国記念パーティでグラスを持ったリリの視点のシーンがあるの
だけど、グエンの方に向かってる中で、側にいたキエル(ディアナ)がその視線に
気がついてその場を外すというそれだけのシーンなんだけど、これこそがリリ様の
特徴を表現してるシーンだったり。

どんな視線を向けていたのだか、気になる。

ウィルゲム離陸
今回、戦闘シーンとしては一番の山場、だったりする。∀ガンダムはロボットの
登場するアニメであり、それが活躍するシーンに力を入れるのは当然、という
ことで各MS、新機能をこれでもかと疲労してます。
ロランはスーパーロボット大戦でも使われた
「Iフィールド作動、警告にオートリアクション、セット、索敵」
をいってましたがこういうのもサービスなのかな?

やっぱり男の子としては戦闘シーンにカタルシスを感じる訳で、このシーンが
あったのはよかったです。

ギャバン・グーニー、一世一代の大勝負
TVシリーズではなんとなく達観した人生観を持ってるようにも見える中で、
生命力あふれるソシエに惚れ込んで求婚した、という感じのギャバンさんですが、
今回のプロポーズするシーンではとてつもなく硬くなってます。

その他、ちょっと気になったこと
マリガンの声、アグリッパの石丸博也さんから堀内賢雄さんに変更、ドントウォーリー?

ブルーノ、ヤコップの立ち回りの上手さは結構好き。こういうのは長生きする。