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時々更新するなんとなくブログ
わたしたちの現在の目標は、再生医療の実現です。再生医療実現の基礎となる生命現象において、最も重要な要素が「細胞」と「形」だと思います。近年の生物学は分子の事ばかり論じていて、細胞間相互作用が創発する、組織や器官レベルの「形」を少し軽視しすぎているのではないかと思います。わたしは、生物を分子の集合体としてではなく、細胞間相互作用の集合体として見る必用があるのではないかと考えます。細胞と細胞の相互作用の結果が、私たちの持つ「形」なのです。
たとえば、骨はからだの中で、最も「形」との結びつきが強い組織のひとつです。わたしたちは、普段生活している時、骨についてあまり意識しません。私は東京理科大学で働いていた時に、理工学部の菊池先生とともに、外部の力学環境に適応するという骨の生きた営みをシミュレーションするコンピュータプログラム「iBone」を開発しました。細胞間相互作用を数式化して、計算機によるシミュレーションによって、骨の構造をつくり出すという試みをしました。
また、親知らずから細胞を取り出して、さまざまな組織の再生に応用できる細胞資源として利用するための研究もしています。最近は、親知らずが生えてきても虫歯になってしまうことが多い上、前の歯とぶつかって炎症を起こしたりするので、若いうちに親知らずを抜く人が増えています。しかし、そうやって取り出された、若い親知らずは医療廃棄物としてほとんどが捨てられてしまいます。ところがこの親知らずの中に、とても増殖能の高い幹細胞が存在する事がわかってきました。わたしたちは、この親知らずの幹細胞をいかに有効利用して、再生医療に役立てるかについても、精力的に研究を進めています。
近況:未完成および完成して間もない親知らずから採取した細胞から、万能細胞であるiPS細胞が効率良く誘導できることが分かりました。がん遺伝子であるc-Mycを入れなくても、ほぼ確実にiPS細胞を得る事ができます(日本分子生物学会で発表)。さらに、効率の良いラインからは、2因子でも誘導が可能です(日本再生医療学会で発表)。新聞報道もされて、今後ますます責任感を持って、日本人のiPS細胞バンク構築を目指そうと思っています。
手塚研究室で行われている研究プロジェクト
私たちの研究の概要を紹介します。シミュレーションから親知らず歯髄幹細胞バンクまで、幅広いテーマが存在します。
iBone
iBoneは、東京理科大学の菊池先生と共同で作った骨の形態シミュレーションです。複雑な構造を持つ骨の形状を力学環境ごとコンピュータで再現して、医療への応用を目指しています。分野をこえて、いろいろな方々と交流できるのも、このプロジェクトの面白さです。革新的すぎるせいか、いろいろ苦労が絶えませんが、未来を目指す新しい種類の研究として育てて行きたいと思っています。
生理学のページ
以前、理科大基礎工学部で担当していた生理学の授業のために作ったページです。思えば、この講義で生理学を分かりやすく教えるために、コンピュータシミュレーションを作ったのが、iBoneのはじまりでした。
複雑系の生物学
東京理科大学生命研で多田富雄先生に出会った事が、複雑系に興味を持つきっかけでした。生物は複雑に見えますが、生物を構成する要素は、遺伝子を含めてむしろシンプルなのではないかと思います。
けんのひみつ日記
研究者は研究の事だけ考えていれば良いと言う時代ではありません。ひとりの科学者として生きて行く上で、いろいろな事を考えたり、苦しんだりします。そんなよしなし事を、書き連ねています。
いろいろリンク
岐阜大学医学部 科学技術振興機構 学術振興会 厚生省 サイエンスポータル Osteologia Visible Human Project Skeletal Gene Database 理科大生命研 ECM02写真集(タクラマカン砂漠)